禁煙指導に対する健康保険適用についてのJTの考え方

現在、中央社会保険医療協議会(中医協)において、事務局である厚生労働省(厚労省)の提案に基づき、禁煙指導を健康保険の給付対象とすることが審議されています。
また国民の意見を踏まえながら幅広く議論を進める目的で、厚労省のウェブサイト上では意見募集が行われました。

私たちは、禁煙を希望される方々の支援のための社会的取り組みについては支持しますが、その指導にかかる費用に健康保険を適用することには多くの疑問があり、十分な議論が行われないまま中医協における審議が進められていることについて、懸念を持っています。

まず、禁煙指導に健康保険を適用することは、喫煙を病気として、喫煙者を病人として扱うことになります。ニコチンには依存性がありますが、その程度は弱いことが学術的にも社会的にも認められており、また喫煙者は、アルコール依存症患者等と異なり何ら支障なく通常の日常生活を送っておられることから、喫煙すること自体が病気であるという考え方は誤りであると考えます。

たばこは、喫煙のリスクに関する適切な情報に基づいて、成人が自ら判断して愉しむ合法な嗜好品です。私たちは、たばこにささやかな愉しみを見出しておられる方々を病人として取り扱おうとする今回の提案に反対します。

また、禁煙指導に対する健康保険適用は、将来の医療費削減が目的であるとされています。これは、

  • たばこを吸われる方々には吸われない方々より多額の医療費がかかっている

  • 禁煙指導は禁煙にあたり効果がある

ことを前提としていますが、この前提自体に多々疑問があります。

次ページ以降で、私たちがなぜこのように考えているか、データを基に説明します。

2006年1月23日