お仕事対談

CROSS TALK

葉たばこをブレンドして味・香りの骨格をつくりあげる
「葉組」という仕事

たばこ製品には数種類の葉たばこがブレンドされています。試行錯誤しながら、その葉たばこのブレンドをつくりあげていくのが「葉組」という仕事。葉たばこのブレンドは味と香りの中核を成すため、担当者は職人的な感性を駆使しながら、取り組んでいます。

MEMBER

メンバー

  • 技術開発

    永山 萌夏

    Moeka Nagayama

    RRP*の新製品開発の葉組とメンテナンスを担当。
    *Reduced-Risk Products:喫煙に伴う健康へのリスクを低減させる可能性のある製品

  • 技術開発

    佐藤 勲

    Isao Sato

    紙巻たばこの新製品開発の葉組とメンテナンスを担当。

  • 技術開発

    平井 俊史

    Toshifumi Hirai

    紙巻たばこのメンテナンスと葉たばこの使用計画策定を担当。

Theme 01

「葉組」とはどんな仕事ですか? 仕事の内容と流れを教えてください。

「葉組」は、多種多様な葉たばこを選定し、味と香りをつくり上げていく仕事

  • 佐藤

    たばこの葉は産地によって、さらには同じ株でも葉がついている枝の位置によって、特徴が異なります。そんな多種多様な葉たばこから何種類かを選定し混ぜ合わせて、表現したい味や香りをつくっていくのが葉組という仕事です。例えば、甘さも感じつつ、スッキリした味わいのたばこをつくりたいというときに、それにふさわしい特徴を持っている葉たばこを適度な割合でブレンドして、狙った味や香りをつくっていきます。試作を繰り替えして、狙い通りの味ができるまで配合を調整していきます。そういう作業をチームに分かれて行っています。私たち3人が同じチームになることもあります。

  • 平井

    葉組が関わる仕事は大きく、開発とメンテナンスに分けることができます。開発は、新しい製品を一からつくる仕事で、どんな味のたばこをつくるかというオーダーを受けて、狙いの味と香りをイメージするところから始まります。メンテナンスは、すでに販売されているたばこのブレンドを調整することです。たばこは農産物ですから、毎年まったく同じ品質の葉たばこを生産することはできません。同じ産地のものでも、内容成分に微妙な違いが出てくるんです。しかし、お客様にはこれまで通りの変わらないたばこの味と香りを愉しんでいただきたいので、同じ銘柄でも定期的にブレンドを調整しています。JTグループは、多くの銘柄を販売していますが、すべての銘柄を定期的にメンテナンスしています。

  • 永山

    開発においても、メンテナンスにおいても、葉組はたばこ製品の骨格をつくることに変わりはありません。また、葉たばこのブレンドは味と香りだけでなく、紙巻たばこであれば燃焼スピードなど物性面にも関わりますし、製造工場での生産効率にも影響するんです。たばこビジネスにおいて葉組は重要な役割を果たしていると思います。

  • 平井

    同感です。葉組はたばこ製品のベースとなるものですから。もちろん、香料、パッケージ、巻紙やフィルターなど製品に関するすべての要素が重要なのは当然ですが、葉組に携わっている人間としては、たばこ製品のキャラクターをつくっているいちばんのポイントは葉組だと信じています。

「葉組」の大まかな仕事の流れ

  • 佐藤

    紙巻たばことRRP*と総称される加熱式たばこや電子たばこの葉組の要件は異なるものもありますが、大まかな流れは同じですね。理想的な味と香りを具現化することはもちろんなのですが、各銘柄に使用する葉たばこの調達量も考慮して、葉組をおこなっています。

    *Reduced-Risk Products:喫煙に伴う健康へのリスクを低減させる可能性のある製品

  • 永山

    私はRRP*の新製品開発を担当しています。「こんな味にしたい」というオーダーを受けて、どんなブレンドがいいかを構想し、試作品をつくり、まずは自分で吸ってみます。自分が立てた仮説との乖離を検証しつつ、何回もトライ。納得のいく試作品ができたら、チームメンバーに試喫(試験喫煙、実際にプロトタイプを喫煙し味と香りなどを確認する作業)してもらい、アドバイスを受けて検討を繰り返し、次に他チームのメンバーにも試喫してもらい、製品化に向けて進めていきます。

