A History of Tobacco たばこの歴史
アメリカでの「たばこ」の変遷  多国籍「たばこ」企業の時代
アメリカの“たばこ王”が次に狙ったのは世界市場でした。
「たばこの歴史〜世界史編〜」の最終章では、巨大な「たばこ」企業の誕生と、
その後の再編について解説します。
米英たばこ戦争”の顛末”
  アメリカの「たばこ」市場の大部分を手中に収めたジェームズ・ブキャナン・デュークは、次に世界市場の制覇をもくろみます。しかし、そこにはイギリスが大きく立ちはだかっていました。

  当時のイギリスは世界中に植民地を持つ超大国であり、その国力をバックに、「シガレット(=紙巻たばこ)」の各メーカーが世界市場に販売網を張り巡らせていました。そこでデュークはイギリス本土での闘いを決意しますが、同国が輸入品に高い関税を課していたため、メーカーの1つを買収し、これを拠点にイギリスの「シガレット」市場に参入します。

  デュークに乗り込まれたイギリスでは、各メーカーが連合を組んで新会社“インペリアル・タバコ社”を設立し、その闘いは熾烈を極めました。

  1901年にはじまった“米英たばこ戦争”は、“アメリカン・タバコ社”と“インペリアル・タバコ社”が共同で新会社“ブリティッシュ・アメリカン・タバコ社(=BAT社)”をイギリスに設立することで、翌年には和解を迎えます。これにより、“アメリカン・タバコ社”と“インペリアル・タバコ社”がそれぞれの自国で、“BAT社”が米英以外の国(一部を除く)で活動することになりました。しかし、後にデュークの“アメリカン・タバコ社”は反トラスト法によって解体されてしまいます。
イギリスの「シガレット」連合の旗頭だったW・D&H・O・ウィルズ社のポスター。
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企業の巨大化と市場の寡占化
  1910年代に、今日のブレンドの主流となる、香料を効かせた“アメリカン・ブレンド”の「シガレット」が登場、1930年代には「フィルター付きシガレット」が発売され、1950年代以降、「シガレット」は人々の嗜好品として急速に広まることとなります。

  「シガレット」の普及と機械化による新たな「たばこ」産業の流れは、世界的な市場を形成し、その市場確保のために買収や合併が繰り返され、巨大な会社の誕生を促していきました。

  近年は、「たばこ」を取り巻く社会環境の変化により業界の再編成が進行、今日の「たばこ」企業の巨大化・多国籍化と市場の寡占化につながっていくこととなります。