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「キセル」による喫煙が主流ではあったものの、明治期の日本では 社会の変化に呼応するように、「たばこ」文化が大きな変革を遂げます。 文明開化の波に乗って、「たばこ」市場に「紙巻たばこ」がやって来たのです。 |
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19世紀後半から欧米で本格的に作られるようになった「紙巻たばこ(=シガレット)」が日本に登場したのは、明治(1868〜1912年)時代のことです。 当時の日本には「葉巻」や「パイプ」など、新しい喫煙スタイルも渡来していましたが、輸入品の「紙巻たばこ」はその手軽さも手伝い、“ハイカラ”のシンボルとして注目を集め、やがては国内の新しい産業へと成長します。では、国内での製造は、どのようにして始まったのでしょう?
日本で最初に国産の「紙巻たばこ」を製造したのは、彦根藩(現在の滋賀県)の下級武士だった土田安五郎といわれています。土田は、もともと“たばこ刻み”を内職としていましたが、明治になると上京し、「紙巻たばこ」を作りはじめます。そして明治14(1881)年に開催された「第2回内国勧業博覧会」で有功賞を受賞するのです。 こうした状況のなかで「紙巻たばこ」は都市部を中心に“ハイカラ”のシンボルとして、人々の間に広まっていきました。 |
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輸入された「紙巻たばこ」のパッケージ。美に秀でたデザインと高い印刷技術が、当時の人々を驚かせた。 |
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土田安五郎が授与された賞状。明治期に開催された博覧会には、「紙巻たばこ」の出品も多かった。 |
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国産品の製造が始まった当初、日本には、2種類の「紙巻たばこ」が存在しました。
それは、ロシアおよび北欧の形態を取り入れた「口付たばこ」と、アメリカから伝わった「両切たばこ」でした。 |
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「紙巻たばこ」に口紙(くちがみ)と呼ばれる円筒形の吸口を付けた「たばこ」。(左図) 「刻みたばこ」を紙で巻き、両端をそろえて切断した「たばこ」。(右図) |
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