2024/10/11

INTERVIEW

【2024-25 大同生命SV.LEAGUE】
開幕直前! 酒井大祐監督インタビュー

「失敗を恐れず、トライしながら引き出しを増やす。新たな挑戦を見てほしい」

就任1年目となる酒井大祐監督に現在のチーム状況、そして今シーズンの展望を伺いました。

2004年から2014年まで、サンダーズで11シーズンプレーした後、9年ぶりに復帰。しかも男子ではなく女子チームの監督就任までの経緯を教えて下さい

はじめはコーチとしてお声がけいただいたのですが、着任予定だったダニエル・カステラーニ氏が健康上の理由で急遽来日できなくなってしまった。僕自身も豊富な経験を持つ監督のもとでコーチとして勉強したいと思っていたので、最初は監督に就任する予定はなかったのですが、練習や試合で時間を重ねていくうちにやってみよう、と。
コーチの経験はありますが、コーチはボールを使う練習に関することは意志決定の機会もありますが、監督はチームに関わるすべてのことにおいて意思決定しなければならない立場です。わからないままあっという間に時間が過ぎ、今もまだ、監督としては不十分なことばかりですが、周りのスタッフに助けられて、何とかやっている、というのが現状ですね(笑)。

監督就任にあたり、選手に向けてはどんな話をされたのでしょうか

以前から選手たちも攻撃に対して4枚で入るなど、意識高く取り組んでいることは聞きました。僕も男子バレーの出身で、今は男子バレーが人気を集めていることをプラスにとらえ、女子でも男子と同じようにダイナミックなバレーボールを採り入れてみたらどうだろう、という話はしましたね。新しいことにチャレンジする時、最初からうまくいくことばかりではありません。だからどうしてもミスを恐れて安全策を選んでしまいがちですが、新しい引き出しを増やし、解決策、選択肢を増やすためにはたくさん失敗して、時にミスをしながらでもトライしてみなければわからない。できなかったことよりも、トライすることを評価したい、というのは選手たちに伝えました。

酒井監督ご自身もまさにチャレンジでトライのシーズンでもあります

今まで男子バレーの世界にいたので、女子バレーを見る機会自体も限られていた。女子選手も決してスキルが劣るわけではないのですが、何が違うのか、というのは注意深く見るようにしてきました。スピードやパワーといった絶対的な違いはありますが、たとえば2人がブロックに跳び、タッチを取られて相手に得点を与えてしまったとしたら、そのボールはどちらのボールだったのか、ということをすぐに判断したい。レシーブも同様で、1つのボールに2人で飛び込んで取りに行くのはやめよう、ちゃんと責任の範囲を定めて取りに行こう、ということは選手にも共有しています。全体に向けて話すのはもちろんですが、まずはちゃんとコミュニケーションを取ることから始めなければならない、と思ったので、選手一人一人と1対1で面談する機会も設けてきました。

技術の面で酒井監督が掲げるバレー、特にどんなことを重視していますか

細かいことになりますが、サイドアウトを簡単に取れなくても、ラリーの回数は減らしたい。たとえばスパイクに目を向けても、ブロックアウトを取るのならばどこに当てて、どの方向へ飛ばせば相手が取りづらいか。考えて、必要な技術を磨くことが必要です。関連して、より効率的に得点をするためにはサーブの効果を高めていくことも大切です。昨シーズンのデータを見ると、ブレイクの回数は多かったのですが、それはブロック力が優れたローテーションがあったからであって、サーブの効果率が高いわけではありませんでした。まずはいかにサーブで攻めて、ブレイクにつながる可能性を上げられるか。ブロックとディグで切り返して、いかに得点できるか。少しでもいい状況で攻撃ができる展開をつくれるようになりましょう、ということを選手たちには求めています。

練習時間や内容、意識するのはどんなことですか

基本的に練習は朝2時間、午後も2~2.5時間です。朝もウェイトトレーニングとボール練習を組み合わせるので強度は高いですし、午後の練習も常に動き続けるメニューを組んでいるので、時間自体は短いですが選手は大変だと思います。

