コミュニティインベストメント

JTグループが持続的に成長するためには、社会の持続的な発展に貢献することが必要不可欠であると考えています。JTグループコミュニティインベストメント基本方針PDFを開くでは、その目的を「包摂的かつ持続可能な地域社会の発展へ貢献すること」と定めています。すべての人は社会の一員として受け入れられるべきであり、包摂的かつ持続可能な地域社会は事業にとっても重要であると考えています。私たちは、この方針に基づき、責任ある地域コミュニティの一員として、幅広いステークホルダーとともに、社会課題の解決に向けて取り組んでいます。

重点領域

包摂的かつ持続可能な地域社会の発展のために、国内外の様々な団体との長期的なパートナーシップを通じ、世界97カ国で513のコミュニティインベストメントプログラムを実施しています。世界各国の現地法人は、JTグループコミュニティインベストメント基本方針に沿ったプログラムを実施しています。

JTグループのプログラムは、グローバルな社会課題および地域特有の課題に対応するように設計されており、次の3つの領域を重点領域として位置付けています。


  • 1. 格差是正: 恵まれない人々の食料や教育へのアクセス向上 など
  • 2. 災害分野: 災害多発地域における防災活動、清潔な水の供給 など
  • 3. 環境保全:森林の保全や活性化 など

JTグループでは、従業員が地域社会と関わることで、新しいスキルを習得し、誇りと満足感を得ることができるよう、ボランティアの機会を提供しています。

ターゲット

包摂的かつ持続可能な地域社会の発展を目指し2015年から2030年の間に、600億円の投資を行い、従業員が30万時間のボランティア活動に従事することを目指します。

ターゲットに対する進捗

2015年より、地域社会へ583億円を投資し、従業員は就業時間内に218,070時間のボランティア活動に従事しました。

効果測定及び社外からの評価

JTグループでは、Corporate CitizenshipによるBusiness for Societal Impact (B4SI)別窓で開く*フレームワークを用いて、取り組みの実績およびインパクトを測定しています。2023年には、JTグループが事業を展開する国々において、地域社会への貢献として約70億円の投資を行いました。すべてのプログラムがJTグループコミュニティインベストメント基本方針に則り、社会的インパクトを与えられるよう、より正確な測定と開示に取り組んでいます。

*

企業の活動の社会的インパクトを効果測定する国際基準

2023年の地域社会への貢献実績

JTグループの取り組み

格差是正

JTグループでは、包摂的社会の実現に向け、多くの団体とパートナーシップを結び、地域社会の人々のニーズに応えるさまざまな支援を行っています。

多くのコミュニティでは、清潔な水、食べ物、識字率、教育など、私たちの多くが当たり前に享受していることが、なかなか実現できていないのが現状です。私たちが関わる世界中のコミュニティのために、この状況をできる限り変えたいと考えています。

2023年には、JTグループが事業を展開する51カ国において「格差是正」に関する402のプログラムをサポートしました。また、10カ国の現地法人からB4SIフレームワークを用いたインパクトデータの報告を受領しました。

OrchLab:音楽を通じたよりインクルーシブな社会の創出

英国のコミュニティインベストメントチームは、障がいのある方々に音楽そのものを楽しみ音楽作りの喜びを感じてもらうため、世界的に名高いロンドン・フィルハーモニー管弦楽団別窓で開く(ロンドン・フィル)と協働しています。OrchLabと名づけられたこのユニークなプロジェクトは、障がいの有無にかかわらず、あらゆる人々が音楽に親しむことができる社会の実現をテクノロジーでサポートする団体「ドレイク・ミュージック」とのパートナーシップの下、ロンドン・フィルが運営しています。参加者は、使いやすく工夫された楽器や先駆的な支援技術、ロンドン・フィルの録音演奏曲、そして自ら演奏できるオンライン楽器を使って曲を作りながら、オーケストラの音楽の世界に浸ることができます。

さらに、OrchLabでは、画期的なデジタル楽器を提供するほか、対象者に合わせたワークショップや研修、イベントを開催するとともに、双方向型のウェブサイト別窓で開くも運営しています。このウェブサイトでは、参加者は、検索で自分が見つけたさまざまなロンドン・フィルの演奏を楽しんだり、オンライン楽器で自分の曲を作れるほか、音楽に関するゲームやクイズなどのコンテンツを楽しむことができます。このプロジェクトは、障がいの有無にかかわらず誰もが参加できる音楽作りを通じて、参加者の心身の健康を向上させることを目的としています。

