人財への投資と成長機会の提供

JTグループにおける人的資本

社会、事業環境が非連続に変化する時代において、社会・JTグループが持続可能であるために、目指すべき方向を示すJT Group Purpose「心の豊かさを、もっと。」を新たに策定・公表しました。本Purposeは未来社会におけるJTグループの価値提供領域を表すだけでなく、中長期戦略の策定・遂行、新規事業開発、サステナビリティ活動および企業風土醸成などあらゆる取り組みの求心力となるものです。本Purposeの実現に向けた活動すべての起点となるのはJTグループ従業員一人ひとりであり、今後、その重要性はさらに高まっていくと認識しています。

このような認識のもと、引き続きJTグループ人財マネジメントポリシーを人財に対する基本的な考え方とした上で、人的資本の明確化および拡充に資する人事施策の高度化を進めています。人的資本を、企業活動を支える「人財」、活動の判断基準・行動様式となる「組織風土」、人財と組織風土の好循環を生み出すための「オーナーシップ(一人ひとりの主体性)」と定義するとともに、定期的なモニタリングにより、着実な人的資本の拡充に取り組んでいきます。これらを通じて、JTグループの従業員が、提供価値の拡大・進化や、新しい価値の探求・創造といった企業活動を推進することに加え、事業や組織の枠を越えて社会の一員として活躍することで、心豊かな社会づくりに貢献していきます。

JTグループにおける人的資本 図

人財

JTグループは、これまでも、「人財の多様性こそ、競争力の源泉」と捉え、異なる属性やバックグラウンドを持つ人財の採用に取り組んでいます。さらに、これらのJTグループの企業活動をドライブする人財一人ひとりが、持てる能力を最大限発揮できるよう努めています。今後も、既存事業(たばこ事業、医薬事業、加工食品事業)の拡大・最適化を推進する人財、時代とともに変化していくであろう心の豊かさに対応する新たな事業の開発を推進する人財、JTグループの経営・事業をリードする人財の戦略的な確保と成長の支援に一層注力していきます。

また、多様な人財一人ひとりから選ばれ続ける企業であるため、People come firstという考えのもと、従業員の心身の安全・健康を大前提とし、JTグループという職場でいきいき働けるよう、さまざまなライフステージの従業員が自身の志向するワークライフバランスやキャリアを実現できる制度の充実にも努めています。

  • アコーディオンを閉じる
  • アコーディオンを開く

組織風土

多様な人財がJTグループの一員として、ともに企業活動を推進していく際に重要となるものが、組織風土(組織で共有すべき価値観)です。この価値観が組織に根付き、企業活動における判断基準・行動様式になることは、私たちがユニークな価値を持続的に創造していく上での重要な要素と考えています。

JTグループでは、高い倫理観に基づく誠実さ、お互いの成長を支援する風土を培ってきました。これらの風土を引き続き大切にするとともに、価値観の多様化が進む不確実な時代の中でさまざまな「心の豊かさ」を社会に提供していくために、従業員のチャレンジをこれまで以上に後押しすることに加え、社内のみならず社外との共創を推進していくことで、時代に適応したJTグループらしい組織風土の醸成に努めていきます。

  • アコーディオンを閉じる
  • アコーディオンを開く

オーナーシップ(一人ひとりの主体性)

多様な人財がその能力を最大限発揮しながら、JTグループらしい価値を創造していくためには、一人ひとりがJTグループの組織風土を形成するとともに、組織で共有された価値観が多様な人財の判断基準・行動様式として伝播していく好循環(人財と組織風土の相互影響)が重要と考えています。そのためには、一人ひとりがJT Group Purposeを理解し共感した上で、JTグループの重視する価値観・行動を主体的に実践・推進していくオーナーシップが重要となります。私たちは、取るべき行動のガイドラインとしてのValues/Behaviorsを策定し、一人ひとりがその意味を考える機会を提供するとともに、実際の行動を定期的に振り返られるよう、評価制度にも組み込んでいます。

これらの人的資本の拡充に向け、社内外における多様な人財を惹きつけるとともに、いきいきと働ける組織づくり、さらには一人ひとりの成長と強みや能力の発揮を後押ししていく観点から、6つの注力テーマを設定し、それぞれの注力テーマにおける取り組みの進捗や施策効果を把握するための指標を設定しています。そして、JTグループ従業員を対象としたエンゲージメントサーベイを今後も継続的に実施し、グループ全体での状況把握や施策の検証・改善を毎年行っていきます。前回サーベイ(回答率92%)でのJTグループ全体の従業員満足度は77*と一定の水準にありましたが、人的資本拡充に向けた取り組みを通じて、さらなる向上を目指します。