男子チームは練習時間も短くなっていますが、女子は比較的長い。選手のギャップや戸惑いを感じることはありましたか

最初はあったと思います。僕の考えとしては、試合を想定した時に集中力を高めて取り組めるのはおおよそフルセットの試合と同じぐらい、2時間半程度ではないかと。1つセッションを20~30分、それを5つ組み合わせればだいたい2時間半ぐらいなので、やる時は集中してしっかりやる。頭と身体を動かし続けるのであまりに長時間では持たない。時間は短く、でも質は濃く、強度も高く。選手も重ねていく中で対応してくれています。

現役選手の頃からプロとして活動、バレーボールの未来を考え行動してきました。指導者としてSVリーグに変わる中、変化を求めることや必要性を感じることはありますか

昨シーズンの試合映像を見返した時、最初に思ったのは観客の数が少ない、ということでした。もちろんどんな時も熱心に応援して下さるファンの方々はいて、感謝の思いは尽きません。でもSVリーグになれば、会場によって観客の数も結果で現れる。もっと選手たちも、チーム自体も露出の機会を増やすことは大切だ、と改めて思いました。

発信の機会をもっと多くつくることも重要

まずは知ってもらうこと。それがなければどんなにいい選手がいて、どれほど面白いバレーをしていてもなかなか広がっていきません。監督として、このチームや選手たちの魅力を1人でも多くの人たちに知ってほしいと思っていますし、ファンの方、地域の方、メディアの方々にももっと見てほしい。もちろん何でも発信すればOKという世の中ではありませんが、バレーボールというスポーツ、大阪マーヴェラスというチーム、選手の魅力はどんどん発信すべきだと思っています。

若手からベテラン、実際に魅力溢れる選手たちが多く揃っています

若手選手から言えば、代表選手が抜けている夏場に頑張っている姿を見てきました。特にアウトサイドヒッターは(夏場は)人数が限られる中、西川(有喜)、宮部(愛芽世)が頑張ってくれた。ミドルブロッカーの大山(遼)もオポジットで試合に出ながら「やはりミドルで頑張っていきたい」と練習しています。同じポジションには榊原(菜那)、成瀬(ももか)もいて、経験豊富なジャジャ(蓑輪 幸)や小川(愛里奈)もいます。いろいろな選手を試合では起用していきたいと思っていますし、リーグ中にも自分の成長につなげられる。そういう時間にして、もっともっと上手になれる、と実感してほしいです。

キャプテンの田中瑞稀選手、目黒優佳選手などリーダーシップに長けた選手もいます

2人とも性格やキャラクターは違うのですが、それぞれの長所を生かしてチームをまとめ、引っ張ってくれているので心強いです。若手ですが、西崎(愛菜)も後ろから全体を動かしていますし、プレーも振る舞いも堂々としている。これからまたいろんな選手が出てくると思うので、楽しみですね。あとは監督がちゃんと活かすことができるか。監督次第です(笑)。

監督として迎える1年目、目標を教えてください

もちろん優勝です。優勝します。すべての試合を勝って連勝街道を進むことも理想かもしれませんが、試合数が非常に多いので選手のコンディションを鑑みながら、その時々ベストの布陣で勝負したい。チームとして戦っていきたいですし、その姿を多くの方に見ていただきたいです。

応援してくれる方々に向けてメッセージをお願いします

選手たちは毎日の練習でいろいろなことにトライしています。その成果を発揮するのが試合なので、まずは何より、選手たちがコート上でバレーボールをしている姿を見てほしい。チームではサーブとアタックの強化を掲げて取り組んできましたので、たとえばサーブを打つ時も1周目は誰がどんなサーブを打つか。アタックもただ打つだけでなく、こんなコースに打てるのか、こんな取り方ができるのか、という引き出しにも注目してほしいですね。まずはサーブで主導権を握って、面白いバレーボールをお見せ出来ればと思います。それぞれ推しの選手を見つけて楽しくバレーボールを見てください。