2023/11/16

INTERVIEW

【2023-24 V.LEAGUE】
田中瑞稀主将インタビュー

在籍10シーズン目で主将に就任した田中瑞稀選手に、主将としての意気込みや今シーズンのチームの展望、状況を伺いました。

「プレーや姿で引っ張りたい」

在籍10シーズン目でキャプテン就任、思い描くキャプテン像は?

正直に言うと、もう自分は(キャプテンになることは)ないかな、と思っていたんです。
でも今シーズンが始まる前にトモ(吉原知子監督)さんから「誰とも比べることなく、瑞稀は瑞稀のままでキャプテンをしてくれればいい」と言われたので、私なりに頑張ろう、と思いました。もともと言葉にするのはあまり得意ではないので、プレーや姿で見せられればと思いますが、言うべきところでは言わなければいけない。自分の中で覚悟というか、腹をくくったところはあったので、ヨシ、やるぞ、という気持ちでもあります。

チームとしては昨シーズン、さらには前々回シーズンの悔しさもあります

新型コロナウイルスの影響で決勝が中止になった21/22シーズンは、どこにも行き場のない気持ちがあり、今もその悔しさが消えたわけではありません。昨シーズンが始まる前にその分も絶対に晴らそうという思いで臨んだのですが、結果的に最後までチームとして1つになることができず、今まで積み上げてきたJTマーヴェラスのバレーを出し切れなかった。勝ちたい気持ちは全員が持っているけれど、本当に優勝したいと思っていて、それでもその意識なのか、行動なのか、とお互い向くほうが1つになりきれないまま、大事なところで勝つことができなかった、という印象でした。勝ったシーズンと決定的に違ったのは、苦しい時こそ「大丈夫だよ」と手を取り合って戦ってきていたのに、昨シーズンは苦しい時にチームとして信頼し合うことができなかった。練習でやってきたことしか試合では出せないので、練習から追及する甘さが出てしまった、という反省が残ったシーズンでした。

課題や反省を踏まえ、今シーズン特にチームとして重視して取り組んできたことは?

今までJTマーヴェラスとして大事にしてきたハードワークやディフェンス面の粘り強さは特に重点を置いて取り組んできました。もちろん勝つためには攻撃面の強化も必要ですが、その前にディフェンス面で簡単にボールが落ちないチームになるために頑張ろう、と意識してやってきました。

一人一人が考えて動けるチームに

田中選手ご自身は日本代表でチームを離れる期間も長くありました。その間はどんなコミュニケーションを取ってきましたか?

リーグが始まる直前までチームを離れていたので、その間は副キャプテンの塩出(仁美)に任せきりでしたが、塩出からいろいろと話を聞いていたし、私からも「一人一人がチームのためにどう動くか、どんなところで貢献できるかを考えて動けるようになってほしい」とお願いしていました。私だけでなく、今年は国際試合も多く、メンバー全員が揃って練習できる日数は限られていましたが、だからこそ人と人との繋がりが大切になるので、個々の能力を上げることはもちろん、いかにチームとして力をつけるか。そのためにそれぞれが何をできるかということを重視してきました。

チームに合流してどんな変化を感じましたか?

しっかり練習を重ねてそれぞれが自信をつけたな、と感じました。特にセッターの東(美奈)、リベロの西崎(愛菜)、ミドルの成瀬(ももか)は自分で考えて取り組んでいるのがビシビシ伝わってきました。昨シーズンは出場機会が多かったわけではないですが、西崎も「ブロックでこのコースを開けてくれたら私が拾うので、私のところに打たせて」と指示を出して、実際に拾ってくれる。もともと度胸のある選手だというのはわかっていましたが、本当に頼もしいです。練習で重ねた自信がついたのを感じましたし、私も伝えてきたことを実践してくれている姿が見られて嬉しかったです。

田中選手も日本代表として多くの経験を重ね、得られたことがたくさんあったのではないでしょうか

1人の選手として足りないスキルもよくわかったし、もっとこういうことができるんじゃないか、というのがわかったのも収穫です。五輪予選とアジア大会、いろいろな選手と関わる中で、チームのためにどうすればプラスに働きかけることができるかも考えるきっかけが多々あったので、個人的にもいい経験ができました。アジア大会に出場する国の中には、十分な環境に置かれていない選手も多くいて、改めて自分たちがどれだけ恵まれた環境でバレーボールができているかということも実感しました。だからこそ、やらされるのではなく自分で向上心を持って、環境に甘えることなく取り組んでいきたいし、いかなければならないと思いました。

響く応援の声「会場で田中グッズも見ています(笑)」

バレー人気を盛り上げるために、地元への働きかけなどさまざまな活動をしています。例えばホームゲームでこんなことをやってみたい、と思うことはありますか?

バレー教室やSNSでの発信をしていますが、まだまだ足りない。私たちが西宮を拠点にしたチームだということも残念ながら知られていないのが現実です。
まずは気軽に「バレーボールを見に行ってみようか」という環境をつくりたいし、家族連れや親子でも楽しめるようなアトラクションもつくれたらいいな、と思いますね。たくさんのお客さんが入った中でプレーすると選手としても盛り上がるので、ぜひ多くの方にJTマーヴェラスの試合を見に来てほしいです。

応援の力を感じる時、例えばどんな時ですか?

プレーしている時から観客の方々の声はものすごく聞こえています。1本決まった時に盛り上がってくれて、その声に私たちがさらに乗ることもあるし、劣勢の時に聞こえる「頑張れ」という声にも背中を押される。声だけでなく会場もよく見ているので、今日は田中グッズを持ってくれている方が多いな、とか、見つけると嬉しいですよ(笑)。反対に少ないと「今日は林(琴奈)が多いな」と思うこともありますから(笑)。見るだけでなく、いつも感じている「ありがとう」の気持ちをまだまだ発信できていないので、積極的に伝えていきたいですね。

特に今シーズンはJTマーヴェラスのこんなところを見てほしい、というのはどんなことでしょうか?

ボールが落ちない粘りや、球の迫力。バレーボールを楽しんでいただけるのが嬉しいですし、私たちのチームカラーとして、元気の良さやベンチの盛り上がりも1つの推しポイントなので(笑)、みんなでワイワイ盛り上がりながら戦っているところを見ていただきたいです。

改めて、今シーズンの目標を教えて下さい

優勝します。優勝です。(小川)愛里奈やジャジャ(サンティアゴ・アライジャダフニ)も来てくれて、アニー(アンドレア・ドルーズ)もまたチームに加わってくれた。戦力は間違いなく上がって、優勝を狙えるチームだと思うので、今年は絶対に獲りにいきます。
周りからの期待も大きい分、プレッシャーがないわけではないですが、いい意味で自分たちにプレッシャーをかけつつ優勝を獲りにいく。そのためにもまずは、ここまで積み上げてきたJTマーヴェラスらしいバレー、それぞれがハードワークして、自信を持ってやるべきことを発揮する。そして試合を楽しむことが第一だと思うので、見てくださった方々の心が熱くなる。「JTマーヴェラスっていいチームだね」と思っていただけるようなバレーボールをお見せできるように頑張ります。