RDS moving on for one team globally
場所と文化を越え、メンバーのポテンシャルを引き出し合う「アジャイルな道のり」
- Key Word
- #アジャイル
- #製品開発
- #相互文化理解
RDS moving on for one team globally
JT R&Dグループは製品開発プロジェクトをグローバルに一貫管理しています。これを担当するチーム、R&D Services(以下、RDS)は、2022年1月、たばこ事業の本社機能がジュネーブに移管されたタイミングで発足しました。
東京、トリア(ドイツ)、マイアミ(米国)、香港、ジュネーブ(スイス)計5つのR&D拠点に勤務する50人以上の多国籍のメンバーが在籍するチームにおいて、国や文化の違いを越えて開発体制を完成させるための試行錯誤、大事にしていることについてプロジェクトに関わった4名の皆さんに語ってもらいました。
PROJECT MEMBER
プロジェクトメンバー
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R&D Services
中村 誠
Makoto Nakamura東京勤務。2013年よりJTグループで勤務。複数の部署配属を経て2022年1月よりRDSに参加。開発担当とマーケティング担当の橋渡しを行う「インターミディエーター」としてチーム・ケイパビリティデベロップメントも担当しながら国内業務整理の進行や運営にあたる。
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R&D Services
ラファエラ・ディック
Raphaela Dickドイツ・トリア勤務。2006年にJTI入社。2021年にRDSに加わり、アジャイルな組織運営のためのメンバーに向けた各種コーチングを担当する。
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R&D Services
セバスチャン・バルメール
Sebastian Balmertドイツ・トリア勤務。2005年にJTI入社。複数の部署配属を経て2020年1月より現職。技術担当とマーケティング担当の橋渡しを行う「インターミディエーター」としてRDS内の各種案件、ワークショップ等のファシリテーターとして活動する。
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R&D Services
マリア・スェン
Maria Suen香港勤務。2018年にJTI入社。技術担当とマーケティング担当の橋渡しを行う「インターミディエーター」としてRDS内の各種案件、ワークショップ等のファシリテーターとして活動する。
PROJECT STORY
プロジェクトストーリー
01.日本と海外の拠点が統合されると聞いた時の感想は?
準備段階を経てついに一つのチームへ
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これまでも世界各国のRDS拠点と機能横断的に仕事をしており、統合前の段階で仕事の進め方の基礎はできていました。そのため、大きな変化は感じられず、従来の延長で自然な流れとして感じられました。 特に香港は同じアジア太平洋地域のマーケットを担当する日本とは以前からつながりがありましたし、開発担当者も往来する事もありました。
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世界中の5拠点の仲間たちとコミュニケーションをとりながら仕事をするなんて!とても光栄な機会に恵まれていると日々感じています。チームを作るときに大事なのは、文化的なことだけではなくプロフェッショナルなバックグラウンドの多様さ。そこから多くの視点が生まれるほど良いチームが築けると思います。
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ベストな結果をチーム全員でかたちにするために、経験や知識をシェアできる働き方ができると知った時は私も嬉しく思いました。トリアのような小さな町にいながら経験するRDSでの仕事にはとても価値があると感じています。
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スキル、専門性、知見、経験、視点の多様性がチームの強みの一つなので、統合によりそれがさらに加速すると感じました。
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一方、各国が異なるシステムのもと働いていたことや文化の違いから混乱を生むのでは、と少し心配しました。
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各国のシステムの違い含め、業務整理は必要でした。日本でも関係部署との調整の結果、プロジェクトマネジメント業務をマーケティング担当に引き渡すなど、責任領域をJTIとミラーリングするための準備を行いました。各国間の大きなギャップを埋めるため、特に日本では全体的なシステムの見直しを図りました。
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統合のプロセスは橋づくりに喩えるとわかりやすいかも。それぞれ異なる角度や接点から物事を繋げる努力をする必要がありました。
02.それぞれのチームにおける役割、心がけていることは?
