喫煙の社会コスト

喫煙により、喫煙者個々人だけでなく、社会全体として損失が発生しているのではないか、という指摘があります。これは「喫煙の社会コスト」と言われているものです。

私たちは、喫煙の社会コストについてその定義・計算方法等が広く合意されているとは言えず、したがって社会コストが発生しているのかどうか、また発生しているとしてその金額はどのくらいであるかについては現時点ではっきりとは言えない、と考えています。

喫煙の社会コストを推計した研究報告は日本・海外を含め多数あります。それらはそれぞれ異なった計算前提や仮定に基づいており、したがって推計結果もまちまちです。明らかに非合理的だと思われる仮定にもとづいた推計も見られます。

喫煙者について非喫煙者よりも多くの一人当たり医療費がかかっているかどうかについては、客観的な裏付けがあり広く合意された結論は未だ無いものと考えています。喫煙者と非喫煙者では医療費に差は無いという報告も複数あります。

また、肺がん等の喫煙と関連があるとされている疾病について、その関連性は疫学研究により示されているものですが、実際にはそれらの病気は住環境、食生活、運動量、ストレス、遺伝的要因等さまざまな要因が複雑に絡み合って発生するものです。したがってそれらの病気にかかる医療費あるいはそれらの病気による死亡に伴う損失について、たばこにのみ責を帰したり、あるいはたばこの寄与度を過大に評価したりすることがあれば、不適当であるものと考えています。