    *Reduced-Risk Products:喫煙に伴う健康へのリスクを低減させる可能性のある製品

  • 平井

    葉たばこの調達は他の関連部署が担当していますが、そこと連携して、調達量を考えながら葉組を行っています。各銘柄の葉組を検討する際は、どんな種類の葉たばこがどれくらい必要なのか、数年先までの使用計画を立てています。世界中から届く葉たばこは100種類以上あり、外観や喫味を確認し、各銘柄の風味、品質を考えて葉組をつくっていきます。永山がお伝えしたのと同じように、チームメンバーと味と香りを確かめながら、チューニングしていって、最終的な製造用のブレンド配合を決定します。JTグループのたばこ製品には、ブランド毎にイメージがあるんです。例えば、「Peaceはこういう味」というように、銘柄によって風味の基準があり、それに近づけていくわけですが、単に葉たばこの種類や含有成分の量を踏襲して配合すれば狙い通りの風味が出せるわけではありません。微妙な違いがあるので、メンバーが試喫を重ね、「よし。これこそPeaceの味だ」と経験によって養われた感覚によって判断する部分は大きいですね。

Theme 02

「葉組」の仕事のおもしろさややりがいは、どんなときに感じますか?

三者三様。「葉組」の仕事のおもしろさと苦労する部分

  • 平井

    葉組のおもしろさは、“1+1=2”にならないこと。1+1が3になったり、0.5になったりするところがおもしろくもあり、難しいところでもあります。香りが良いとされている葉たばこを数種類混ぜると、すごく良い香りになるとか思いきやそうでもなかったり、逆に、予想以上に香りが立ったり。そういった葉たばこの組み合わせの妙を、たくさんの経験を積んだり、データを上手く活用したりすることでわかる人間になりたいです。

  • 永山

    私は葉組という開発に携わることで、自分がつくったたばこ製品が世に出ることが大きなやりがいになっています。

  • 佐藤

    私も自分が開発に携わった製品が世に出ることはとてもうれしいですね。製品は「作品」だと自負しています。ですので、それをお客様に吸っていただいて、どう感じてもらえているかを想像することは作り手として大きな楽しみです。

  • 永山

    ただ一方で、葉組の難しさも感じています。試喫のときもそうです。他のメンバーと自分の感じた感覚の違いを理解するために、感じたことと評価の言葉を結びつけなければいけないのが難しいですね。味や香りの細かな特徴は数字では表せませんから、自分が感じたことと他のメンバーが言った言葉の接点、結びつくところを理解することが肝心です。

  • 平井

    そうですよね。官能の世界は、人によって評価が異なりますが、そこがおもしろくもあり、難しくもあると私も感じています。評価する人によって、「これ、いいね」というときもあれば、「別のサンプルのほうがいいね」と意見がばらつくこともあります。そのばらつきの理由を考え、意見を集約していく作業はおもしろくもあり、苦労する部分でもあります。

  • 永山

    例えば、他のメンバーが「華やかな味」と表現したとき、「私が感じたあの味のことを言っているのかな?」と結びつけようとするのですが、それが正しいのか、間違っているのか。自分がつくった試作品をメンバーに吸ってもらったときも、「いや、そういうイメージでつくったのではないのですが…」と思うこともあります。ですので、相手が何を言わんとしているのか、あるいは、自分の思いをどう伝えたら理解してもらえるのかといった「感覚を言葉で伝えるためのコミュニケーション能力」を高めていきたいと思っています。

「葉組」の仕事を行ううえで、とくに大事にしていること

  • 平井

    新製品開発を担当した最初の頃は、「こういう味がおいしいはずだ」と、自分が好きな味をつくろうとしがちでした。ところが、そういう提案に限って評価が悪く、開発がうまく進まなかった気がします。新製品のコンセプトをしっかりと理解して、それを達成できているかを強く意識して、丁寧につくっていくことが大事だと気付くようになりました。いろんな葉組を検討している中で、ついつい自分の好みに影響されてしまうのですが、新製品を愉しんでいただくお客様がどう感じられるか、想像力を働かせることが大切です。それは、メンテナンスの仕事にも言えることだと思います。

  • 永山

    私が仕事で大事にしているのは、コミュニケーションです。一つの銘柄のたばこが誕生するまでには、葉組だけでなく、香料、材料、それらをコーディネートする人など、多くのメンバーが関わっています。開発をより円滑に進めていくには、他のメンバーや他部署の担当者との連携が必要になるので、コミュニケーションは大事にしようと常に自分に言い聞かせています。

