2022/10/21

INTERVIEW

「2022-23 V.LEAGUE」開幕直前!
小野寺太志主将インタビュー

「2022-23 V.LEAGUE」開幕直前! 小野寺太志主将のインタビューをお届けします。

今シーズンからラウル・ロサノ監督が就任、新体制となりました。小野寺選手は日本代表シーズンを終えてから合流し、どんな印象を受けましたか?

日本代表で離れている期間も連絡は取り合っていたので、朝からボール練習をハードにやっている、と聞いていましたが、実際に参加してみると想像以上でした。例えば、練習や試合時に、僕らはジャンプの計測器をつけて何回跳んでいるかを測るんですね。これまでは100回を超えたら「結構跳んだね」という話をしてきていたのに、今では250回跳ぶこともある。
ボール練習も、これまでは午後3時半頃から始まって、ウォーミングアップも含めて2時間半程度でしたが、今は朝8時半に始まり、3時間から3時間半みっちり練習をしています。朝9時には全員がフルジャンプでスパイクを打っている経験は僕も初めてです(笑)。
生活リズムも変わりますし、夏場に合宿へ来た大学生が「朝からこんなにハードにやっているの?」と驚くぐらいのハードさではあります。しかし、クオリティや雰囲気は非常に良いものを感じるので、昨年より成長した姿を見せられると思っています。

選手を見て、感じられる変化はありますか?

身体のキレは確実に違います。ジャンプ練習をこれだけ毎日重ねてきているので、疲労に対する慣れもありますし、一人一人のレベルが高くなって、身体のタフさも感じますね。
ロサノ監督は細かく指示を出してくれて、1つのミスもそのまま流さないで何が悪かったかを説明してくれるし、監督の意向を伝えたうえで、そこに従って僕らもプレーできている。わかりやすい状況でプレーしている実感があります。

これまでも外国人監督の指導を受けてきた経験がある小野寺選手から見て、ロサノ監督はどんな監督ですか?

普段は陽気なおじいちゃんです(笑)。でもヴィスコ(ヴェセリン・ヴコヴィッチ前監督)やティネ(ティネ・サトレル前監督)とはまた違う。長年監督として世界を渡り歩いてきた人なので、監督として目指すチーム像を持っているし、割り切るところは割り切る。そのうえで「チームとしてこういうことをしたいからこうしなさい」と指示をしてくれるので、練習が長く、ハードでも集中力を保ってプレーできている。それは間違いなく監督の指導のおかげです。ブロックもシチュエーションに応じてさまざまなパターンがあって、システム的にハマった時は褒めてくれるし、ディフェンスからうまく切り返した時も「いいプレーだった」と評価してくれる。
個人的には、サイドのブロックも位置取りや形など、全体的に成長しているな、と感じます。攻撃も速くなっているので練習でも簡単に止められないし、そもそも2枚でブロックにつくことすら難しい。これまでAB戦をする時は僕がブロックポイントを多く取っていたのですが、今は簡単に取れない。僕自身もいい練習になりますし、チーム全体のレベルが非常に高くなっていると思います。

改めて昨シーズンを振り返って、チームとして、どんなところが不足していた、課題だったと感じますか?

プレー面を挙げればキリがないほど課題が出てきますが、それよりもまず勝利をつかみに行くための雰囲気やメンタル、状態がつくりきれていませんでした。負けが続くと負けに慣れてしまうし、いい展開をつくっても1セットしか持たない。いい雰囲気を継続できる力が足りなかったことが一番の課題だったと思います。それはいざ試合でやろうとしてもできるものではないので、練習からつくって、足りない部分をみんなで補っていかないといけないことでした。

昨シーズンに関していえば、若い選手がコートにたくさん入り、金子聖輝選手がセッターとして上げるようになったシーズンで、どこかみんなが探り探りプレーしている状態でした。結果が出せればそこから成長していけたと思いますが、勝ちにつなげられなかったので余計にいろんなところへ目が向いてしまって。ここがよくない、あそこがよくない、と一つ一つ課題を潰すのに時間がかかってしまった。
僕自身もミドルブロッカーで、半分以上はコートにいないこともあり、どうしていいか分からなかった、というのも正直な気持ちです。せめて自分が入っている時はプレーで引っ張りたいと思っていましたが、いいプレーができないと周りに声をかけられなかったのも反省点です。主将としても責任を感じさせられたシーズンでした。

主将の難しさをどのような時に感じましたか?

