研究企画部 小川 佳宏
創薬に向き合えるようプロジェクトを運営
- 2002年入社、生物研究所に配属。主に、創薬・前臨床研究での薬効・薬理評価に携わる。
- 2011年研究企画部に異動。複数のテーマプロジェクトにおける前臨床研究のプロジェクトマネージャー(PM)を務める。
- 2021年研究企画部グループリーダー。自らPM業務をする傍ら、グループ員のマネージメントにも従事している。
ミッションは、新薬を世に送り出すための
舵取りをすること
現在、私は前臨床研究の後期段階にあるテーマプロジェクトで、プロジェクトマネージャー(以降PM)をしています。新薬候補化合物を臨床試験に進めるにあたり、テーマリーダー(以降TL)や各研究所の担当者(サイエンスリーダー)と一丸となってプロジェクトを推進している真っ最中です。
PMの役割は、TLや臨床開発企画部門と連携しながら、この創薬活動の指針となる製品戦略を立案することです。まずは新薬候補化合物の想定適応疾患の情報(既存治療やアンメットメディカルニーズ等)や競合状況を調査し、それに基づき目標製品プロファイルを設定。その上で製品化を目指すのはもちろん、製品の価値を最大化させるための前臨床・臨床試験等の具体的な計画を策定します。
そして、この製品戦略を指針として、各研究所で得られる新薬候補化合物の前臨床研究成果を取りまとめ、関係各所と合意形成しながらプロジェクトを推進していくのですが、その際、明確な目標に向かって円滑にプロジェクトを運営し、全体を俯瞰してスケジュールを管理することも私の重要な役割です。指針を立て、それに向けてプロジェクトを推進する、一言で言うとプロジェクトの「舵取り役」が私のミッションです。
また、グローバル開発の戦略を取る際には、グローバル企業への早期海外導出を目指して、研究所で得られたデータ・情報を統括し、導出活動の円滑な実行に繋げる役目も担っています。
プロジェクトの要は「人」だからこそ、
メンバーとの対話と納得感を大切に
PMとして、新薬候補化合物の価値を高めることやプロジェクトの研究開発スピードは常に意識しています。しかし、それ以上に重視しているのが、プロジェクトに関わるメンバーが、それぞれ納得感を持って気持ちよく各々の業務に取り組むことができるようにすることです。そのためにもプロジェクトのビジョンとゴールを明確にし、十分な情報をもとに納得するまで戦略を徹底的に議論する。そして、その戦略を“自分の言葉で”メンバーに伝えることを大事にしています。
プロジェクトは各研究所・部署の成果をもとに推進されるもの。その研究・調査の目標や目的が不明確な場合には、当然成果物も不十分なものになり、時にはプロジェクトの運営に大きく影響を与えることも。それは結果的に、「1日でも早く患者様に必要な薬を」というミッションの達成も妨げかねません。
メンバーがそれぞれ何のためにその研究・調査をしているのか、戦略上どういう位置づけなのか、その成果はプロジェクトにどのような影響を及ぼす可能性があるのか等について、可能な限り直接話をして気持ち良く納得して業務に取り組んでもらうことを意識しています。とはいえ、無理なお願いをすることもありますが、それが結果として、研究開発スピードや質の高いプロジェクト運営に繋がると、私は信じています。
自分の成長だけでなく、
次のPMの育成にも注力したい
現在担当しているプロジェクトでは、製品戦略立案に際して担当者間で意見の相違があったり、社内ステークホルダーとの度重なる折衝が必要になったりと、戦略を固定するまでに時間を要しました。ただ、根拠を提示して議論し、どんな些細なことでも腹落ちするまで話し合ったことで、戦略立案の担当者間で深い信頼関係が構築でき、ステークホルダーとも風通しのよい関係が築けたと感じています。
また、プロジェクトに関わる各研究所・部署のメンバーも、一人ひとりがプロジェクトのビジョンとゴールを正確に理解して、高い当事者意識を持って取り組んでくれています。例えば、前臨床研究結果から安全性の懸念が認められた場合にも、「患者様でそういった副作用が認められないようにするにはどのようなパラメーター(バイオマーカー)をモニターするべきなのか」「実際に副作用が発現した際には、どの様な対応がとれるものなのか」といった点を、研究所のみならず臨床開発担当も巻き込んで徹底的に議論。その結果、質の良い成果が生み出せているなと実感しています。
今後はプロジェクトのPM業務はもちろん、グループリーダーとしてPM業務を担当する他のメンバーのマネージメント職にも注力していきたいと思っています。これまで自身が経験した成功例や失敗例を共有し、メンバーからも学びを得ながら、より質の高いプロジェクトマネージメントが可能なグループを構築していきたいです。
ひとり一人のキャリア形成を
応援する環境もJTの強み
私自身は入社後9年間、生物研究所の研究員として動物実験を中心に薬効薬理研究に携わっていました。その後、現在の研究企画部のPM業務を担当していますが、この業務では薬理に加えて有機化学、薬物動態、毒性、臨床薬理及び臨床開発等、幅広い知識も必要に。おかげで創薬の視座を高める機会が得られました。
キャリア形成に関しては、自分の目標へのチャレンジを支援したり、成長を促したりする土壌がJTにはあります。実際、数多くの研修制度も利用して、プレゼン技術や論理構築、語学力の向上等に取り組むことも可能です。向上心のある方には申し分ない環境が整っています。
また近年は、各部署でAI創薬技術を活用した取り組みが推進されており、社内のみならずオープンイノベーションの活動も活発です。世界がJTのフィールドという視点で創薬活動を展開していますし、ユニークなもの、奇抜なものも含めて積極的に新たなアイデアを発信できる方は、活躍のチャンスが十分あると思います。