「美唄市受動喫煙防止対策条例(素案)」についてのJT意見

日本たばこ産業株式会社(以下、「JT」と記します。)は、たばこを吸われる方と吸われない方の協調ある共存社会の実現に向けた受動喫煙防止対策として、希望される事業者の方々に分煙コンサルティングを実施するほか、顧客の意図せぬ受動喫煙を未然に防止できる観点から、飲食店入口で店内の喫煙環境を事前に表示するステッカーの貼付を推進するなど、幅広い情報や知見の提供を行っております。
美唄市に対しましても、分煙コンサルティング等により蓄積した知見等を提供し、市と市民および事業者が一体となった取り組みとなるよう協力を行ってまいりたいと考えております。

以上を踏まえ、今般、美唄市において取りまとめられました「美唄市受動喫煙防止対策条例(素案)」(以下、「条例案」と記します。)につきまして、JTの意見を申述いたします。
貴市におかれましては、昨年12月1日に「美唄市受動喫煙防止ガイドライン」を公表され、宿泊施設や飲食店等の一部の民間施設においては、「利用者の目的や業態に応じた分煙」を認め、道路や公園等では「喫煙マナーとルール」を明記され、市の方向性を示されたものと認識しております。
また、貴市が策定されました「びばいヘルシーライフ21」のアクションプランにおいては、条例としての記載は「通学路における喫煙を防止するための条例を整備」と記されており、屋外の条例にのみ言及したものと承知いたしております。

しかしながら、公表されたばかりの「美唄市受動喫煙防止ガイドライン」が、いまだ市民への周知啓発や関係団体への説明も行われていない中、より拘束力を有する条例を検討されていることに、危機感を抱いております。市におかれましては、先ずは「美唄市受動喫煙防止ガイドライン」の周知啓発に努める段階と認識しており、性急な条例制定には反対いたします。
屋内の条例については、「びばいヘルシーライフ21」に則り、屋外の条例を検討された後、「びばいヘルシーライフ21」の中間評価の見直し等の際に、改めて市民や事業者等の意見をお聴きになり、更なる検討を経る必要があるものと考えております。

上記に加えて、条例案についても重要と思われる点について、JTの意見を申し述べます。

1. 受動喫煙防止対策として、一部施設において「分煙」を認めていない点について

受動喫煙を防止する趣旨・目的は、人々が意図せずにたばこの煙に曝されることを回避することにあるものと考えております。そのため、健康増進法25条や厚生労働省健康局長通知等による受動喫煙防止のための措置としては、厚生労働省の示された分煙効果判定基準に則った喫煙室の設置などの「分煙」を有効な対策と定め、助成制度等を活用した推進がなされているものと承知しております。
一方で、条例案の第1種施設については、敷地内禁煙若しくは施設内禁煙を努力義務とする内容となっており、「分煙」は認められておりません。上述のとおり、適切な「分煙」によって受動喫煙の防止は可能であることから、受動喫煙防止の趣旨・目的に沿い、原則、全ての施設において「分煙」を認めるべきと考えます。
更に、貴市の厳しい冬の気象条件を踏まえますと、いかなる施設であっても屋内での「分煙(喫煙室の設置)」といった選択の余地を残す必要があると考えております。

2. 第1種施設の敷地内、路上や公園等の「屋外」を条例の対象としている点について

条例案では、公官庁、公共交通機関や福祉施設等の施設は、敷地内禁煙若しくは施設内禁煙を努力義務とする内容となっており、路上や公園等の屋外についても受動喫煙防止が記されております。しかしながら弊社は、屋外での受動喫煙による深刻な健康影響に関する科学的事実は示されていないものと認識しております。
また、健康増進法25条や厚生労働省健康局長通知においても、受動喫煙の定義は、「室内又はこれに準ずる環境において他人のたばこの煙を吸わされること」と記載され、労働安全衛生法68条においても同様の記載となっており、屋外での規定を定めた内容とはなっておりません。
屋外であっても子どもの利用が想定される場所では、喫煙者の配慮が必要であることは十分に認識しておりますが、関係法令との齟齬防止の観点から受動喫煙の定義については、統一した記載内容が必要であると考えます。

3. 第12条(補則)の内容が不明確である点について

条例案には「この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める」との記載がありますが、何が必要な事項なのか否かの判断は、予め市民や事業者の意見を反映し、市議会にて改めて判断されるべきものと考えます。前述のとおり素案策定までの議論が不十分な中、内容が不明確な本項は記載されるべきではないと考えます。

以上、貴市におかれましては、十分に市民や事業者等の意見を聴取され、全ての関係者が理解・納得し、一体となって取り組みを進めていけるよう、慎重な検討をお願いいたします。
また、JTも分煙コンサルティング等を通じて、市の受動喫煙防止対策に、積極的に協力してまいりたいと考えております。

2015年3月13日
日本たばこ産業株式会社
北海道支店長 近田仙之
岩見沢営業所長 西村英輝
美唄市営業担当 日置裕司