インターミディエーターの必要性
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RDSではスキルや技術だけはなく個人間の関係性も重視しています。まだ発足してまもないチーム体制を運用していく際にさまざまなギャップがある状況で、インターミディエーター=仲介役として、異なる国や部署間のスタッフ同士のコミュニケーションのあり方を促しています。
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長年JTIの様々な部署で仕事をしてきた身としても、技術者とマーケターの間でイノベーションの価値を共有し合うために、双方に働きかけるインターミディエーターの必要性を強く感じます。
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マリアさん、セバスチャンさんも私と同じ役割を担当しています。
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私の役割は、メンバーがポテンシャルを発揮しアイデアを最大限形にするための障壁を取り除くこと。RDSの立ち上げ期から、私は同僚たちが手を差し伸べ、人間同士のつながりを築くことを奨励し、促進することに力を注ぎ続けてきました。
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現在はより具体的な実務につながる達成目標と主要な成果を設定する方法など、チームとしての取り組みにも注力するようになりました。これはセバスチャンが話したようなチーム環境から自然発生したものだと感じています。
2022年1月からはじまった私の新しい役割はいわばこの「アジャイルな道のり」を日々乗り越えていくための働き方をコーチングすること。メンバーの成長はチーム全体の成長、ひいては全体の生産性にも通じます。 -
私はチーム・ケイパビリティデベロップメントも担当しています。「ケイパビリティ」はスキル的なことだけではなくて、グローバルにつながる関係を作っていく力のことも指すと考えていて、これは今ラファエラさんが言ったことにも通じると思います。
アジャイルでいるための透明性ある環境づくり
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現在RDSは、最低限の実現可能性を担保した新製品開発に注力しています。アジャイルな方法は、製品開発においてお客様のニーズを探求するためにあると言っても良いでしょう。
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アジャイルなチームを作るための一番の課題は従来のレポートシステムだったかもしれませんね。
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ラファエラさんともレポートシステムのことをつい先日も話し合っていましたよ。これは日本に限ったことではないようですが、いわゆる「報・連・相」にまつわることや、上長への都度確認といったことは効果的・効率的なプロジェクト進行でいまだ重要視されがちです。でもこれは時に序列的な側面もあるので、そうではないフラットでアジャイルなチーム構造を作ることもチャレンジでした。
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トリアでも同じようなことが起きていましたよ。プロフェッショナルな現場ではどこも一緒かもしれませんね。日本と同じ課題があったことは興味深く感じます。以前は、今日どんな業務をするか、誰とコミュニケーションをとるかといったことまで上司からの指示を待つこともありました。
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香港も同様です。例えばある情報がとあるタイミングで限られたメンバーにのみ必要な時、それにアクセスできた頃にはもう状況が変化していて時すでに遅し、となることもしばしば起こっていました。私たちRDSは、誰もが気兼ねなく意見しやすい状況を作ることができたと思います。仕事をする上でのニーズに素早くアクセスしたり、発言しやすく情報交換が盛んな、風通しの良い環境を作ることでチームの透明性が増しました。
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私たちは社内でいち早く、従来のレポーティングシステムを脱した部署でもあるんです。それってすごいことだと思います。
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とはいえ、連携意識と効率性のバランスは非常に難しく今後も引き続き改善していきたいと考えています。これから、日本のメンバーも他国のメンバーとともに組織マネジメントに関わっていきます。課題や関心のあることを共有して、互いの経験から学び合うために、有志のコミュニティにも参加する予定です。
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仕事のオペレーション方法を変えるために私たちが日々行っている小さいながらも堅実な努力は、やがてJTグループ全体にも大きく寄与すると信じています。
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この他に行っている工夫として、全拠点で毎週または隔週のRDSアップデートプレゼンミーティングを行い、他部署の社員も参加し最新情報にキャッチアップできるようにしています。ミーティングの様子は録画されるので、予定が合わないスタッフにも共有されます。
03.実務以外にチームづくりをするうえで行った工夫は?
人間的な関係性ありきの仕事
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アジャイルな組織を実現するための自律的かつ有機的な空気を作るため、これまで何度も互いの文化をより深く理解するためのワークショップやイベント等も実施しました。
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仕事上の情報交換を行うだけでなく、メンバー全員が参加するオンラインのチームビルディングのアクティビティも実施しました。新メンバーが増えれば「コーヒーミートアップ」を設け、誰もが気軽に交流し、質問し、お互いを知ることができるような空間を作りました。今後も定期的な交流を続け、知識を共有し、お互いを理解し、学び合うことを心がけていきます。
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メンバー同士が自然にふるまうことが、結果的に仕事の生産性にも繋がります。例えば日本の文化では金曜の夜に会議をお願いすることは失礼にならないのか?ゴールデンウィークや中国の旧正月前後はどう過ごすか?こういった些細なことも、普段から関係性を築けていたら気兼ねなく聞くことができますよね。他国の祝日を意識しながら働くなんてこれまで想像もできませんでした。
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今の状況は、人と人とのつながりがなければ実現できなかったと思います。現在もチームの一体感は日に日に強くなっています。
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今後、異国間の移動制限が緩和されたら直接会っての交流機会も増やす予定です。
好奇心こそ全て
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パンデミックによって浸透したビデオ会議を導入したワークスタイルも、家族やプライベートなことも含めてお互いのバックグラウンドを知りたいと思うようになったきっかけだと思います。
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お互いを尊重し、仕事を超えて人間として理解し合う。こういった姿勢がチーム全体の気風に繋がっていると思います。
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オープンマインドで好奇心をはたらかせること。そして共感を持って相手と接し、つながりを求めれば、どんな文化的なハードルも時差も、国籍や経歴に関わらず乗り越えられる。これがRDSでの私にとって一番の学びです。
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同感です。全てのことに対して好奇心をはたらかせていれば物事を正しく理解し、どんなプロセスにおいても自分事としてとらえる状況ができます。好奇心こそ原動力だと思います。
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自分にとってRDSは世界中の同僚の一挙一動から学べる場で、場所とアイデアが拡張されるような感覚になります。
Summary
技術と経験を結集させたプロフェッショナルな「仕事」を実現するために「仕事以外」の面も引き出し、互いを多面的に知り合う時間を過ごしてきたことが、4人の朗らかな会話の様子から伺えました。「インターミディエーター」として部署や役割、国や文化、個々人間のつながりや流れを促すRDSメンバーの仕事や姿勢が、JT全体に浸透する日もそう遠くはないでしょう。今後も続く「アジャイルな道のり」の動向に興味津々です。
2019年にグローバル統合に向けた準備を始めてから、RDSは他拠点とワークショップなどのアクティビティを通じて統合に向けた準備活動をしてきました。私含め、メンバーの誰もが「いよいよ一つのチームになるのだ」とワクワクしたと思います。