「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例(仮称)」骨子案に関する日本たばこ産業株式会社の意見

日本たばこ産業株式会社(以下、JT)は、神奈川県(以下、県)が今般公表した「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例(仮称)」骨子案(以下、条例骨子案)に関して、喫煙者・非喫煙者の双方の自由や事業者の経済的自由等にも配慮し、施設の利用実態等に応じた規制を目指すとの基本的な考え方に賛同いたします。

しかしながら、JT は、公共的施設における全面禁煙や、将来的に公共的施設を全面禁煙とすることを意図し段階的に規制を強化する考え方には一貫して反対しており、条例骨子案が実質的に全面禁煙を余儀なくされる条例案となることに懸念を持っております。

今後よりよい条例案を県が策定されることに資するため、JT が考える、条例骨子案が含む課題を以下に例示いたします。

1.条例骨子案の定める分煙について

条例骨子案は、全面禁煙の施設、完全分煙を選択可とする施設、完全分煙を選択可とし3 年間の猶予期間を設けている施設の3 区分に分けていますが、実質的にはそれらのほとんどの施設で全面禁煙とせざるを得なくなるため、事業者に対し十分な配慮がなされているとは言えません。

  • 小規模でスペースに余裕のない施設において、区画化を要件とする完全分煙は、現実的に実現不可能です。

  • 条例骨子案の求める完全分煙の基準では、排気設備の増設等の大がかりな改修が必要となりますが、店舗の賃貸借契約上、改修ができない施設が数多く存在します。

  • 改修には、多くの場合、数百万から1千万円以上のコストが必要になるため、特に資金に余裕のない零細施設において実施は困難です。

  • 条例骨子案では、キャバレー、バー等の一部の飲食店と、パチンコ店、マージャン店等の一部の娯楽施設に、3年間の施行猶予期間を設けていますが、他の施設と同様、結局3 年後には実質的な禁煙を強いられることとなります。


実質的な全面禁煙となった場合、事業者に大きな経済的影響が発生するおそれがあります。例えば、飲食店等の民間施設が禁煙となった国では、売上減少やそれに伴う従業員解雇、屋外に喫煙場所を設けるための設備投資競争とその競争に敗れた中小施設の廃業等が多数報道されています。

2.さらに検討が必要な施設について

条例骨子案には、規制の理由が明確でない施設、規制の影響が深刻な施設が散見されます。
例えば、サッカー場やゴルフ場等の屋外部分、不特定多数を対象としていない会員制施設、時間ごとに貸切ること等を目的とした宴会場・結婚式場・会議場・カラオケボックス、多くのたばこを吸われる方が利用する喫茶店・居酒屋・たばこ販売店などは、さらなる検討が必要です。

健康増進法の施行以降、各施設による自主的な取り組みは着実に進んできた事情等を踏まえ、JT は県に対し、施設管理者が自ら喫煙に関する対応を決定しその対応を入口へ表示することを県が施設管理者に求めるという解決策を提案し、JT のホームページ上にもその詳細を公開しているところです。

県におかれましては、今後、条例により影響を受ける県民や施設管理者等の意見に対し真摯に耳を傾けられ、合理的でかつ規制の結果生じる影響とのバランスがとれた内容となるようお願いするとともに、当社としてもそのための具体的協力を引き続き行ってまいりたいと考えております。

2008年9月24日
日本たばこ産業株式会社
代表取締役社長 木村 宏