JTグループの労働安全衛生

JTグループで働くすべての従業員に対し、業務上のあらゆる怪我や病気を防ぐために、健康で安全な職場環境を提供することは私たちの責務だと考えています。

JTグループにおける労働災害防止に向けた取り組み

JTグループの労働安全衛生

JTグループでは、「安全な職場環境の実現」「労働安全に関する知見の共有」「労働安全を重視する企業文化の醸成」を柱として安全な職場づくりに取り組んでいます。JTグループの労働安全衛生基準は、現地の法規制に準ずる、もしくはそれより高いレベルで設定されており、JTグループの従業員のみならず、請負業者やグループ事業所への訪問者も、その対象に含んでいます。

JTグループは、リスクの特定と低減、労働災害の防止、安全対策の継続的改善のための手順を定めており、騒音、粉塵、有害な化学物質へのばく露や身体的負担を伴うリスクへの対応など、労働安全衛生の管理に努めています。また、安全な職場環境を構築するため、安全衛生基準に従い業務プロセスや機器の設計を行うとともに、空気環境や温度、湿度、照度といった項目についてモニタリングを行っています。

さらに、各種プログラムやイベントを開催し、労働安全衛生意識の向上にも努めています。加えて、業務中や出張時の健康サポートプログラムを用意するとともに、従業員がいきいきと働くための様々な支援を行っています。

目指す姿

私たちは人財への投資を通じて、従業員や社会から選ばれる企業になることを目指します。

中期取り組み目標(KPI)

労働災害ゼロを目指し、労働災害発生件数を2023年までに25%、2030年までに50%削減します。(基準年:2015年)

たばこ事業の労働安全衛生の進捗

20万時間当たりの労働災害発生件数*は、2015年の0.72から2022年は0.38となり、47%減少しました。

2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022
労働災害件数
(20万労働
時間当たり)
従業員 0.72 0.64 0.67 0.50 0.49 0.29 0.33 0.38
*

20万時間当たりの労働災害発生件数の計算にあたっては、買収等で新たに加わった企業がJTグループの労働安全衛生基準を導入するために必要な期間(1年半)を考慮し、該当する企業の一部過去データを除外しています。

*

たばこ事業のサステナビリティの取り組みに関する進捗はこちらをご覧ください。

JTグループの労働安全衛生方針

JTグループの労働安全衛生方針は次の基本原則をベースとしたものです。

  • 何よりも人を大切に
    従業員とその家族、そして私たちが事業活動を行うコミュニティの人々の健康と安全、ウェルビーイングは私たちのあらゆる活動の根幹です。

  • 安全は全員の責任
    安全で健康な職場づくりには従業員すべてが責任を負い、一人ひとりがその実現のために役割を担います。

  • 怪我の防止を最優先に
    一日の仕事を終え、すべての従業員が怪我を負うことなく健康に帰宅できる安全安心な職場づくりを目指します。業績のために安全を犠牲にすることは決してありません。

  • 正しいことを実行する
    JTグループのすべてのオフィス、営業拠点、工場は、それぞれの国や地域で定められたすべての法律を常に遵守します。十分なレベルの関連法規制が制定されていない国の拠点には、従業員や請負業者、訪問者のために、JTグループの労働安全衛生基準が適用されます。

労働安全衛生に対するコミットメント

JTグループは従業員の労働災害ゼロを目指しており、すべての事業活動を安全に行うべく努めています。

私たちは、職場における従業員の健康と安全、そしてウェルビーイングの確保に向けた意義や方向性を示す「労働安全衛生方針」を公開しています。この方針は、私たちの労働安全衛生活動の基盤であり、これに基づき目標設定を行います。

また海外の事業所では、労働災害の防止や現地の法規制遵守、従業員との協議および継続的な改善など、私たちのビジョンや考え方を反映した独自の労働安全衛生方針を策定しています。この方針は、経営幹部自らが署名するとともに、毎年見直しを行い、その内容を従業員や請負業者等へ周知・開示しています。

さらに事業所ごとに、重大な労働安全衛生リスクに対して低減策を講ずるとともに、労働災害事例の記録や地域特性に応じたリスクの特定、そして具体的な目標や計画を策定しています。なお目標達成に向けて、現地の法規制を遵守するだけでなく、国際規格であるISO45001に則った労働安全衛生マネジメントシステムを導入しています。

車両事故リスクの低減に向けた取り組み

国によりリスクの程度は異なりますが、JTグループにおいて最も労働安全リスクが高いのは、車両やオートバイの運転、機械操作を伴う業務、またスリップ・転倒・転落のおそれのある作業です。

