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「美人画」とは、女性を描いた浮世絵のこと。架空の女性を描いたものもありますが、主にモデルとなるのは、当時、人気のあった遊女や花魁(おいらん)、町娘などでした。中には、浮世絵に描かれたことがきっかけで、アイドル的な存在となった女性もいたとか。美しい遊女たちや町娘の姿、遊郭の日常風景などを描いた「美人画」は、飛ぶように売れたようです。
その他にも、遊郭がお店の宣伝をしたり、呉服屋が新作の着物を紹介するためにも「美人画」が制作されました。現代でいう、宣伝ポスターやファッション雑誌というところでしょうか。「美人画」に欠かせない小道具のひとつ、女性用の朱羅宇(しゅらう)の長キセルも、単に喫煙具というだけでなく、アクセサリーとしての意味合いも含まれていたようです。もちろん、彼女たちが身にまとっていた着物も、その時々の流行の柄や模様を取り入れたものでした。
世の男性たちは人気の遊女たちの浮世絵を求め、女性たちは浮世絵から流行を取り入れていたわけです。 |
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遊女たちが客を誘う手段として、利用していたのがキセル。その場面は、歌舞伎や浮世絵にも頻繁に登場します。
遊女がキセルにたばこを詰め、自分でちょっと吸い付けて、火が付いたことを確かめてから、袖口でそっと拭って客に差し出す“吸付たばこ”は、遊女が男性を誘う手段として流行した風習。遊女たちは、道行く人々の中から気に入った男性を見つけると、格子の隙間からこの“吸付たばこ”を差し出し、男性がそれを吸えばOKの意だったようです。“吸付たばこ”は愛情の証(あかし)とされ、人気の男性には次々と“吸付たばこ”が差し出されました。
さらに遊女と親密になると、夫婦(めおと)キセル(火皿がひとつで、火皿を中心軸にして吸口が二本に分かれたキセル)を2人同時に楽しみ、よりムードを盛り上げたとか。まさしく遊廓におけるキセルは、男女の想いをはかるバロメーターだったと言えるでしょう。 |
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