*

従業員満足度:回答スコアの平均値
集計範囲:JT単体およびグローバルを含む主要子会社(次頁以降も同様)

人的資本を拡充する6つの注力テーマ

1.DE&Iの推進

2.人財の戦略的な確保

3.働きやすい環境の整備

4.心身の安全・健康の推進

5.自律的な成長の支援

6.社内外との共創の促進

  • アコーディオンを閉じる
  • アコーディオンを開く

注力テーマ1 : DE&Iの推進

JTグループでは、多様な人財が継続的に活躍できる環境づくりを行うことが、持続的成長につながると考えています。

私たちは、従業員一人ひとりの属性やバックグラウンドといったさまざまな違いを「競争力の源泉」となる「価値」と捉え、人財の多様性を大切にしています。そして、多様な人財が、属性や価値観の違いにかかわらず公正に扱われ、継続的に活躍できる環境づくりに取り組んでいます。

多様な人財の確保と活躍推進

全世界で100以上の国籍の従業員が働いているJTグループでは、従業員の人種、宗教、民族的出自、出身地、ジェンダー、年齢、障がいの有無、性的指向、配偶者の有無、そして経験、専門性といったさまざまな違いを価値として捉えています。加えて、これらの多様な人財を尊重し、差別やハラスメントのリスクを心配することなく、誰もが同じチームの一員だと感じられるような組織でありたいと考えています。

さまざまなバックグラウンド・価値観を持つ人財を継続的に採用し、従業員には互いの多様性を理解するための活動(例:多様な価値観を共有する機会やLGBTQ+等の基礎知識を学ぶセミナーなど)を行っています。さらに、自身のバイアス(先入観、偏見)を知り、異なる価値観を理解・受容し、尊重するための研修も行っています。また、同性のパートナーであっても配偶者と同様の各種社内制度が利用できる整備を進めることで、性自認や性的指向の違いを公正に扱う組織づくりに尽力しています。

これらの取り組みにより、JT Internationalでは、Ernst & Young Global Limitedが実施するジェンダー平等に関する国際基準「Global Equality Standard (GES)」の初の認証企業の一つとなりました。また、日本国内でも、LGBTQ+インクルージョンの取り組みは着実に進められており、2023年にはJTが8年連続で、PRIDE指標で最高評価となるゴールドを獲得しました。

  • アコーディオンを閉じる
  • アコーディオンを開く

ジェンダーの平等~女性の活躍推進~

JTグループでは、ジェンダー平等を事業上取り組むべき優先事項として掲げており、女性マネジメント比率を増やすとともに、すべてのレベルにおいてジェンダー平等を達成することを経営課題の一つとしています。そのため、経営陣のコミットメントのもと、「2030年までに女性マネジメント比率30%」*1というグループ目標を掲げています。このグループ目標の達成に向けて、女性の成長に対する役員からの支援やシニアマネジメントからの発信、キャリア形成への動機づけ、女性のキャリアアップの障害を理解する研修など、女性活躍推進に向けた取り組みを進めています。今後も、女性マネジメント候補者のプールの状況や、男女間賃金差もモニタリングしながら、女性のキャリアアップを加速させ、グループ全体でのジェンダー平等を推し進めるためのさまざまな取り組みを立ち上げていきます。

*1

さらなる女性活躍を図る観点から、2023年度からマネジメント職の定義を統一(海外を含むJTグループのすべてにおいて部下をマネジメントするポジションへ共通化)し、対象ポジションを拡大するとともに、JTグループとして各種施策を推進していくことを踏まえ、2030年度目標を25%から30%へ変更

(単位:%)

項目

男性(%)

女性(%)

合計(%)

