日本の歴史【昭和期】
「たばこ」は、時代の移り変わりの中で人々の生活や文化、風俗と深く関わってきました。日本の歴史の中で「たばこ」が歩んだ道すじを、年表を通して振り返ってみましょう。
昭和期
時代の変化とたばこ、民営化への流れ
日本が戦争への道を歩み始めた昭和10年代以降は、パッケージの簡素化や英語の使用禁止を受けた名称変更、さらには割当配給制の導入など、戦争の影響を大きく受けました。
長い戦争が終結すると、大蔵省専売局が行っていた専売事業は、昭和24年に発足した日本専売公社に引き継がれました。日本が高度経済成長を経る中で、多様化する価値観へ対応するため、新しい商品の開発や広告などの販売促進に力を注ぐようになり、さまざま銘柄が誕生しました。
昭和60年、市場開放を求める声や行財政改革の動きから、専売制度が廃止され、日本たばこ産業株式会社(JT)が誕生しました。
昭和期エピソード
昭和期 | 1926年~1987年 | 時代の変化とたばこ、民営化への流れ | |
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たばこの歴史 | 西暦 | 年号 | 日本の歴史 |
1926 | 昭和元年 | 大正天皇が崩御し、元号が「昭和」となる | |
1927 | 昭和2 | 日本初の地下鉄が浅草~上野間に開通する | |
昭和天皇の即位を記念し、「記念たばこ」が発売される | 1928 | 昭和3 | 大正14年制定の「普通選挙法」に基づき、「第一回普通選挙」が実施される |
1929 | 昭和4 | ニューヨーク証券取引所での株価の大暴落をきっかけに「世界恐慌」が起こる | |
「両切たばこ」の製造量が、初めて「口付たばこ」の製造量を上回る | 1930 | 昭和5 | |
「たばこ」の販売が専売局の直営となる | 1931 | 昭和6 | |
一部の「両切たばこ」の包装に防湿セロハンが使用され始める | 1932 | 昭和7 | 海軍将校らが犬養毅首相を射殺した「五・一五事件」が起こり、政党内閣に終止符が打たれる |
1933 | 昭和8 | 日本が国際連盟を脱退する | |
国産初のパイプ用の「たばこ」が発売される | 1934 | 昭和9 | 東京・渋谷駅前で“忠犬ハチ公”銅像の除幕式が行われる |
1936 | 昭和11 | 陸軍兵士によるクーデター「二・二六事件」が起こる | |
「口付たばこ」の最後の新製品が発売される | 1937 | 昭和12 | 日本と中国の間に「日華事変」が起こり、戦争となる |
国産初の「メンソールたばこ」が発売される | 1938 | 昭和13 | 「国家総動員法」が成立する |
1939 | 昭和14 | 「第2次世界大戦」が起こる | |
横文字の使用禁止により、「ゴールデンバット」が「金鵄」となるなど、一部の「たばこ」の商品名が漢字表記になる | 1940 | 昭和15 | 米や砂糖、マッチなどの生活必需品が「切符配給制」となる |
日本・ドイツ・イタリアの間で「日独伊三国軍事同盟」が締結される | |||
1941 | 昭和16 | 「太平洋戦争」が始まる | |
「たばこ」のパッケージに、戦時負担額が表示される | 1943 | 昭和18 | |
「たばこ」の割当配給制度が実施される | 1944 | 昭和19 | |
「たばこ」の配給量が、成年男子1人あたり1日3本までとなる | 1945 | 昭和20 | 8月6日に広島県に、8月9日に長崎県に、原爆が投下される |
日本に対し、アメリカ・イギリス・中国が降伏を勧告した「ポツダム宣言」を日本が受諾し、「太平洋戦争」が終結する | |||
戦後初の「たばこ」の新製品が、「両切たばこ」から2銘柄発売される | 1946 | 昭和21 | 「日本国憲法」が公布される |
日本初の男女平等による総選挙の結果、初めて女性議員が誕生する | |||
「日本専売公社」が発足する | 1949 | 昭和24 | 理論物理学者の湯川秀樹が日本人初の「ノーベル物理学賞」を受賞する |
漢字表記になっていた「たばこ」がひらがなの表記に戻る | 1ドル=360円の単一為替レートが決まる | ||
「たばこ」の割当配給制度が廃止され、専売制のもとでの完全自由販売となる | 1950 | 昭和25 | |
1951 | 昭和26 | 日本と連合国が「サンフランシスコ平和条約」を締結する | |
アメリカ軍の日本駐留などを定めた「日米安全保障条約」が成立する | |||
20世紀を代表するアメリカの商業デザイナー、レイモンド・ローウィが「ピース」のパッケージをデザインする | 1952 | 昭和27 | |
外国産の「たばこ」が、戦後初めて輸入される | |||
1953 | 昭和28 | NHKが東京地区でテレビ放送を開始する | |
1956 | 昭和31 | 「第2次世界大戦」後、国際平和と安全の維持、国際協力の達成のために設立された「国際連合」に日本が加盟する | |
国産初の「フィルター付きたばこ」である「ホープ」が発売される | 1957 | 昭和32 | |
1958 | 昭和33 | 「東京タワー」が公開される | |
1960 | 昭和35 | テレビのカラー放送が始まる | |
「オリンピック記念たばこ」が発売される | 1964 | 昭和39 | 「第18回オリンピック競技大会」が東京都で開催される |
「たばこ」のニコチンとタールの含有量が公表される | 1967 | 昭和42 | |
パッケージに観光地を描いた「観光たばこ」が発売される | |||
「たばこ」1本1本に、製造機械番号が印刷される | |||
1968 | 昭和43 | 作家の川端康成が日本人初の「ノーベル文学賞」を受賞する | |
東京都府中市で窃盗事件「3億円事件」が起こる | |||
「たばこ」の吸口部分に活性炭入りのフィルターを付けた「チャコールフィルター付きたばこ」である「セブンスター」が発売される | 1969 | 昭和44 | |
「たばこ」のパッケージに“吸いすぎに注意”の表示が印刷される | 1970 | 昭和45 | 日本初の国際博覧会「日本万国博覧会」が大阪府で行われる |
「沖縄返還」によって、沖縄県の施政権がアメリカから日本に戻る | |||
「日中共同声明」に基づき、日本と中国が国交を結び、東京・上野動物園にパンダがやって来る | |||
1973 | 昭和48 | アラブ産油国の原油生産削減と価格の大幅引き上げにより、「オイルショック(=石油危機)」が起こる | |
専売公社が“スモーキン・クリーン”キャンペーンを全国で行う | 1974 | 昭和49 | |
「口付たばこ」の製造が中止され、72年の歴史に終止符が打たれる | 1976 | 昭和51 | |
「マイルドセブン」が発売される | 1977 | 昭和52 | |
「たばこと塩の博物館」が渋谷にオープンする | 1978 | 昭和53 | 「新東京国際空港(=現・成田空港)」が開港する |
「たばこ」を包む紙=「包か」に製造年月日が表示される | 1981 | 昭和56 | |
「たばこ」の専売制度が廃止され、「日本たばこ産業株式会社」が発足する | 1985 | 昭和60 | 茨城県の筑波研究学園都市で「科学万博(=つくば85’)」が開幕する |
「輸入たばこ」の関税が無税になる | 1987 | 昭和62 | 国鉄が分割民営化され、JR各社が発足する |
「日本たばこ協会(=TIOJ)」が設立される |