「細刻みたばこ」作りの道具たち

TOP 第一章 「細刻みたばこ」作りの始まり 第二章 手刻みから器械による刻みに 第三章 今も続く「細刻みたばこ」作り
image 第二章 手刻みから器械による刻みに 江戸時代末期(=19世紀初期〜中ごろ)、喫煙風習の広まりにより、「細刻みたばこ」の需要が増えると、生産効率の低い手刻みによる製造法から、専用の器械による量産方法が考えられていきます。

器械化により生産効率が大幅に向上
 
 江戸時代中期(=17世紀末〜18世紀中ごろ)になってくると、増加していくたばこの需要に応えるため、全国の葉たばこ産地から江戸をはじめとした都市部に出荷される「細刻みたばこ」の量も増えていきます。しかし、手刻みによる製法は、専門の職人でも1日あたり約2.3キロと少量。そこで、より生産効率を高めた製造法が求められていきます。その結果、江戸時代末期(=19世紀初期〜中ごろ)に生まれたのが、「かんな刻み機」と「ぜんまい刻み機」の2つの器械です。どちらも一長一短がある器械。それぞれの器械の特徴を以下で見ていくことにしましょう。 image
刻み機の紹介
かんな刻み機 かんな刻み機イラスト
ぜんまい刻み機
ぜんまい刻み機イラスト
「セン切り」「かんな切り」「カンナ」とも呼ばれました。寛政12(1800)年ごろ、四国の池田地方で開発されたと伝えられています。器械内にブロック状に固めた葉たばこを詰め、上からかんなで削ります。足元にある踏木(ふみき)と呼ばれる棒を踏むと、器械内部の歯車と連動した滑車や縄を利用して葉たばこがせり上がり、能率よく刻んでいくことができます。
「ゼンマイ」「手押ゼンマイ」「旋回(ぜんまい)器」とも呼ばれました。文化年間(1804-18)に開発され、嘉永年間(1848-54)ごろから普及していったと考えられています。撞木(しゅもく)と呼ばれるハンドル部分を上下動させて包丁を動かし、セットされた葉たばこの束を刻んでいきます。このとき、撞木の動作と連動して1〜4個の歯車が回り、刻みに合わせて葉たばこを徐々に送り出す仕組みになっています。
長所
生産効率の高さ。
1日の製造量が約2.3キロといわれる手刻みに比べ、その7〜8倍の約18キロを刻む。
短所
油臭さがあり、上級品の製造には不向き。
葉たばこの束に油を塗って固めないと、かんなでは削ることができない。
長所
高品質なたばこを製造できる。
葉たばこの束に油を添加する必要がなかったため、上級葉を用いた高級品の製造に適している。
短所
生産効率の低さ。
かんな刻み機と比べ、1日あたりの生産量が3分の1程度。
使用されている刃
写真
写真 刻み機の上部にある、かんな。これを前後に引いて、葉たばこを削る。
写真 写真
刻み機の脇から出ている「踏木(ふみき)」。ここを踏むと、詰めた葉たばこが上がっていく。
写真
使用されている刃
写真
写真
歯車部分。撞木の動作と連動して動き、詰めた葉たばこを送り出す。
写真 T字型をした、撞木(しゅもく)と呼ばれるハンドル部分。これを上下させると、包丁が動く。
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