2017年のプロジェクト開始以降、OrchLabは、障がいのある方々169名の音楽活動を精力的に支援し、参加者の心身の健康と自信の向上に大きく貢献してきました。2023年には、19名が平均26時間の音楽ワークショップに参加し、参加者の87%が自分のスキル、生活の質、幸福感にプラスの影響があったとコメントしています。

また、2023年には、実際に参加者が集まるものとしては3回目となるOrchLabフェスティバルデーを開催しました。イベントの様子をライブストリーミング配信することによって、対面以外にもさまざまな形の参加を可能にし、当日は障がいのある方とケアスタッフ計122名が、OrchLabの新しい楽器を試し、他の参加者と音楽作りの体験を分かち合いました。

災害分野

数多くの自然災害に見舞われてきた日本に本社を置くJTグループは、長年にわたり災害管理に関する知見を積んできました。2023年には、17カ国で57のプログラムを支援し、世界で58,890人がその恩恵を受けました。

災害分野への支援では、被災地における支援活動のほか、災害リスク軽減に向けた活動に平時から取り組むことで、安全で持続可能な地域社会づくりを推進しています。

災害への備え:Preparedness

持続的な地域社会の発展に寄与することを目的とし、災害捜索救助隊の育成支援など、リスク軽減に向けた平時の活動支援を行っています。

緊急支援:Disaster Relief

国内外での災害発生時には、グループ各社で連携し、被災地への緊急支援に取り組んでいます。

復興支援:Disaster Recovery

被害が甚大な災害において、より良い復興(Build Back Better)を目指した中期的な復興支援活動に取り組んでいます。

ピースウィンズ・ジャパンとのパートナーシップ

日本に本部を置くピースウィンズ・ジャパン(PWJ)は、困窮している人々や、紛争や貧困などの要因により危機にさらされている人々に対して世界的に支援活動を行うNGOです。

JTは災害分野での取り組みの一環として、2016年からPWJとパートナーシップ協定を締結しています。2022年には協定を3年間延長し、引き続き、レスキューチームの育成や、世界各地での被災地支援活動をサポートしています。

JTグループはPWJによる以下の取り組みを支援しています。

  • International Search and Rescue Advisory Group基準に基づく広範囲かつ継続的なSearch and Rescue (SAR) 訓練及び人的配置によるチーム育成

  • 国内の大規模災害時の支援受け入れを念頭に置いた、合同訓練の実施等による海外のSAR活動団体との強固な連携体制の構築

  • 救命活動に必要な装備・資機材の整備及びロジスティクス能力の強化

  • 大規模災害による被災が想定される自治体や病院等との支援協定締結、支援団体や医療関係者との連携体制構築を含む、国内のステークホルダーとの関係強化

  • 多機関協力型フィールドホスピタル実現に向けた、ロジシステムの構築や実働訓練

  • 国内外の有事に対応するための準備

これらの取り組みが、世界各地で災害に強いコミュニティづくりにつながることを願っています。JTグループは今後も、さまざまなステークホルダーと協力しながら、コミュニティインベストメントにおける重点領域として、災害分野での課題解決に取り組んでいきます。

国内での主な取り組み

環境保全

私たちは、事業活動が環境に与える影響を軽減するための環境保全プログラムを通じ、地域社会と従業員が共に恩恵を受けられるよう努めています。2023年には、事業を展開する20カ国で「環境保全」に関する52のプログラムを支援しました。

私たちの活動の効果を測定することで、プログラムの継続的改善につながります。2023年には、10カ国の現地法人からB4SIフレームワークを用いたインパクトデータの報告を受領しました。

日本国内では、全国9カ所で、森林保全の取り組みである「JTの森」を実施しており、元気な森づくりを支援するとともに、ボランティア活動に参加する従業員に環境保全の大切さを体感できる機会を提供しています。2023年には506名の従業員がボランティア活動に参加しました。ボランティア活動後のアンケートでは、多くの従業員が、ボランティア活動に参加することで、環境保全を意識した行動をするようになり、働くことへの満足感が高まったと答えています。

