A History of Tobacco たばこの歴史
諸説ある「たばこ」の渡来期
「たばこ」の日本への渡来時期については、昔から多くの考証がなされ、
多様な説が主張されてきましたが、残念ながら明確なことは分かっていません。
この章ではその理由と、有力とされている説について解説します。
瞬く間に日本で広まった「たばこ」
  「たばこ」が日本へ伝わった正確な年代や状況は、日本およびヨーロッパともに現存する明確な記録がないため、今のところ推測の粋を出ません。
  しかし、以下の2説をはじめ、さまざまな説が存在します。
天文年間説 …… 天文12(1543)年に種子島に漂着したポルトガル人が、鉄砲とともに伝えたとする説
慶長年間説 …… 慶長10(1605)年前後に、ポルトガルやスペインなどの西欧諸国=南蛮から渡来したとする説
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長崎県平戸市の平戸城内に建立された「日本最初 たばこ種子渡来之地」の石碑。
慶長6(1601)年に「たばこ」の種子がこの地に伝えられたという記録をもとに建てられた。
  いずれにしても、スペインの修道士ブルギーリョスの報告書や八条宮智仁親王の『煙草説』にある記録から、慶長年間(1596〜1615年)にはすでに“喫煙”も「たばこ」の耕作も伝来していたと考えられています。
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長崎県長崎市にある「煙草初植地」の石碑。慶長10(1605)年に南蛮よりもたらされた「たばこ」が、この地に植えられたことを記念して建立された。
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カルタを楽しむ人々と、キセルで一服する女性の姿が描かれた画。南蛮渡来の品々が画中に巧みに取り入れられている。

「遊興図(ゆうきょうず)<部分>」(作者不明/17世紀中期)
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日本に来航したオランダ人と従者の様子。この頃、異国について描かれた絵画には、手にクレーパイプ(=粘土を原料とする素焼きのパイプ)をもったオランダ人の姿が多い。

「紅毛人図(こうもうじんず)」