課題解決をしていくために先頭にいないといけないし、目指す方向の指針でなければならない。自分だけ前を見るのではなく全体を見て指摘しないといけないし、試合になれば自分のプレーもしないといけない。勝つための方向を見失わないようにしないといけない。とにかくやることが多かったです。トーマス・パトリック・エドガーもチームを勝たせようとハッパをかけてくれていましたが、まずは主将である自分が、と思う気持ちもありながらも、実際はなかなかうまくいかない。みんながみんな、違う方向へバラバラになってしまう感じがあっても、食い止められない。難しかったし、大変でした。
僕だけでなく、金子も同じだったと思います。セッターというポジションで負ければ責任を背負うし、若手だけれどチームの副主将でもあったので。金子自身も試合に出始めて不安もある中、自分より下の選手もたくさんいたから先輩として頑張らなきゃ、踏ん張らなきゃ、というのもあっただろうし、迷うシーンがたくさんあっただろうな、と思います。

昨シーズンは東京2020オリンピック競技大会を終えてのシーズンでしたね。今シーズンもFIVBバレーボールネーションズリーグ、世界選手権と数多くの大会を重ね、あっという間にV.LEAGUEが開幕します

今年は海外遠征も多かったので、特に速かったですね。本当にあっという間で、疲れました(笑)。でもV.LEAGUEと日本代表はやはり直結するものであると思うし、実際に2019年のワールドカップはたくさんの方々が見に来てくださって、その直後の広島グリーンアリーナで開催されたホームゲームには6500人が来てくれた。当時は1日1試合ではなく2試合だったこともありますが、広島でそれだけ集客できた理由を考えると、演出や見せ方の工夫に加えて、代表の結果も大きく影響していたと思います。
今はまだコロナ禍で、土日同じカードで2チームしか見られないのが見に来る方からするとネックなのかもしれません。それでも、集客して認知度を高めるために、僕たち選手にできることはたくさんあると思います。あくまで僕個人の意見ではありますが、SNSで発信するだけでなく、取材を通して広く発信すること、地元に向けてPRすることも必要。より多くの方々にバレーボールという競技の魅力を伝えるために、選手が協力できること、やるべきことはまだまだたくさんあると思います。

V.LEAGUE全体を見ても、新監督、新加入選手、新たな組織となった新チームなど、今年は変化のシーズンでもあります

リーグ全体としてもそうですし、JTサンダーズ広島としても新しくなった姿が見られるのではないかと思います。昨シーズン、その前のシーズンはリーグも6位、天皇杯も黒鷲旗全日本男女選抜バレーボール大会でも結果を残すことができず、見ている方々には下位のチーム、という印象がついてしまったと感じます。この2シーズンでそう思わせてしまったのは僕らの力不足でもあるので、ここからどれだけ払拭できるか。チャレンジャーとして向かっていくだけですよね。
今シーズンはユニフォームも新しくなり、監督、選手も変わりましたが、これまで勝てなかったシーズンの悔しさは変わらず胸の中に残っています。だからこそ今シーズンは貪欲に勝利を求めたいし、勝ちにこだわりたい。そういう姿を今シーズンはお見せしたいし、できると思っています。
リーグ全体を見ても新加入や再加入、移籍した選手が多いチームもあるし、どこが強いか、どこが勝つか、読めないですよね。新たな刺激や試みがたくさんある、楽しいシーズンになると思っています。

今シーズンの目標を聞かせて下さい

今シーズンはV.LEAGUE、天皇杯、黒鷲旗全日本男女選抜バレーボール大会で優勝を目指す。これはチームとして間違いなく持っている目標ですし、僕自身も勝ちたいという思いも強く、ここまでの手応えも感じています。優勝争いに加わる力はついてきたと思うので、新外国人選手、新監督の力を借りることに加え、それ以前にまずは日本人選手一人一人が、自信を持ってプレーする。それができればもっと強くなれるし、1試合でも多く勝つ姿をお見せすることもできるはずです。 ここ2シーズン、あれだけ負けている中でも変わらず応援してくれた方がたくさんいて、僕らにとって大きな力になりました。その恩を返し、感謝を示すためにも、僕らが勝つ姿、活躍する姿を1試合でも多く皆さんにお見せできるように頑張ります。個人としてはプロになって2シーズン目、主将としても2シーズン目。まずは主将として成長した姿を見せなきゃいけないと思います。また、去年は模索しながら戦うばかりで、チームのために何も見せられなかったので、このチームをまとめること。そして勝ちに導くことも主将として必要な、僕の役割。その役割を果たせるように、チームの勝利と個人賞獲得も目指して頑張ります。