在籍割合

30歳未満

9.0

5.0

14.0

30〜49歳

51.5

16.8

68.3

50歳以上

13.8

3.9

17.7

マネジメント比率

76.5

23.5

100

男女間賃金格差*2

マネジメント

100

97.9

その他社員

100

112.6

*2

国別・企業別に男性を100%とした場合の女性の賃金割合を算出し、人数に応じて加重平均した数字

  • アコーディオンを閉じる
  • アコーディオンを開く

注力テーマ2 : 人財の戦略的な確保

グローバルで複数の事業を展開しているJTグループが持続的に成長するためには、それぞれの地域・事業に必要な人財が確保できている必要があります。

私たちが、多様な人財から選ばれる魅力的な企業であり続けるために、各地域・事業ごとの魅力的な報酬水準設定や、事業特性を踏まえた採用により、優秀人財の確保に取り組んでいます。また、JTグループの将来を担う経営人財や各事業をリードする人財、事業を拡大・最適化する人財、社会に対する新たな価値領域を探求するための人財の獲得・育成に取り組んでいます。

多様なアプローチによる優秀人財の確保

JTグループでは、地域・事業ごとにベンチマークを設定し、魅力的で競争力のある報酬水準を設定しています。また、採用候補者に企業の魅力を訴求する取り組みにも注力しています。JT Internationalでは、10年連続でGlobal Top Employerに認定されており、優良なグローバル企業としてのブランドを確立するとともに、各国・地域に即した採用活動も併せて行うことで、優秀人財のアトラクションに努めています。さらに、採用方法についても、幅広い領域での経験を通じてキャリアの方向性を見極めていく総合職採用に加えて、入社段階からの職種別採用や、職務をベースとしたキャリア採用も行っています。それにより、本人の志向や希望に合わせたキャリア形成が実現しやすい環境を整えています。これらの取り組みを通じて、それぞれの地域・事業に必要な人財の確保に努めています。

  • アコーディオンを閉じる
  • アコーディオンを開く

経営・事業をリードする人財パイプラインの形成

JTグループの持続的成長のためには、各地域・事業に必要な人財を採用するだけでなく、成長支援を通じた登用の仕組みも重要であると考えています。なかでも、JTグループの経営・事業をリードする人財を中長期的に確保するための取り組みとして、選抜型の早期育成制度を充実させています。そして、全世界に広がるさまざまなポジションでの多様なリーダー経験を提供することで、各世代において経営者候補となるタレントプールの形成に取り組んでいます。2023年には約500名が経営・事業をリードする人財候補として育成プログラムに参加しています。また、約150名については、経営陣や事業リーダーが成長支援状況をモニタリングするだけでなく、客観的な外部評価や市場における競争力等を参照しながら、その人財一人ひとりの資質や中長期的な成長課題およびキャリアプランについて議論しています。

経営・事業をリードする人財パイプラインの形成 図
  • アコーディオンを閉じる
  • アコーディオンを開く

新たな価値領域を探求する人財の確保

JTグループでは、既存事業の拡大だけでなく、中長期的な新規事業開発に向けた取り組みも進めています。M&A等のアプローチに加え、未来の事業シーズの探索・創出を担うコーポレートR&D活動を拡大するために、2020年にD-LABという新組織を立ち上げ、2023年には専任の執行役員を配置しました。それらの活動を担う人財を継続的に輩出できるよう、社内のみならず、社外での成長機会を含めた育成プログラムを運営するとともに、求められる働き方やスキルの違いを踏まえ、活動特性に応じた独自の人事制度を採用することで、新規事業開発を支える人財の獲得・育成に努めています。

  • アコーディオンを閉じる
  • アコーディオンを開く

注力テーマ3 : 働きやすい環境の整備

JTグループでは、従業員一人ひとりがその能力を最大限発揮し、組織パフォーマンスにつなげることができるための労働環境を整備することが重要と考えています。勤務場所・時間等の制約・働き方の志向性にかかわらず、従業員が自らに合った働き方を自律的に選択できる制度を整備するとともに、多様な人財の強みや能力が発揮されるよう、心理的安全性の高い職場づくりに取り組んでいます。

多様な働き方

JTグループでは、対面・リモート双方の利点を取り入れながら、従業員一人ひとりが自らに合った働き方を自己選択することを後押ししています。その一環として、業務の特性や組織・個人の状況を踏まえながら、コアタイムなしフレックスタイムやリモートワークの仕組みを導入しています。柔軟な働き方(フレックス等)と、働く場所(出社やリモートワーク)のベストミックスにより、従業員一人ひとりの能力発揮を通じた組織パフォーマンスの向上に取り組んでいます。

