CEOメッセージ

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JT Group Purpose の実現に向けて

“時代や⼈により、多様で変化していくお客様や社会の「⼼の豊かさ」に寄り添いながら、現在のJTグループの姿に限定せず、より発展的なあらゆる企業活動を通じて「⼼の豊かさ」という価値提供を実現していきます。”

代表取締役 寺畠 正道 Masamichi

JT Group Purposeに対する想い

策定背景

社会・事業環境が非連続に変化していく中で、社会とその中に存在するJTグループの事業が持続可能であるために、目指すべき方向を示すJT Group Purposeを検討してきました。

策定にあたっては、「JTグループが未来の社会においてどういう存在でありたいのか、どういう存在であることを求められるのか」、「そのためにJTグループはどういう貢献ができるのか」について重点的に検討を行いました。そして、「製品やサービスを通じて、⼼の豊かさを感じる瞬間に常に寄り添い、ともにその瞬間を創り上げること」が、JTグループが⽬指す最⼤の価値領域であると考えました。

策定の目的

「⼼の豊かさ」はこれまでもJTグループが商品・サービスを通じて提供してきた中核的な価値であり、JT Group Purposeの策定はこれまでと全く異なる新たな価値観を掲げるものではありません。今後も「⼼の豊かさ」を社会から任せていただき、貢献できるよう、JTグループ⾃⾝が絶えず進化していくこと、変わり続ける社会や⼈々の価値観に合わせて、「心の豊かさ」の提供の⼿段を柔軟に変更していくことが必要だと考えています。

「⼼の豊かさ」へのフォーカス、および、提供の⼿段を必要に応じて変えていく、という我々の進化の⽅向性を明確にしたことで、不変の企業理念である4Sモデルと合わせて、企業体、各事業、従業員一人ひとりが誰に対し、何を提供すべきかを、より広範な「価値」という基準で考え、実⾏できるようになると考えています。

また、JTグループの存在意義・目指すべき姿を示していた、JTグループミッションおよびJTグループビジョンを、その内容を継承しつつさらに進化したものであるこのJT Group Purposeに置き換えることとしました。

なお、既存の事業においては、これまでお⽰ししてきた戦略の着実な遂⾏を最優先とし、その上であらゆる取り組み・活動を進化させていきます。具体的には、JT Group Purposeを各事業の活動進化へつなげていくため、下記に記載の通りJT Group Purposeを踏まえた各事業パーパス(たばこ事業医薬事業加工食品事業)を策定しました。今後各事業は、これらの事業パーパスの実現を通じてJT Group Purposeの実現に貢献していきます。また、今後各事業のパーパスを意識した⾏動を加速させる観点から各事業における⾏動規範の策定も進めています。

JT Group Purpose イメージ1

図表の詳細は、PDFまたはPC環境にてご覧ください。

成長に向けた取り組み(D-LAB)

既存の事業以外においても、JT Group Purposeの具現化に向けた取り組みを推進する目的でコーポレートR&D組織であるD-LABを設置し、「⼼の豊かさ」を中⼼概念とした研究や未来の事業シーズの探索・創出を実施しています。「心の豊かさ」につながる領域は幅広く、例えば香りや食のような五感に訴えるものや、呼吸や睡眠のようなウェルネスに関係するものなど、活動の対象領域は多岐にわたります。

D-LABの活動は、⻑期視点で社会に「⼼の豊かさ」を育むことに貢献していくとともに、JTグループの利益成⻑への貢献も⽬指しています。活動は「⼼の豊かさという価値の多⾓的研究」、未来の「事業シーズ探索」・「事業シーズ創出」に⼤きく分けており、トライアル・アンド・エラーを繰り返しながら常に数⼗件以上のプロジェクトを進めているところです。

JT Group Purpose イメージ2

図表の詳細は、PDFまたはPC環境にてご覧ください。

代表取締役社長 寺畠正道 イメージ

マテリアリティの更新

JT グループではJT Group Purpose の実現を通じて持続可能な自然や社会に貢献していくために、優先的に取り組むマテリアリティの見直しを実施しました。前回のマテリアリティ策定からの外部環境や事業環境の変化等を踏まえ、社内外のステークホルダーへのヒアリングも行ったうえ、改めて課題の洗い出しと分析を行いました。今回新たに特定したJT Group Materialityを踏まえ、今後グループ全体や各事業におけるサステナビリティの取り組みや目標を更新していきます。