これらの労働安全リスクを低減し、労働災害を防止するために、サプライチェーン全体でリスクアセスメントに取り組んでいます。それが、職場における危険箇所の把握、適切な対応策の実施、そしてJTグループの従業員を守ることにつながっています。また、従業員の労働安全に対する意識を高め、労働安全を大切にする企業文化を日々の業務の中で醸成していくことにも注力しています。

2019年には、 海外の事業所で、新たに運転者向けの安全方針やガイドラインを策定しました。女性従業員の増加に伴い、方針には妊娠中の従業員が運転を行う際の安全対策(シートベルト補助具の設置や休憩時間の追加など)も盛り込まれています。

また、運転者の行動に注目し、すべての事業所でリスクアセスメントを実施し、事故を起こす可能性が高い運転者を特定するとともに、活動の成果や今後の対策について報告することも義務づけています。2020年に本アセスメントを完了し、その結果、海外の事業所(営業および原料調達部門)でのガイドライン遵守率は2020年80%、2021年85%となっています。また、今回のアセスメントで得られたベストプラクティスを運転者向けの安全方針に新たに反映することができました。

2022年には2,194名の従業員に対して安全運転講習を実施しました。コロナ禍のため、講習の一部(オンライン運転リスクアセスメント、コーチング研修)はリモートで行いましたが、高リスクの運転者については、可能な限り路上講習も行いました。 2023年には新たに4,300名の参加を予定しています。

さらに日本国内では、「業務中における車両事故の未然防止」を労働安全衛生計画の優先課題に設定しています。

グローバルに同じ基準を

地理的拡大の一環として、JTグループは新たな市場での企業買収を行っています。この中には、社会的・経済的に課題を抱える新興国での事業活動を行っているところもあります。私たちは、労働環境をより良いものとしていく責務があると認識し、買収後の企業にはJTグループの方針を確実かつ迅速に導入しています。また、こうした方針がすべての事業所で理解され、確実に根付くよう、各事業所を訪ねて責任者をサポートしています。

こうした国々においては、労働安全衛生の問題が、地域コミュニティ、従業員、請負業者、事業の継続性に重大なリスクを及ぼします。そのため企業買収を行う際には、早い段階からリスクを分析した上で体系的な取り組みを行うようにしています。

たばこ事業の労働安全衛生担当部署では、新たに買収しようとする企業が所在する国のリスクアセスメントを行い、JTグループの基準を満たしているかどうかを確認します。買収後は、現地事業所による主要リスクの特定や18カ月の行動計画の策定・実施をサポートし、各社の方針がJTグループの基準に沿ったものとなるよう支援していきます。

例えば、バングラデシュでは、道路の状態や運転者の行動が特に大きな課題となっていますが、運転者の安全のために、全車両をバイクから車に切り替えつつあります。

買収企業に対するHSアプローチ

従業員がいきいきと働くための支援

従業員がモチベーションを高め、その能力を最大限発揮できるようにしていくには、従業員がいきいきと働くことのできる職場環境づくりが欠かせません。職場の衛生環境や業務が身体に及ぼす影響を定期的に評価するなど、グループ内でさまざまな取り組みを行っています。

これらさまざまな取り組みを企画し運営するには労働安全衛生の具体的なデータが必要不可欠なことから、2018年に新たな方針を定め、すべての事業所に対して、職業性疾病に関連したデータを本社に報告するよう義務付けました。これにより、グループ全体でどのようなリスクがあるのかを把握し、職業性疾病に対してグループとして一貫した対策を展開するとともに、既存の取り組みも強化するよう努めています。

報告された案件はすべて、現場の責任者が調査し、原因を特定します。業務や職場に起因する疾病と判断された場合は、従業員の健康を第一に考え、再発を防止するため適切な措置を速やかに講じます。

日本国内における健康経営の取り組み

JTグループでは、経営理念である4Sモデルの中で重要なステークホルダーとして位置づけている従業員について、その一人ひとりの“心”と“体”が健康であることは、経営理念に基づく事業活動を行う上で欠かせない要素であるとともに、会社の持続的成長の基盤であると考えています。
日本国内では、労働安全衛生の取り組みに加え、従業員一人ひとりが心身ともに健康で持てる力を最大限に発揮できるよう、経営トップによる「健康経営宣言」のもとPeople & Culture担当執行役員を健康経営推進責任者に位置づけ、従業員の健康増進に努めています。

JTにおける健康経営の取り組み

2024年には、優良な健康経営を実践している法人として、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人2024~ホワイト500~」に認定されました。本制度が開始された2017年から8年連続の認定となります。今後とも、従業員の健康増進を重要な経営課題のひとつと位置づけて、積極的に取り組んでまいります。

