「がん対策推進基本計画」に喫煙者率引き下げの数値目標を盛り込むことに対する日本たばこ産業株式会社の考えについて
政府の「がん対策推進協議会」が、がん対策基本法に基づく「がん対策推進基本計画」に、喫煙者率の「半減」についての数値目標を盛り込む方針を打ち出したことを踏まえ、日本たばこ産業株式会社と致しましては、同計画に喫煙者率の引き下げを数値目標として示すことに強く反対し、本日、厚生労働大臣、厚生労働省健康局長に「意見書」を提出致しました。
弊社は、本年4月に公表された「健康日本21中間評価」の検討においては、喫煙者率に関する数値目標設定の是非について、各界の専門家の先生方が十分に時間をかけ慎重な議論を交わされ、その結果、「健康日本21」における新たな目標として、「喫煙をやめたい人がやめる」を追加することが決定されたものと承知しております。
一方、万一、「がん対策推進基本計画」に喫煙者率に関する数値目標が盛り込まれることとなれば、行政としてのたばこ対策の一貫性が著しく損なわれることになりかねません。
【「がん対策推進基本計画」案に対する弊社の意見】
弊社は、「喫煙者率の引き下げの数値目標」を設定することに強く反対します。
【反対の主な理由】
- 1.
-
弊社は、喫煙は特定の疾病のリスクを高めると認識しています。また、たばこは合法な嗜好品であり、喫煙するかしないかは、適切なリスク情報を承知した成人個々人が、自らの健康に与える影響を勘案しつつ、自らの嗜好・健康観等に基づいてそれぞれが判断すべきものであると考えています。
- 2.
-
喫煙者率について数値目標を設定することは、個人の嗜好の問題に国家権力が介入して個々人の判断を特定の方向に向くよう強制しようとすることに他なりません。これは、成人個々人による判断を蔑ろにするものであり、問題であると考えます。
- 3.
-
一部報道によれば、「がんによる死亡率を減少させるために、喫煙者率引き下げの数値目標設定が不可欠である」旨の見解が示されているようですが、喫煙者率の減少によりがんによる死亡率の減少が達成できるかどうかは疑問です。
-
がんを含む生活習慣病は、喫煙のみならず、運動不足、栄養の偏り、飲酒など様々な生活習慣や加齢、生活環境等その他の要因が複雑に絡み合って発症するものであり、例えば、国別に見ても、ある国の喫煙率と、たばこ関連疾患とされるものの代表例である肺がんによる死亡率との間には、明らかな相関があるとはいえません。
-
実際に、我が国における成人男性の喫煙者率は戦後数十年の長期にわたり概ね半減近くまで大幅に減少してまいりましたが、一方、肺がんによる死亡率(年齢調整)は、ここ数年横ばいとなっているものの長年一貫して上昇してきたとの事実があります。
-
【未成年者喫煙防止に向けた取り組み】
他方、未成年者の喫煙防止については、たばこ産業界全体を挙げて2008年の成人識別自動販売機の稼動に向けた施策を進めており、また、各地域においては、関係行政・教育委員会等の参画を得て「未成年者喫煙防止対策協議会」を開催するなど、積極的な取り組みを行っています。
政府が、我が国の今後のがん対策のあり方の検討を進められるにあたり、弊社としましては、従来の政策とも一貫性のある、真に実効ある「がん対策推進基本計画」が策定されるよう主張してまいります。
なお、意見書は、財務大臣、農林水産大臣へも提出しております。
PDFファイルをご覧いただくには、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerはアドビシステムズ株式会社より無償配布されています。
2007年4月25日
日本たばこ産業株式会社