藤井聡太棋士インタビュー
2024/6/24最終更新(2019/04/19公開)
次代の将棋界を担う「新進気鋭」の棋士に、スペシャルインタビューを敢行。
今回は、幼いころから「JTプロ公式戦」に憧れていたという藤井聡太さんが登場。過去の「JTプロ公式戦」で印象に残った対局の解説や将棋ファンの皆さまへのメッセージ動画も掲載していますので、ぜひ最後までご覧ください。
2019年度には「JTプロ公式戦」への初出場も決定。どんな対局を見せてくれるのか、今から目が離せません。
- 本記事は2018年11月時点のインタビューに基づいたものです。
- 文中に登場する棋士のタイトル・段位は対局当時のものとなります。
2018年を振り返ってみていかがでしたか?
成長につながる1年だったのではないかと思います。いくつか重要な対局で敗れてしまって残念なところもありましたが、それも今後の糧になると思いますので。
プロ棋士になったことで、周りを取り巻く環境や心境に変化はありましたか?
周りの変化はあまり感じていないです。家族にも、昔から(自分が)変わらずにいさせてもらっていると思います。自分自身としては、プロになったことで多くの方に対局を見ていただくことになるので、そういう意味で「いい将棋を指したい」という気持ちは強いです。
プロ棋士として成長したと感じる部分はありますか?
特に中盤における形勢判断の部分が、以前と比べて正確になったのではないかなと感じています。
逆に課題だと感じる部分はあるのでしょうか?
形勢判断に関しては成長したと感じる一方でまだまだ改善の余地もあると思います。また、時間配分などにも気をつけていけたらと思っています。
特に持ち時間が短い将棋では、しっかり読みを入れなければいけない局面や、素早い判断が求められる局面などさまざまな状況に遭遇します。それらの状況に対して、その都度しっかりとした選択ができるようにしたいという思いはあります。
2018年で印象に残っている対局(自分自身/自分以外の棋士)はどの対局ですか?
まず自分自身の対局で1つ選ぶとするなら、竜王戦5組の船江恒平六段との一局です。あまり経験したことのない戦型だったのですが、その中でも比較的うまく対応できたように思いますので印象に残っています。特に序盤で4五角と打った手、それから終盤で6五桂とした手が印象に残っています。
(自分以外の棋士の対局について)竜王戦第1局、羽生善治竜王と広瀬章人八段の対局です。随所に羽生竜王の懐の深さが感じられて、印象に残る一局でした。
2019年の目標をお聞かせください
そうですね、うーん……。なるべくタイトルに近づきたいという思いはありますが、まずは今までやってきたアプローチを今後もしっかりと着実にできるように続けたいです。そして、それを成果につなげられる1年にしたいと思っています。
意識しているタイトルというのはあるのでしょうか?
あ、いえそれは、はい……(笑)。各棋戦で頑張りたいと思います(笑)。
「将棋日本シリーズ JTプロ公式戦」についてはどのような印象をお持ちでしょうか?
こどものころから同大会の「テーブルマークこども大会」には参加させていただいていて、そのときに「JTプロ公式戦」も何度も観戦していたので、“憧れの舞台”という印象が強いです。
「将棋日本シリーズ JTプロ公式戦」についてはどのような印象をお持ちでしょうか?
こどものころから同大会の「テーブルマークこども大会」には参加させていただいていて、そのときに「JTプロ公式戦」も何度も観戦していたので、“憧れの舞台”という印象が強いです。
初めて「JTプロ公式戦」を見たときの思い出についてお聞かせください
当時はプロ棋士の対局を間近で観戦できる機会は少なかったので、技術的に素晴らしい対局を目の前で見られるといううれしさもありましたし、憧れという気持ちもやはり強かったです。
公開対局ということで大勢のお客様が観戦にいらしてますよね
あのように多くの方に見ていただいている中で指すというのは「JTプロ公式戦」以外だとなかなかないですから。もちろん出場するだけでも大変なのですが(笑)。そこを一つの目標にして頑張りたいなと思っています。
「JTプロ公式戦」は早指しの公開対局ですが、こういった対局はいかがですか?
そうですね、経験が多いわけではないですが、対局者として出る以上は盤上に集中して臨みたいと思います。持ち時間の長い短いというのはあまり意識していませんが、早指しならではの戦い方や面白さがあると思いますので、そういった部分を出して戦いたいと思います。
「JTプロ公式戦」に出場したらどんな対局をしてみたいですか?
せっかく多くの方に直接見ていただける機会ですので、来ていただいた方に楽しんでいただけるような、そういった将棋をお見せできればと思います。
藤井聡太(JT杯覇者)
2002年7月19日生まれ愛知県瀬戸市出身
- 2007年5歳で将棋を始める
- 2011年9歳の時に「将棋日本シリーズ こども大会 東海大会」優勝
- 2012年10歳で奨励会入会
- 2016年最年少記録となる14歳2カ月でプロ入り
- 2018年五段、六段、七段と一気に昇段
- 2019年「JTプロ公式戦」初出場
- 2020年棋聖、王位獲得、八段昇段
- 2021年竜王、叡王獲得、九段昇段
- 2022年王将獲得
- 2023年名人、棋王、王座獲得
- 藤井JT杯覇者は竜王・名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖のタイトル保持者です。
2017年、公式戦で29連勝を果たし、日本に将棋ブームを呼び戻した藤井聡太さん。超然としたキャラクターが話題を呼び、将棋ファンだけでなく日本中で愛されるまでになりました。そんな藤井さん、実は「テーブルマークこども大会」に出場した経験があるのです。
インタビューでは、その素顔と強さの秘密に迫りながら、参加を検討している皆さんへのメッセージをいただきました!
藤井さんに過去の「JTプロ公式戦」の中から一局を選んでいただきました。
特に印象に残った局面もワンポイント解説!
羽生竜王の大局観が光った一局だったと思います。角換わりは先手が攻勢をとることが多く、本局も豊島棋聖が攻める展開になるかと思ったのですが、羽生竜王が中盤以降積極的かつ緩急自在な指し回しでペースを握り続けたのが印象的でした。
「8四桂(60手目)」「6七金打(61手目)」からの後に「4七歩(62手目)」「5八金(63手目)」「2七角(64手目)」という手順がありますが、8四桂と打って、玉頭からの寄せを見せた後に、今度は横から先手陣をうまく崩しにいくという手順で、羽生竜王らしい非常に柔軟な指し回しだと感じました。
「8四桂(60手目)」「6七金打(61手目)」からの後に「4七歩(62手目)」「5八金(63手目)」「2七角(64手目)」という手順がありますが、8四桂と打って、玉頭からの寄せを見せた後に、今度は横から先手陣をうまく崩しにいくという手順で、羽生竜王らしい非常に柔軟な指し回しだと感じました。
本局では羽生竜王が後手番でしたが、持ち時間の短い中でもこういった指し回しができるところに羽生竜王の凄みを感じました。自分も、持ち時間のない中でも局面を俯瞰して最善の一手を導き出せるようになりたいと思います。
本局では羽生竜王が後手番でしたが、持ち時間の短い中でもこういった指し回しができるところに羽生竜王の凄みを感じました。自分も、持ち時間のない中でも局面を俯瞰して最善の一手を導き出せるようになりたいと思います。