健康経営優良法人2024~ホワイト500~

健康経営推進体制

日本国内では、従業員が心身ともに健康な状態を維持し、高いパフォーマンスを継続的に発揮できるよう、経営トップ主導のもと、People & Culture担当執行役員を健康経営推進責任者として健康経営推進委員会を設置するとともに、全国11カ所の主要エリアに専門の産業保健スタッフ(医師、保健師)を配置するなど充実した健康支援体制を構築しています。

健康経営戦略マップ

日本国内では、健康経営の取り組みから経営課題の解決までの一連の流れを可視化させるため、それぞれのつながりを図示した「健康経営戦略マップ」を作成しています。

モニタリング指標

日本国内では、企業の持続的成長に向けて、身体の健康/心の健康/ワークエンゲイジメント/プレゼンティーイズム/アブセンティーイズムを主要な観点としたモニタリング指標を設定し、従業員の健康増進に向けた取り組みについて、それぞれの施策でPDCAをまわしています。

多様性に根差した健康支援

日本国内では、多様性を尊重しており、従業員の健康支援についても、個々人の生活環境や価値観に基づき、自分に合った自分らしい健康づくりができるよう、多様性に根差した取り組みを行っています。
具体的には、全国11カ所のエリアに従業員の健康支援を専門に行う産業保健スタッフ(医師11名、保健師34名)を配置している強みを最大限に活かし、一人ひとりに対して、産業保健スタッフが個別に面談して、健康診断結果のフィードバックや個々人のライフスタイルに合わせた睡眠や食事、運動等の生活習慣に関するアドバイスを行っている他、地域特性等も踏まえた健康講話会や啓発イベントを事業所ごとに定期的に開催する等、きめ細かい健康支援を実施しています。

健康支援
健康支援
健康支援

社内外との協業

他企業とタイアップし、従業員が楽しみながら体験できるJT健康づくりプログラム(運動、食事、睡眠等、約40テーマ)を用意。これらの中から、各職場のニーズや課題感に応じたメニューを実施しています。また働き方の変化に合わせ、「オフィスでの対面形式」と「オンライン形式」のいずれの方法でも開催可能になっています。(2022年度はオンラインでの開催)

また、ジェイティ健康保険組合とのコラボヘルスも積極的に展開しています。例えば健康ポータルサイト「Pep Up」を活用し、社会貢献活動を兼ねた全社イベントとしてウォーキングラリーを開催しています。

従業員の健康づくりと社会貢献:ウォーキングラリー × TFT

日本国内では、2010年から「TABLE FOR TWO(TFT)」プログラムに参加しています。これはJT本社社員食堂で従業員がTFTメニューを1食購入するたびに、途上国に給食1食分の金額を会社が寄付するという取り組みで始まりました。

2020年からは、TABLE FOR TWOと連携し、健康ポータルサイトPep Upを活用した全社イベント「ウォーキングラリー」を実施しています。この取り組みは、運動習慣のきっかけづくりと職場の活性化、そして社会貢献活動を兼ねた形となっています。2022年は5月と10月の2回開催し、全国で6,009名のJTグループ従業員が参加しました。1人の従業員が1日8,000歩を達成するごとに途上国の子どもたちへ給食1食分を寄付することとしており、2022年度の寄付総額は1,858,860円となりました。

従業員のボランティア活動を含む社会的責任の発揮に関する取り組みについてはこちらからご覧ください。

メンタルヘルスへの取り組み

日本国内では、職場におけるメンタルヘルスの重要性を認識し、メンタル疾患の予防に取り組んでいます。専門医やカウンセラーによる社内相談窓口の設置や、社外専門機関による電話・面談カウンセリング、ラインケア/セルフケアセミナーも実施しています。

これらの取り組みにより、メンタル不調者の発生率は低い水準で推移しています。なお、モニタリング指標「アブセンティーイズム(社員1,000人あたりの欠勤日数(身体疾患含む))」を設定し、労使間で検証を行っています。

多様な働き方と労働時間管理への取り組み

多様な働き方を選択・実現できる仕組みとして、テレワーク制度、コアタイムのないフレックスタイム制度の導入、育児・介護のための制度整備を進めるとともに、在宅勤務時に必要なPC等の機器や社内ネットワーク環境を円滑に使用できるよう対応を行っています。

また、労働時間は社員の心身の健康に大きな影響を及ぼすことから、上司と部下のコミュニケーションを基本としたうえで、パソコンでのログオン/ログオフ時刻を上司が確認しつつ勤怠管理を行えるシステムを導入するなど、適正な労働時間の把握・管理に取り組んでいます。加えて、労使で時短推進検討委員会を設置し、社員が心身ともにリフレッシュできるよう、時間外労働の削減や年休取得の促進に積極的に取り組んでいます。
これらの取り組みにより、近年の所定外労働時間は1カ月平均20時間前後で推移しており、生産性の向上にも寄与しています。

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