全国に広がる「JTの森」JTの森 鯉が窪にいみ(岡山県)
次代につなぐ魅力あふれる森づくり
「JTの森 鯉が窪(こいがくぼ)にいみ」のある岡山県新見市は、県の最西北端、高梁川の源流域に位置し、北は中国山地を介して鳥取県に、西は広島県に接しています。市内の大半が石灰岩質のカルスト台地上に位置しているため、いくつかの鍾乳洞も見られます。気象や地質、水環境など豊かな自然環境を背景に、千屋牛、ブドウのピオーネ、トマト、桃、紅茶やキャビアなどが特産品となっています。
協定林では、豊かな水環境を支える森林の水源涵養や土砂流出防止の機能をさらに発揮させるための森林整備を行います。また、鯉が窪湿原を次代に残せるよう、伐採されたマツクイムシの被害木や風倒木等の搬出を実施して、湿原本来の環境の維持と生物多様性の保全に取り組むことで、多様な生きものが暮らす湿原に恵みをもたらす森づくりを目指します。
2022年からの2期目では、1期目から対象森林区域を変更した上で、森の健全な成長に必要な間伐とそれに伴う作業道新設、及びこれまでに植栽した幼木の健全な育成を中心とした整備を行い、湿原本来の環境の維持と生物多様性の保全に取り組みます。
活動の概要
場所 | 岡山県新見市哲西町上神代・大野部地内新見市有林 |
面積 | 約50.95ヘクタール |
活動期間 | 8年4カ月
2016年11月-2022年3月(1期) 2022年4月-2025年3月(2期) |
整備目的 | 高梁川水源にあたる人工林の水源かん養機能のさらなる発揮、鯉が窪湿原周辺の森林の維持管理 |
主な整備 | 間伐、作業道新設など |
葉たばこの一大産地だった新見市
岡山県での葉たばこ耕作は薩摩地方から伝播し、宝永7年(1710年頃)に岡山県和気郡福河村寒河(現備前市日生町)で作られたのが最初といわれ、在来種は備中葉(野馳)が知られています。中でも新見市は、かつては葉たばこ産地として知られ、1970年代(昭和50年代)後半には作付面積が県下1位の約250ヘクタールとなるだけでなく、その品質においても8年連続日本一を記録する全国屈指の産地でした。
現在では葉たばこ栽培で培った広葉樹の落ち葉と細断したカヤを利用した土づくりの技術などを生かし、ブドウの「ピオーネ」の生産に力を入れており、県内有数の大産地となっています。林地での落ち葉かきは里山の維持管理に、カヤ場利用は遊休農地の発生防止になることから、人の暮らしと自然のつながりを身近に感じられる場所です。事業を支える自然に対する感謝の想いから始まった「JTの森」らしい活動地の一つです。
鯉が窪湿原
鯉が窪湿原は標高550mに位置しており、3.6haの広さの「ため池」の上流部に、0.9haの湿原が形成されています。湿原の周囲は2.4kmあり、40分ほどで一周できます。日本が大陸と地続きだった頃の植物をはじめ、200種を超える貴重な湿原の植物が自生し、春・夏・秋それぞれに可憐な花を咲かせ、訪れる人を楽しませてくれます。1980年には「鯉が窪湿生植物群落」として国の天然記念物に指定され、毎年多くの観光客が訪れています。一方で、地下水位の低下や高木による光環境の悪化、マツクイムシによるマツ枯れ被害や風倒木等が発生しており、湿原ならではの景観や環境への悪影響が懸念されています。