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環境認識

JTグループを取り巻く経営環境は、コロナ禍により社会や消費者⾏動が変化したことに加え、世界的なインフレーション、経済停滞、ロシア・ウクライナ情勢、⼤幅な為替変動などにより、引き続き不確実性の高い状況となっています。

また、各事業環境も一層厳しさを増しています。たばこ事業においては、総需要減少やダウントレーディングの継続、インフレーションに伴うコスト上昇、各種規制強化に加え、HTS(heated tobacco sticks)を中心としたRRPの市場規模が拡大しています。医薬事業においては、薬価引き下げ圧力やM&A・アライアンスによる業界再編の進行等の影響を受けています。さらに加工食品事業においても、国際相場・為替変動による原材料費への影響、人手不足に起因する人件費・物流費の高騰等が進んでいます。

こうした経営・事業環境に加え、デジタル・テクノロジーの進展、およびESGやSDGs・サステナビリティに対する意識の高まり等、社会や株主の皆様からのニーズや期待も変化しています。これら現下の外部環境の変化が今後我々にどのような影響を与えるのか、その兆しを捉え、適切な施策を行っていくという不断の取り組みが必要だと改めて認識しています。

なお、2023年2月にトルコで発⽣した地震において被災された皆様、ならびにそのご家族の皆様に⼼よりお⾒舞い申し上げます。JTグループでは、⼈道⽀援団体を通じた災害救助活動や⽀援物資の提供等、緊急⽀援に取り組んでいるところです。現地のニーズに寄り添った⽀援活動を実施するとともに、追加⽀援を検討・実⾏していきます。加えて、ロシア・ウクライナ情勢については、今もなお多くの⽅々が困難に直⾯されている状況を深く憂慮しており、できるだけ早期に平和的解決に向かうことを強く願っています。

JTグループは、引き続き従業員とその家族の安全を最優先としつつ、困難に直⾯している⽅々に対して可能な限りのサポートを⾏っていきます。

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経営計画2023

全社

昨年、2022年は厳しい環境のもとでの事業運営を余儀なくされました。そのような中、たばこ事業の貢献により、JTグループ全体での為替⼀定調整後営業利益および当期利益は、対前年ならびに当初計画を⼤きく上回りました。そして、売上収益から当期利益まで過去最⾼の実績を達成しました

2023年からの3カ年計画「経営計画2023」においても、中長期にわたる持続的な利益成長を追求していくことに変わりはありません。

この目標の達成に向け、中核であるたばこ事業においては、グローバルでさらなる組織⼒の強化を図っていきます。加えてCombustiblesにおけるROIの向上、HTSを中⼼としたRRPへの投資強化、そして事業運営における効率性の追求を進めていきます。

2023年は、将来にわたる利益成⻑を実現するための礎を作る年として、HTSへの投資加速化を含め、事業投資を積極的に実施いたします。また、世界的な物価⾼騰に伴うサプライチェーンコストの増加影響等もあり、2023年の為替⼀定調整後営業利益は2022年と同⽔準となる⾒込みです。⼀⽅、2023年から2025年の3カ年においては、投資を加速させていくものの、low single digit成⻑を実現できる⾒通しです。

中⻑期的には、RRPのシェア獲得や収益性向上等を通じ、引き続き持続的な利益成⻑、すなわち為替⼀定ベース調整後営業利益の年平均Mid to high single digit成⻑の実現を⽬指していきます。また、当期利益についても伸長させていく計画としており、株主還元についても、還元方針に沿って着実に強化していきたいと考えています。

なお、JTグループは、ロシア・ウクライナ情勢が⻑期化・複雑化する中、国内外におけるあらゆる制裁措置・規制等を順守し、また2022年3⽉に公表しました通り、すべての新規の投資およびマーケティング活動を引き続き停⽌した上で、事業運営を継続しています。

今後も事態の変化に応じ、4Sモデルに則り、必要な意思決定を⾏っていくというスタンスに変更はありません。

たばこ事業

たばこ事業においては、2022年1⽉よりスタートしたたばこ事業運営体制の一本化により、グローバルで統⼀された戦略の策定と実行、またグローバルリソースの有効活⽤が着実に進捗しています。名実ともにJTグループを真のグローバル企業としてもう⼀段⾼いステージへ進化させるべくスタートした新たなたばこ事業運営体制は、将来にわたってJTグループの成⻑に貢献していくものと考えています。

引き続き、効果的かつ効率的な事業運営体制を強化することで意思決定の品質とスピード向上を目指すとともに、グローバル視点での優先順位付けに基づいた資源配分を行うことにより、お客様*への提供価値を強化していきます。

