厚生労働省「『健康日本21』中間評価報告書(案)」についてのパブリックコメント
JTは、厚生労働省において議論がなされている「『健康日本21』中間評価報告書(案)」に対するパブリックコメントを提出致しました。内容は以下の通りです。
要点
JTは、本報告書案の記載事項について、特に次の2点に関し強く反対します。
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「喫煙率の減少に係る数値目標」を設定すること
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「たばこ税の引上げによる財源を健康づくりの特定財源にする」こと及び「喫煙率の減少のために、たばこ価格の上昇」を強制すること
意見
JTは、たばこに関する諸問題の解決に貢献すべく、これまで3度(※)にわたり、厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会において、科学的事実を基に意見陳述し、様々な論点を明らかにすることができたと考えています。
JTとしては、こうした論点に関し、今後引き続き同部会において、実質的な解決策の提言に向けて更なる議論が行われ、十分な検討が加えられるものと期待していたところ、今回「健康21中間評価作業チーム」が一方的な見解のみを取り上げ報告書案を作成し、これが公表されたことにつきまして、誠に遺憾です。
1.「喫煙率の減少に係る数値目標」の設定について
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たばこは合法な嗜好品であり、喫煙するかしないかは、適切なリスク情報を承知した成人個々人が、自らの健康に与える影響を勘案しつつ、自らの嗜好・健康観等に基づいてそれぞれが判断すべきものであり、喫煙者率について数値目標を設定することは、個人の嗜好の問題に国家権力が介入して個々人の判断を特定の方向に向くよう強制しようとすることに他なりません。これは、成人個々人による判断を蔑ろにするものであり、問題であると考えます。
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また、本報告書の中では、「たばこによる死亡を減少させる」ために、成人喫煙者率の減少のため数値目標設定が必要であると主張しておりますが、喫煙者率の減少によりこの目的が達成できるかどうかは疑問です。
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生活習慣病は、喫煙のみならず、運動不足、栄養の偏り、飲酒など様々な生活習慣や加齢等その他の要因が複雑に絡み合って発症するものであり、例えば、国別に見ても、ある国の喫煙率と、肺がん発生率との間に明らかな相関があるとは言えません。
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実際に、我が国における成人男性の喫煙者率は過去数十年の長期にわたり大幅に減少してきましたが、この間たばこ関連疾患とされるものの代表例である肺がん等による死亡率(年齢調整)は、一貫して上昇しているとの事実があります。
以上から、JTは、政府が喫煙者率減少に関する数値目標を設定することに反対です。
2.「たばこ税の引上げによる財源を健康づくりの特定財源にするべき」との意見、及び「喫煙率の減少のためのたばこ価格の上昇」について
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たばこは、広く国民に親しまれている合法な嗜好品であり、課税強化およびたばこ価格の上昇の強制により、一方的にたばこの消費削減や禁止を求めるべき商品ではないと考えます。
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たばこ事業法において、「我が国たばこ産業の健全な発展」が規定されていますが、増税等の強制による消費削減は、葉たばこ農家及びたばこ販売店に大きな影響を与え、たばこ産業の健全な発展を阻害します。
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たばこの消費量は、少子高齢化の進展、喫煙と健康に関する意識の高まりによる構造的減少に加え、公共の場所等での喫煙規制の高まり等により、既に急速に減少しつつあります。たばこは財政物資として国・地方の財源に大きな役割を果たしてきていますが、これ以上の増税は、たばこ消費の減少に一層の拍車をかけ、たばこ税収の安定的確保は見込めません。
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生活習慣病の要因は様々であり、その対策に「たばこ税」を増税して充てるという主張は、「取り易いところからとろう」に他ならず、税の公平性に反します。
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たばこ税は一般財源として国・地方の財政に貢献していますが、たばこ税収を特定目的に使うことは、資源の適正な配分を歪め、財政の硬直化を招くことから、軽々に財源の特定化を論じるべきではありません。また地方公共団体にとっても、たばこ税は重要な財源であり、地域の公共のニーズに応じて自主的に使える一般財源の減少を招くことにもなります。
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平成18年度与党税制大綱においては、「たばこ消費を積極的に抑制すべきとの指摘は、財政物資というたばこの基本的性格に係わるものである」とされていますが、幅広く充分な検討がないなかでたばこ税の引上げを行うべきではないと考えます。
以上から、JTは、「たばこ税の引上げによる財源を健康づくりの特定財源にすること」および「喫煙率の減少のためにたばこ価格の上昇を強制すること」に反対します。
2006年9月5日
日本たばこ産業株式会社