全国に広がる「JTの森」JTの森 重富(鹿児島県)

JTの森 重富(鹿児島県)

基本情報

自然と歴史を未来に引き継ぐ

JTは、鹿児島県姶良市脇元(あいらしわきもと)の社有林・約98ヘクタールの面積の森林を、「JTの森 重富(しげとみ)」として森林保全活動を行うとともに、JR重富駅から徒歩で約10分という立地を生かし、森や自然に親しむ場となるよう、一般の方々にも開放しています。

「JTの森 重富」は3万年前の桜島周辺の噴火と隆起によってできたカルデラの外輪に位置します。森にはカルデラ壁を構成する急な崖や渓谷があり、森の中央には切り石を敷きつめた石畳がのこる旧街道、白銀坂が通っています。戦国時代には名高い武将たちがこの坂に陣を構えたといわれ、江戸時代には鹿児島藩の主要街道である「大口筋」として整備されました。現在は「大口筋白銀坂(おおくちすじしらかねざか)」として国土交通省の歴史国道に選定されています。

昭和23年(1948年)、樟脳の原木となるクスノキ育成のためにJTの前身である大蔵省専売局がこの森林を取得しました。平成24年(2012年)3月には、「霧島錦江湾国立公園」の公園区域として指定され、歴史を体感できる緑豊かな森として、多くの方々に親しまれています。

活動の概要

場所 鹿児島県姶良市脇元(あいらし わきもと)
面積 約98ヘクタール
活動期間
整備目的 クスノキを主体とした広葉樹林保全と、作業道や休憩所の一般開放
主な整備 除伐、下草刈り、生態系調査など

「JTの森」重富の生物多様についての動画がご覧いただけます。

森の歴史・背景

古くから生活に密着してきた木

クスノキ科ニッケイ属の常緑高木で本州以西に広く分布しているクスノキは、高さ20メートルを超える大木に育つものも多く、とても長寿な木として知られています。街路、神社、公園などに植えられるほか、建築や彫刻、仏具などにも利用され、古くから人々に親しまれてきました。
かつては各地で見られたクスノキの森ですが、戦後経済の成長につれて宅地化や、より建材に適した樹種への植え替えなどにより、私たちの身の回りから姿を消していきました。

日本の産業を支えたクスノキ

香料や医薬品、防虫剤、セルロイドの原料などとして幅広く利用されてきた樟脳(しょうのう)は、クスノキの根や枝を蒸留して作られます。中でも樟脳を原料とするセルロイドは頭髪ブラシ、ナイフ柄、化粧具、万年筆、おもちゃ、めがねのフレーム、セッケン箱、写真フィルムなど、さまざまな商品に使われていました。
日本では、外貨獲得を目的に、樟脳を明治36(1903)年に専売化。専売初期は9割が輸出されるなど、日本の樟脳産業は隆盛を極めました。しかしながら、プラスチックなどの石油化学製品の登場によってセルロイドは衰退、さらには安価な合成樟脳の出現などにより樟脳の需要が低下し、昭和37(1962)年に専売廃止となりました。

歴史国道が通る

歴史国道が通る

「JTの森 重富」の中央には「大口筋白銀坂(おおくちすじしらかねざか)」という石畳の坂道が通っています。大口筋は、江戸時代の鹿児島城下から熊本県までを結ぶ全長70kmの街道で、そのうち白銀坂は、姶良町脇元から吉田町牟礼ヶ岡までの石畳の坂道を指します。全長4kmのうち2.7kmが保存され、国土交通省の「歴史国道」にも選定されています。
ウォーキングやハイキングなどで地域の皆さまに利用していただけるよう白銀坂周辺の歩道やさくら見晴台(=展望所)を整備し、2008年12月から一般に開放しています。

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