「JTの森」で森林保全ボランティア活動に参加した従業員からのフィードバック

  • 94%が、ボランティア活動を通じて仕事の満足度が高まったと回答

  • 74%が、環境保全の重要性を認識し行動に変化が生じたと回答

  • 82%が、ボランティア活動によって業務に役立つスキルを身につけることができたと回答

国内での主な取り組み

海外での主な取り組み

たばこ事業およびJTI財団の取り組みについては、JTインターナショナルのサステナビリティサイト別窓で開く(英文)をご覧ください。

その他の取り組み

ボランティア活動

ボランティア活動は、従業員、私たちの事業、地域社会の3者に、相互の恩恵をもたらしてくれます。また、従業員がその知識とスキルを活かすことで、彼らが暮らし、生活の糧を得ているコミュニティにプラスの影響を与えることもできます。

JTグループでは、従業員がボランティア活動に参加することを積極的に奨励しており、ボランティア活動の機会(コミュニティインベストメントプログラムやイベントへの参加)や、必要なリソース(従業員からの寄付の受付、会社からのマッチング拠出、ボランティア休暇、物的支援)を提供しています。

2023年には、世界各国でのべ11,310名の従業員が、就業時間内にのべ24,549時間のボランティア活動に従事しました。

ボランティア活動の多くは、従業員のエンゲージメントとスキル構築を目指す人事戦略の実現にも寄与しています。2023年に「格差是正」関連のボランティア活動に参加した従業員を対象にアンケートを実施したところ、1,882名の従業員が、これらのボランティア活動が日常業務に役立つスキルを身に付け、仕事の満足度を高め、ボランティアへの関心を高めるのに役立ったと回答しました。

従業員参加型寄付(TFTプログラム)

TABLE FOR TWO(TFT)プログラムとは、2007年10月に設立された、世界の食の不均衡の解決を目指す日本発のNPO法人であるTABLE FOR TWO International別窓で開くが主催する寄付活動です。主な寄付方法の一つとして、社員食堂のメニューに、寄付金を加えた価格の食事メニューを用意するというものがあり、従業員等がTFTメニューを1食購入するごとに、開発途上国における給食代金1回分に相当する20円の寄付金が、TFTを通じ、開発途上国の学校給食向けに寄付されます。

JTでは、2010年からTFTプログラムに参加し、東京のJT本社の食堂で従業員等が購入したTFTメニュー1食につき、給食1食分の金額を寄付しています。新型コロナウイルス感染拡大後は、在宅勤務が標準的な勤務形態となり、食堂の利用が減少しました。そこで、私たちは、従業員の健康を維持しながらこのプログラムを継続する新たな取り組みである「ウォーキングラリー × TFT」を2020年から開始しました。

「ウォーキングラリー × TFT」とは、健康ポータルサイトPep Upを利用した全社イベントである「ウォーキングラリー」でJTグループの従業員が1日8,000歩を達成するごとに、会社から給食1食分の金額を寄付する取り組みです。2023年には、5月と10月の2回開催し、全国各地に勤務するのべ6,647名の従業員がウォーキングラリーに参加し、最終的にはTFTに2,064,280円を寄付することができました。

また、2021年からは、福利厚生であるカフェテリアプラン(従業員がポイントを使って福利厚生メニューを選択して利用)に寄付メニューを導入したことで、多くの従業員がTFTに寄付することができるようになりました。

なお、2023年にはこれらの支援(食堂でのTFTプログラム、ウォーキングラリー、ポイントでの寄付を含む)に対して、TFTより「プラチナパートナー」として認定されました。

「ウォーキングラリー × TFT」に参加した従業員からのフィードバック

  • 96%が、社会貢献に対する意識が高まった、社会貢献にも取り組む自社を働きがいのある会社だと思ったなどと回答

  • 58%が、健康的になり幸せを感じることができた、目標を達成することへの自信がついたなど、生活面での効果があったと回答

  • 65%が、同僚や上司と会話する機会が増え、コミュニケーション力やチームワーク力が向上したなど、仕事面での効果があったと回答

その他の日本での取り組み

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