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南北アメリカ大陸の先住民たちは、たばこを吸うだけでなく、噛んだり、嗅いだり、さまざま方法で使用していました。 その中でも、メキシコ以南のポピュラーな使用方法はシガー(=葉巻)であり、北米ではパイプを用いて喫煙していました。 もちろん、細かく調べると場所によってさまざまな喫煙方法がありますが、スペインが進出していった場所では、とりわけ葉巻が多かったのです。よって、スペインでは葉巻がポピュラーな喫煙形態の1つになったといわれています。 |
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スペインの喫煙形態の定番はシガーになりましたが、イギリスやオランダなど、北米エリアに進出した国では、パイプの喫煙が主流になります。このように進出した地域の喫煙形態の違いから、各国の喫煙方法が決まったのではないかといわれています。 また、スペインが進出した中南米には、乾燥させた葉たばこを粉末状にして鼻から吸い込む嗅ぎたばこもありました。新大陸に渡った聖職者たちは、シガーのように煙を立てずに嗜むことができる嗅ぎたばこを好み、本国の教会に伝えたのです。 |
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シガーとともに嗅ぎたばこも流入したスペイン。なかでも嗅ぎたばこは、フランス王室が頭痛などに効く薬として取り入れて人気を博し、瞬く間に、ヨーロッパ諸国の上流階級の間で嗜みの1つとして流行しました。 後に、嗅ぎたばこは上流階級だけでなく、庶民の間にも広がり全盛を迎えます。ただ、それまでのシガーを捨てて嗅ぎたばこに乗り移ったわけではなく、両方を嗜む者もいれば、新たに嗅ぎたばこを始める者もいて、たばこ全体の需要はますます増えていったのです。 |
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ヨーロッパ諸国において、シガーはスペインとポルトガルだけのローカルなたばこでした。スペインのシガーが、ある転機によりヨーロッパ中に広まります。それは1808年にイベリア半島で勃発した“スペイン独立戦争”です。 数多くの国々を巻き込んだこの戦争は、イギリスがフランスに勝利し終焉しますが、イベリア半島のローカルなたばこだったシガーは両国を征服し、ヨーロッパ中に広がっていきます。これ以降の19世紀は嗅ぎたばこに代わり、シガーが主流になりました。 |