具体的には、Combustiblesにおいては、これまでも戦略的に実施してきたプライシングが引き続きトップライン成⻑のドライバーになると考えています。また、各市場の特性を踏まえた投資の優先順位付けも推進していきます。

RRPにおいては、今次経営計画期間で3,000億円以上の投資を予定しており、その中⼼はHTSへの投資となります。中⻑期で「売上収益が2025年までに22年⽐で倍以上」、「2028年までにKey HTS marketsにおけるHTSカテゴリ内シェアが10%台半ば」、「2028年までにRRPビジネス⿊字化」を⾒込んでいます。これらを実現していくために、2022年10⽉の英国、2023年4⽉のイタリアでの上市等を⽪切りにPloomXのグローバル展開を加速させ、2024年末までに28ヵ国での展開を予定しています。また、市場展開の加速化に合わせて、HTSへの積極的なマーケティング投資も実施していきます。

我々は喫煙に伴う健康リスクを低減させる可能性のある製品をRRPと定義していますが、今後もRRPは需要拡大が⾒込まれています。喫煙に伴う疾病のリスクの主な要因は、たばこ葉を燃焼させることに伴って発生するたばこ煙中の健康懸念物質であると考えられており、たばこ葉の燃焼を伴わず煙を出さない新しいスタイルのたばこ製品により、喫煙に伴う疾病のリスクを低減できる可能性があるものと我々は考えています。また、こうした製品はたばこ葉の燃焼に伴う煙を出さずにおいも少ないことから、周囲の方々により配慮した製品であると考えています。

たばこには多様なニーズが存在することから、一人ひとりのお客様ニーズを高い水準で満たす多様な選択肢を提供することがJTグループの使命であると考えています。そのために、JTグループは世の中の変化に合わせた製品カテゴリ拡充を進めるとともに、Combustiblesを含めたすべての製品カテゴリにおいて製品価値向上に努めていきます。

なお、事業運営基盤の強化に向けてJTIにおけるトランスフォーメーション、および⽇本における競争⼒強化の施策を実施してきましたが、これら⼀連の施策による効果は想定通りに発現し、2020年から2022年の3年間で400億円強の効果がありました。今後もサプライチェーンにおける不断の効率化に取り組んでいきます。

* たばこ事業における「お客様」は喫煙可能な成人のお客様を意味します。なお、喫煙可能年齢は、各国の法令により異なります。日本では20歳未満の方による喫煙は、法律で禁じられています。

医薬・加工食品事業

医薬事業・加工食品事業においても、引き続き厳しい事業環境にありますが、JTグループの利益成長を補完する役割に変更はありません。医薬事業では、研究テーマの充実、および創薬プロセス⾰新によるさらなる創薬⼒の向上を図ります。また、⿃居薬品と連携して製品価値最⼤化と導⼊活動の強化を⾏い、事業基盤の充実に努めてまいります。加工食品事業においては、冷⾷・常温事業を中⼼に、⾜元の原材料費の⾼騰に対する価格改定施策を着実に遂⾏します。加えて、⾼付加価値な商品群への資源配分の強化を通じて収益性の⾼い事業構造への変⾰を図り、持続的な利益成⻑を果たしていきます。また、食の未来を見据え、長期的な視点での事業成長に向けた取り組みを加速し、顧客価値の創造を推進していきます。

資源配分方針

経営資源配分方針においては、4SモデルおよびJT Group Purposeに基づき、持続的利益成長につながる事業投資、とりわけたばこ事業への投資を最優先していくことに変更はありません。株主還元についても、中長期的な当期利益の成長を実現し、配当性向75%を目安*として、株主還元の向上を目指していきます。

なお、2022年の1株当たり年間配当⾦は188円と過去最高となりました。また、2023年の1株当たり年間配当⾦予想は2022年と同額の188円としています。

* ±5%程度の範囲内で判断

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ステークホルダーの皆様へ

前述の通り、JTグループが目指す方向性を明確にしたJT Group Purposeを策定しました。時代や人により、多様で変化していく「心の豊かさ」の領域を今後も社会から任され、貢献できる存在であり続けるため、JTグループは絶えず進化していきます。

事業環境の不確実性・複雑性が高まる中、今後とも4Sモデルの追求という経営理念のもと、一丸となってお客様の期待を上回る製品やサービスを⽣み出し続け、JTグループの持続的な成長を目指していきます。同時に、お客様・株主・従業員、そして社会から必要とされる存在であり続けるために、私⾃⾝強いコミットを持ってJTグループの弛まぬ進化に邁進してまいります。

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