大阪府「望まない受動喫煙防止に向けた基本的考え方」に対する意見
日本たばこ産業株式会社(以下、「当社」)は、この度、大阪府にて公表されました、「望まない受動喫煙防止に向けた基本的考え方」(以下、「府の考え方」)につきまして、以下の通り意見を申し述べます。
基本的考え方(P1)
「改正法に基づく受動喫煙防止対策を着実に推進する」との考えに賛同いたします。
当社も、望まない受動喫煙の防止のため、「健康増進法の一部を改正する法律」(以下、「改正法」)に基づき全国統一のルールに則って対策を推進するべきだと考えています。
一方で、「府の考え方」には、改正法を着実に推進するための具体的な取り組みが示されておらず、かつ大阪府独自の規制内容が示されています。まずは、改正法の推進に全力で取り組み、その効果と影響を見極めたうえで大阪府独自の規制を行うべきです。
現時点で独自規制の施行を前提としている点は時期尚早であると考えます。
第一種施設における取り組み(P7)
第一種施設における取り組みについて、改正法と同様の記載とするべきです。
第一種施設の屋外喫煙所設置については、努力義務の「敷地内全面禁煙」とする中で、施設管理者の判断により設置可能とされております。第一種施設の形態や主たる利用者、ニーズが多様である中で、施設管理者の判断や利用実態等を尊重するという考えは改正法と同様であると考えます。改正法の規定に則った屋外喫煙場所は、公共の受動喫煙防止に資するものであるため、府民および施設管理者の誤解や混乱を招く表現や例示は行うべきではないと考えます。
府既存特定飲食提供施設における取り組み(P8)
飲食店は、業種や立地条件などが様々であり、店舗によって主となるお客様も様々です。したがって、喫煙する顧客のニーズを重要と考える飲食店も相当数存在することを認識し、それら店舗を経営する方々の意見も反映した対策とし、理解と協力を得る事が、飲食店における受動喫煙防止の実効性を高めるうえで最も重要であると考えます。
従業員を有する飲食店における取り組み
従業員を有する飲食店において、客席面積に関わらず改正法で認められている経過措置が適用されない規定(2020年4月適用)となっていることに反対します。
喫煙顧客のニーズを重視する必要がある飲食店においては、店内での喫煙を可とする場合、設備投資によって喫煙専用室を整備するか、従業員を雇用しない(現従業員を解雇する)かの選択をする事となります。従業員を雇用しない場合は、雇用機会の喪失や事業者の過重労働といった重大な問題に繋がる可能性があります。従業員に関わる規定は受動喫煙防止の観点からだけではなく雇用情勢や労働環境の側面も踏まえて十分な時間をかけて検討が必要な内容だと考えます。
努力義務であり、対策は事業者判断に委ねられている形となっておりますが、条例に規定されている以上、店舗利用者の認識・理解との齟齬による混乱等も想定され、事業者の負担が増加する一因にもなりかねません。
客席面積が30㎡超100㎡以下の飲食店における取り組み
客席面積が30㎡超100㎡以下の飲食店において改正法の経過措置が適用されない規定(2025年4月適用)となっていることに反対します。
改正法で認められている経過措置が大阪府内で営業していることを理由に適用されない事となります。これにより、改正法では必要のない喫煙専用室等への設備投資が生じる場合や、特に他府県との境に位置する店舗においては甚大な営業上の不利益が生じる可能性があります。また、建物の構造的理由等で喫煙専用室の設置が出来ない場合もあります。各店舗の状況を顧みない一律の規制は、事業者の経営の自由を奪うものだと考えます。
また、加熱式たばこに関して、従業員規定・面積規定ともに改正法の経過措置が適用されないことに伴い、大阪府ではより小規模な店舗においても加熱式たばこの使用に際しては「加熱式たばこ専用室」の設置など設備投資が必要となります。厚労省では「科学的知見が十分ではない」としている加熱式たばこについて、規制の対象となる店舗の範囲を拡大することは、実質的に改正法を上回る厳しい規制内容であると言わざるを得ません。大阪府として科学的知見を明らかにしない限り、その取扱とともに、対策が必要とされる飲食店の範囲についても改正法と同じ内容とすべきと考えます。
環境整備に関する取り組み(例)(P13)
飲食店に対する具体的な支援策について
飲食店における対策を進めるにあたり具体的な支援を行う事に賛同いたします。
まずは、「改正法の着実な推進」のために厚労省による支援措置を最大限に活用し、改正法での成果と経済的影響を確認した後、必要により大阪府独自の規制を施行するべきであり、その際は規制の内容に見合う十分な支援を行う必要があると考えます。
支援においては設備投資に関する費用に加えて、対象となる飲食店での負担や不利益を精査し事業者の意見を十分に考慮した内容として実施するべきだと考えます。
また、努力義務を含めた大阪府独自の規制が施行される場合は、施行までの準備期間を加味したうえで、規制の施行前に支援策が活用可能な状況とするべきだと考えます。
公衆喫煙所等の整備促進策について
公衆喫煙所や共用喫煙室の整備を進める事に賛同いたします。
適正な喫煙場所を整備する事は、屋内・屋外に関わらずルールを守った喫煙による受動喫煙防止対策に有効な方法であると考えます。
当社といたしましては、改正法の趣旨に賛同しており、「望まない受動喫煙」を防止するためには、まずは改正法を推進していくことが重要であると考えます。当社が所有する知見の提供や分煙コンサルティング活動を通じて、「望まない受動喫煙」を防止するための取り組みに積極的に協力して参りたいと考えております。
以上
2019年2月4日
日本たばこ産業株式会社 大阪支社
支社長 島川 敏彦
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