日本の歴史【明治期・大正期】

「たばこ」は、時代の移り変わりの中で人々の生活や文化、風俗と深く関わってきました。日本の歴史の中で「たばこ」が歩んだ道すじを、年表を通して振り返ってみましょう。

明治期・大正期

紙巻きたばこの普及、専売制の導入へ

明治時代に入ると、外国からさまざまなたばこが輸入されました。なかでも紙巻たばこ(シガレット)は、目を惹くパッケージデザインと手軽さが広く受け入れられ、国内でも製造されるようになりました。
明治中期になると、たばこ産業は問屋制手工業から機械制工業へと近代化が進み、個性的な商品と広告宣伝で力をつけたたばこ会社が台頭します。明治後期には、政府が国家の財源確保のため、たばこに関する法律を次々と制定し、たばこ産業は国営化されることとなりました。
その後も紙巻きたばこ市場は成長を続け、大正時代には、その製造量は刻みたばこを上回ることとなりました。

明治期・大正期エピソード

明治期・大正期 1868年~1911年 紙巻たばこの普及、専売制の導入へ
たばこの歴史 西暦 年号 日本の歴史
1868 明治元年 江戸が東京と改称される
1869 明治2 「東京遷都(せんと)」によって、政府が京都から東京に移される
「版籍奉還」によって、諸大名から天皇へ領地と領民が返還される
土田安五郎が「巻弘社」を設立。紙巻たばこの販売を始める。 1872 明治5 日本初の鉄道が新橋~横浜間に開通する
ウィーン万国博覧会に日本は「たばこ刻み機」を出展、「紙巻たばこ巻上機」を購入する 1873 明治6 国民の兵役義務を定めた「徴兵令」が制定される
「煙草税則(たばこぜいそく)」が施行され、初めて全国的に「たばこ」に税金が課される 1876 明治9 「廃刀令」の公布により、士族などの刀の携帯が禁じられる
鹿児島県で外国種葉たばこの試作が始まる 1877 明治10 「西南戦争」が起こる
政府主催で開催された「第一回内国勧業博覧会」に「紙巻たばこ」が出品される
「第二回内国勧業博覧会」に土田安五郎が「紙巻たばこ」を出品し、有功賞を受賞する 1881 明治14
商標を保護する目的で「商標条例」が施行され、「たばこ」の各銘柄も登録される 1884 明治17
東京の千葉商店が「口付たばこ」を発売する 1885 明治18 伊藤博文が初代内閣総理大臣となる
アメリカ製の「両切紙巻たばこ」が輸入販売される 1887 明治20
明治9年に施行された「煙草税則」が改訂され、「紙巻たばこ」にも税金が課される 1888 明治21
1889 明治22 「大日本帝国憲法」が発布される
京都の村井兄弟商会が、自社で輸入したアメリカ葉を配合した「両切たばこ」を発売する 1894 明治27 「日清戦争」が起こる
宮内庁が東京都銀座に本店を構える岩谷商会に恩賜用の「たばこ」の製造を委託する
1895 明治28 戦争終結のために「下関条約」を結ぶ
ロシア・フランス・ドイツが、日本が「下関条約」で得た遼東半島の中国への返還を要求した「三国干渉」が起こる
「たばこ」の原料である葉たばこを国が買い上げる法律「葉煙草専売法」が施行される 1898 明治31
村井兄弟商会がアメリカン・タバコ社と提携し、合同で株式会社を設立する 1899 明治32
村井兄弟商会が、自社製品のパッケージの印刷のために、外国人技師を雇い入れた印刷会社を京都に設立する
満20歳未満の者の喫煙を禁じる「未成年者喫煙禁止法」が施行される 1900 明治33
東京の岩谷商会と、京都の村井兄弟商会との間で「紙巻たばこ」をめぐる宣伝合戦が盛んになる 1902 明治35 ロシアのアジアへの進出をけん制する目的で、日本とイギリスが「日英同盟」を結ぶ
「たばこ」の製造から販売までを国が管理する「煙草専売法」が施行され、大蔵省に煙草専売局が設置される 1904 明治37 日本とロシアの間で「日露戦争」が起こる
専売局が「口付たばこ」4銘柄と「両切たばこ」3銘柄を発売する
1905 明治38 日本とロシアが戦争終結のために「ポーツマス条約」を結ぶ
煙草専売局が専売局と改称し、「たばこ」「塩」「樟脳(しょうのう)」の3専売を統一する 1907 明治40 「小学校令」が改正され、義務教育の6年制が実施される
「葉巻」の製造を専売局が直営で行う 国産自動車の第1号が完成する
1911 明治44 安政5(1858)年に制定された「日米通商航海条約」が改正され、日本が関税自主権を回復する
1912 大正元年 明治天皇が崩御し、元号が「大正」となる
「両切たばこ」の1銘柄が、「軍隊専用たばこ」となる 1913 大正2
1914 大正3 ドイツ・イタリア・オーストリアの“3国同盟”と、イギリス・フランス・ロシアの“3国協商”の対立を背景に、「第1次世界大戦」が起こり、日本も連合国の1国として参戦する
大正天皇の即位を記念し、「記念たばこ」が発売される 1915 大正4
1916 大正5 チャールズ・チャップリン監督の喜劇映画が人気を博す
1918 大正7 米の価格の暴騰をきっかけに民衆が起こした暴動「米騒動」が発生する
1919 大正8 「第1次世界大戦」の戦後処理のために、連合国とドイツが「ベルサイユ講和条約」を締結する
欧州の対戦の終息を記念した「記念たばこ」が発売される 1920 大正9 政府が行政の基礎資料を得るために全国で一斉に行う「国勢調査」が始まる
専売制度の25周年を記念して「両切たばこ」と「口付たばこ」が発売される 1922 大正11
「紙巻たばこ」の製造量が、初めて「刻みたばこ」の製造量を上回る 1923 大正12 関東一円に被害をおよぼした大災害「関東大震災」が起こる
「紙巻たばこ」を巻く紙が、すべて国産の紙に切り替わる 1925 大正14 東京放送局(=NHK)がラジオ放送を開始する
「普通選挙法」が制定され、満25歳以上のすべての男子に選挙権が与えられる
山手線の環状運転が始まる