また、さまざまなライフステージの従業員が働きやすいように仕事と家庭の両立支援にも取り組んでいます。JTおよびたばこ事業の全拠点では、「Global Family Leave Policy」を制定し、ジェンダーや性的指向にかかわらず、すべての従業員が父母になる際に最大20週間の有休相当の休暇を提供しています(養子縁組を含む)。また、国内においても介護休暇・育児休暇・特別休暇制度の充実・活用促進を進めており、JTグループ全体での育休取得者割合は下表の通りとなっています。

(単位:%)

項目

男性(%)

女性(%)

合計(%)

育休取得者割合*

91

105

95

*

2023年度に本人またはパートナーが出産した従業員数に対する、各国法令に基づく育児休業等または各企業が独自に定める育児目的休暇等の取得者数の割合を算出(前事業年度以前の出生に対して育児休業等を取得した場合は、当事業年度の取得率が100%を超えることがあります)

  • アコーディオンを閉じる
  • アコーディオンを開く

心理的安全性の高い職場づくり

JTグループでは、グループ全体での従業員エンゲージメントサーベイやコンプライアンス向上の取り組みに加え、地域や部門単位でのパルスサーベイも適宜実施できる体制を整備しています。組織状態を把握し、改善につなげることで、すべての従業員が安心して強みや能力を発揮できる組織・職場づくりに取り組んでいます。国内では、JTグループ内の組織開発を支援する専門組織を2016年に立ち上げ、各社・各組織のエンゲージメント向上施策の企画・実施を行っています。また、私たちは、多様な個人の強みを発揮できる心理的安全性の高い職場には、上司と部下、同僚同士の信頼関係が重要と考えています。定期的な対話の実施に加え、対話の質をより高めるために360度サーベイや、1on1支援ツールの展開も行っています。

  • アコーディオンを閉じる
  • アコーディオンを開く

注力テーマ4 : 心身の安全・健康の推進

JTグループでは、誰もが心身ともに健康で安全にいきいきと働くことができる職場環境の実現が、人的資本拡充に不可欠と考えています。そのため、労働災害ゼロを目指し、JTグループ労働安全衛生ポリシーの制定や安全意識の向上、職場環境の継続的な改善等、各種施策を推進しています。さらに、従業員一人ひとりの健康の維持・増進に向けたさまざまな健康支援施策にも注力しています。

JTグループの労働安全衛生ポリシー

JTグループでは、さらなる従業員の安全の確保と健康の増進のために、取締役会の承認を経て、JTグループ労働安全衛生ポリシーを制定しています。

具体的には、下記の目指す姿の実現に向け、社長の責任のもと、労働安全衛生に関する取り組みを行い、取締役会が監督する体制を構築することで、グループガバナンスの強化を図っています。また、本ポリシーに基づくモニタリング指標も設定し、JTグループにおける取り組み状況を把握するだけでなく、改善が必要と判断した場合には迅速に対応策を講じることとしています。

さらに、各事業部門では、本ポリシーに基づいた事業版ポリシーを制定し、従業員等への浸透を図るとともに、事業所単位でも、必要に応じたポリシーの制定や定期的な見直し等の取り組みを行っています。

目指す姿

  • JTグループは、JT Group Purposeの実現に向けて、人財が企業活動を行ううえで欠かせない存在であるとの認識(People come first)のもと、安全と健康を何よりも大切にし、労働災害ゼロを目指します
  • そのために、従業員や請負業者、訪問者など、誰もが心身ともに健康で安全に活き活きと仕事に専念できる職場環境づくりを進めます

行動指針

私たちは、本ポリシーに従い、以下のとおり実行します

  1. それぞれの国や地域に適用される法令、社内規程を遵守します
  2. 危険・有害要因の除去・低減に不断に取り組みます
  3. 一人ひとりの心身の健康増進を図ります
  4. 労働安全衛生に関する必要な教育・訓練を積極的かつ継続的に実施します
  5. これらの取り組みを定期的に評価し、継続的に改善を行います
  6. 労働安全衛生に関する従業員とのコミュニケーションを推進します
  7. ステークホルダーに対して労働安全衛生に関する必要な情報を適切に発信します
  • アコーディオンを閉じる
  • アコーディオンを開く

