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もともとは、芝居小屋の看板絵が発達してできたものと言われている「役者絵」。現在のように写真技術がなかった江戸時代、歌舞伎役者を描いた「役者絵」は相当な人気アイテムだったようです。
当初は、描かれている家紋でどの役者かを見抜くというように、役者の顔はみな同じように描かれていました。その後、葛飾北斎が学んだことでも有名な勝川春章以降から、実物の役者と似せて描くことが主流に。
「役者絵」は、歌舞伎のワンシーンや役者が役になりきっている姿を描いているものが多数ですが、中には、楽屋裏の姿やまったくの素顔を描いたものもあります。歌舞伎界の名跡、市川団十郎や松本幸四郎、尾上菊五郎などの代々が「役者絵」のモデルとして描かれてきました。
また、歌舞伎の宣伝のためにも浮世絵が用いられ、公演される前に制作される「見立て」、公演中に制作される「中見」の2種類の浮世絵が発売されました。 |
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キセルやたばこ盆は、登場人物の性格や心理状態を表現する重要な小道具として重宝されています。中でも有名なのが、石川五右衛門で知られる『楼門五三桐(さんもんごさんのきり)』。長さ30センチ余、胴回り20センチ余の巨大キセル(真鍮手綱形太煙管・しんちゅうたづながたふときせる)が、五右衛門の豪胆・勇壮ぶりを印象づけるアイテムとして用いられています。
また、「助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)」では、助六を誘おうとする遊女たちのキセルが次々と差し出されるシーンが出てきます。そのときの助六のセリフ「キセルの雨が降るようだ……」は、まさしく名セリフと言えるでしょう。 |
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歌川豊国作
曽我祭侠競
(そがまつりいきじくらべ) |
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