  • 佐藤

    自分の感性も大事ですよね。この味わいをどう感じているのか、どう組み立てるのか。ものづくりにはそういった感性が欠かせません。例えば、開発プロジェクトで試喫をすると、いろんな意見がでてきて、とても参考になります。しかし、他と意見が合わなくても、自分が感じていることが変わるわけではないですし、たばこづくりには絶対的な正解はありません。だからこそ、自分の感性に自信と責任を持つことが重要なんです。
    ある意味、自分が感じていることがいちばん正しいと私は信じています。そして、自分の感性にプライドを持って仕事に向き合うよう心がけています。

  • 永山

    私は葉組を担当して、まだ数年ですが、同じチームには数十年担当しているベテランさんもいますよね。

  • 佐藤

    先輩の仕事を横で見ていて思うのは、言葉の引き出しが多い。感覚を巧みな言葉で表現し、人に伝えることができる。それから、以前こういうことを試してダメだったから、ここはこうしたほうがいいとか、経験をもとに開発を進めることができる。そしてもう一つは、自信を持っている。近くで見ていて、自分もこうなりたいと思いますね。

  • 平井

    たしかに。最終的に製品化するブレンドを決定する責任者は、プロジェクトメンバーが納得できる言葉で説明をしたうえで自信を持って決めていきます。たばこづくりにおいて、経験豊かな人は、判断軸がしっかりとしていて、正解が存在しない中でも自信をもって進めていくリーダー力とかっこよさがあると思います。

Theme 03

「今後、「葉組」の仕事でチャレンジしたいことは何ですか?

「売れるブレンド」とは。お客様の目線で考えたい

  • 平井

    チャレンジというより、いっそう葉組の技術や感性を向上させたいですね。含まれている成分の値がこれだけ高いと吸い応えが強くなるとか。甘く感じるけれども、この成分が含まれているとその甘さが弱くなるとか。そんな「成分の因果関係」がたばこの味と香りに複雑に作用していますが、その因果関係が徐々に自分の感性に繋がっていくと、味や香りの“予測”ができるようになります。さっき、1+1=2にならないと言いましたが、定常的に1+1=3にも5にもできるような職人的な技術を体得したいです。私は大学時代に専攻していた有機化学の分野に携われたらと思って入社しましたが、葉組を担当するチームは職人的な仕事でありつつも科学的な側面を取り入れていこうという風潮があったので興味を持ちました。多くの先輩方のような「職人」になれるよう腕を磨いていきたいです。

  • 永山

    今後、JTインターナショナルと連携した開発をよりスムーズに進めていくためにも、英語を用いたコミュニケーションスキルを獲得していきたいです。製品開発の分野で、特許をたくさん出したいという目標もあります。それから、これは私の目標というよりは、これを読んでくださっている方に向けたメッセージですが、女性の仲間がもっと増えるといいなと思っています。開発や葉組の仕事は、男性的なイメージが強いかもしれませんが、実は女性も大勢、活躍しています。性別関係なく、様々な個性や感性を発揮できる仕事です。ものづくりの仕事として大きなやりがいが感じられるので、ぜひ、チャレンジしてみてください。

  • 佐藤

    一から自分でコンセプトを考え、新製品を開発し、それがお客様に受け入れられる。そんな仕事ができるよう、さらに精進したいです。それと同時に、「売れる」ってどういうことだろうと、最近よく考えるようになりました。「これは売れる」と思って世に出しても期待したほど売れなかったり、逆に、それほど期待していなかったのに大いに売れたり。どういう製品が売れるのかはわからないというのが正直なところです。ただ、開発業務に没頭し、目の前の仕事に集中しすぎると、「売れる」「売れない」を考える余裕が少なくなってしまいます。「売れるものとは?」というビジネスの原点に立ち戻って、メンバー同士で論じ合いながら葉組の仕事をしていきたいです。

  • 平井

    何が売れるかという問いは永遠の課題ですからね。だからこそ、お客様は何を求めているのかを常に頭に置いて開発に携わることは重要だと思います。「売れるブレンド」とは、どんなブレンドかと。

  • 永山

    私も、目先のゴールばかりを追いかけてしまいがちですが、お客様が吸っている姿を想像しながら開発するという高い視座を持ってブレンドをできる人になりたいなと、気持ちを新たにしました。




Summary

JTグループのたばこ製品は、職人的な感性と技術をもつ「葉組」の担当者によって味と香りがつくられています。たばこメーカーにしかないユニークな仕事ですが、その魅力を少しでも感じていただけたでしょうか。自分が携わった製品が世に出て、世界中のお客様に愉しんでいただける、これはとてつもないやりがいと喜びを感じられる仕事だと思います。

*このページはJTの事業内容を紹介する目的で作成されたものです。消費者への販売促進もしくはたばこ製品の使用を促す目的ではありません。

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