労働災害防止に向けた取り組み

JTグループでは、労働災害ゼロに向け、業務特性に応じた未然防止が重要であるとの認識のもと、さまざまな取り組みを行っています。車両運転および機械操作業務については、リスクの大きさを踏まえ、従業員の意識向上や職場環境の改善等に特に注力して取り組んでいます。

例えば、車両運転業務のある海外の事業所では、2023年にリスクアセスメント結果に基づく運転者向けの安全方針の見直しやモバイルアプリを導入しました。さらに、車両運転を行う2,000名以上の従業員へ安全運転講習を実施するとともに、事故につながる可能性があると判断された運転者に路上講習も行っています。

機械の操作業務のある事業所では、目標や計画の策定、危険予知活動等によるリスクの把握や機械の改作といった低減策の実行、そして、これらの取り組みの評価や監査を実施しています。

なかでも、たばこ工場では、法令遵守に加え、国際規格であるISO45001に則った労働安全衛生マネジメントシステムの導入をグローバルベースで進めています。

他にも、オフィスや研究所においても、業務特性に応じたさまざまな取り組みを行うことで、労働災害リスクの低減を図っています。

今後も、JTグループにおける労働災害の発生状況を注視しつつ、労働災害ゼロに向けて、効果的な施策を継続的に推進していきます。

項目

対象者

2020

2021

2022

2023

業務上の死亡者数

従業員

3

0

2

0

業務上の傷害発生率*1

従業員

0.99

1.09

1.16

1.02

業務上の疾病発生率*1

従業員

0.51

2.37

2.96

0.03

業務災害の重さの程度*2

従業員

0.03

*1

100万労働時間当たりの発生人数

*2

1,000労働時間当たりの休業日数

  • アコーディオンを閉じる
  • アコーディオンを開く

心身の健康増進に向けた取り組み

JTグループでは、従業員一人ひとりの心身における健康の維持・増進に向けた取り組みにも注力しており、従業員の自立的な行動を支援するために必要な体制の構築や制度の導入を進めています。

そのため、心の健康支援として、ストレス等の状況を自ら把握できる機会の提供や組織単位での分析結果に基づく取り組み、専門医やカウンセラーによる社内外相談窓口の設置、教育訓練の実施等、さまざまな方法でメンタル疾患の予防に努めています。また、身体の健康支援として、職業性疾病に関連したデータの一元管理によるリスク把握を行い、一貫した対策を展開しています。業務や職場に起因した疾病の発生時は、従業員の健康を第一に考え、速やかに再発防止に向けた適切な措置を講じています。また、JTにおいては、社長主導のもと、健康経営を推進しており、全国11カ所の主要エリアに専門の産業保健スタッフ(医師・保健師)を配置し、従業員が自分に合った自分らしい健康づくりができるよう、多様性に根差した支援を行っています。具体的には、全国の産業保健スタッフが個別面談を行うだけでなく、課題やニーズに合わせた支援プログラムを提供しています。さらに、従業員が自身や家族の健康状態に応じて、自ら選択した検査や予防接種等の費用補助を行う制度を導入する等、一人ひとりが主体的に健康増進に取り組むための支援体制を整備しています。

加えて、国内グループ会社と共同で「ウォーキングラリー」を実施しており、運動習慣のきっかけづくりだけでなく、職場の活性化、TABLE FOR TWOと連携した社会貢献活動も兼ねたユニークな取り組みとなっています。

これらの取り組みが評価され、JTは「健康経営優良法人(ホワイト500)」に8年連続で認定されています。

  • アコーディオンを閉じる
  • アコーディオンを開く

注力テーマ5 : 自律的な成長の支援

JTグループでは、従業員一人ひとりが、JTグループでの活動を通して、自らが志向するキャリアを実現することが、人的資本の拡充に向けて重要と考えています。そのため、従業員が自律して自らのキャリアについて考え、選択する、個々のキャリアプラン実現に向けて自己研鑽に取り組む行動を積極的に支援しています。

自律的なキャリア形成を促すための仕組み

JTグループでは、従業員が自らのキャリアを考え、選択できる機会の創出に取り組んでいます。

毎年、自らのキャリアプランや異動希望・制約等を話し合うキャリア面談の実施に加えて、従業員自らが所属部門を越えて、豊富なキャリアを選択し、切り開く機会も提供しています。JTでは、年1回、希望する組織への異動に自ら応募するキャリアチャレンジ制度を導入しています。また、たばこ事業では、オープンポジションをグローバルに公開し、従業員が自ら応募できるJob posting制度を導入しています。2023年度では、年間で計4,251ポジションを従業員に公開し、延べ7,534名の応募がありました。

  • アコーディオンを閉じる
  • アコーディオンを開く

多様なニーズに対応した学習機会の提供

JTグループでは、従業員の多様なキャリアプラン実現に向けて、それぞれの成長ニーズに応える学習機会を提供しています。従業員一人ひとりの成長ステージに合わせて、強み・課題を把握しながら、職場経験(OJT)、選択型研修(OFF-JT)、アセスメント等を効果的に活用する独自の体系的なラーニングプログラムを導入しています。また、LinkedIn Learning、Udemyといった従業員自らが希望するコンテンツを受講できる研修メニューも提供することで、従業員の自律的な学習機会を支援しています。加えて、時間や地理的な制約にとらわれず学べるよう、オンライン環境の充実にも力を入れています。

  • アコーディオンを閉じる
  • アコーディオンを開く

成長を後押しするフィードバック文化の醸成

JTグループでは、組織全体が従業員の成長に高い関心を持ち、支援する風土を大切にしています。

フィードバック文化を醸成するために、対話機会を創出する仕組み(従業員の強みと課題をフィードバックするための評価面談、継続的な対話を促すための1on1など)の整備や、外部・内部のコーチ・メンターを活用した対話の質の向上を目的とした取り組みを行っています。2023年においては、JTグループ全従業員の約94%に対して、成果に対するフィードバックや改善につながるアドバイスを伝える面談が実施されています。

また、一人ひとりの成長を組織として後押しするために、評価実施前に部内のマネジメント職が多面的な視点でパフォーマンスや成長課題を議論する場や、さらなる成長に向けた新たな経験領域について議論する機会を設定しています。

  • アコーディオンを閉じる
  • アコーディオンを開く

注力テーマ6 : 社内外との共創の促進

JTグループでは、グループ内での地域・部門間や、従業員同士の共創を促すために、共創を誘発する場づくりに取り組んでいます。また、他社やコミュニティ団体との共創にも積極的に取り組むことで、グループの枠を越えたさまざまな視点や知見を結集し、これまでにない新たな心の豊かさを生み出すための活動を促進しています。

社内共創の推進

JTグループでは、各事業・組織において、新たな気づきや取り組み、イノベーションの創造を誘発するために、組織の壁を越えて多様な力を結集する場づくりに取り組んでいます。JTグループ共通のデジタルツールであるWorkplaceの活用を通じて、地域・事業・部門を越えたさまざまなコミュニティづくりを推奨し、相互理解・ナレッジ共有、そして共創への動機づけを進めています。またリモートワークが浸透していく中において、オフィスは共創を推進する場としての重要性がより高まっていると考えています。例えば、JTグループ本社オフィス(東京)・たばこ事業本社オフィス(ジュネーブ)などでは、従業員間の交流と協業を促すためのオフィスデザインを取り入れており、地域・事業や部門を越えたプロジェクトの際にも積極的に活用されています。

  • アコーディオンを閉じる
  • アコーディオンを開く

社外との共創の促進

JTグループが、新しい心の豊かさを生み出していくためには、私たちの事業や組織の枠を超えて、さまざまな視点や知見を結集することが必要であると考えています。さらに、従業員が社会の一員として、社外で活動することは、従業員、JTグループの事業活動、地域コミュニティのそれぞれに恩恵をもたらし、新たな社会価値創造にもつながると考えています。このため、組織としても、従業員個人としても、企業・個人、大学・研究機関、コミュニティ団体など多岐にわたる社外関係者の方々との積極的な共創を奨励しています。例えば、コーポレートR&D組織であるD-LABは、「宇宙から考える心豊かな“ひととき”」の創出を目指して、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「THINK SPACE LIFE」プラットフォームにインキュベーションパートナーとして参画しています。

また、従業員による社会参画は、企業の社会貢献の側面だけでなく、従業員自身の新たな気づきの獲得にもつながると考えていることから、ボランティア活動への参画機会の提供や支援(会社からのマッチング拠出等の仕組みの構築)を積極的に行っています。その結果、JTグループにおける年間のボランティア活動の参加時間は延べ24,549時間、参加者数は延べ11,310名となっています。

  • アコーディオンを閉じる
  • アコーディオンを開く