墨田区観光協会主催「みんな北斎プロジェクト」に参画
北斎「冨嶽三十六景」デザインアートを施した喫煙所が錦糸町にOPEN
~障がいを持つ方々と一緒にデザインした喫煙所を通じ、墨田区が葛飾北斎のふるさとであることを発信~

2021/11/22

JTは、墨田区をふるさととする葛飾北斎の代表作「冨嶽三十六景」のデザインアートを施した屋外喫煙所を11月18日に錦糸町駅北口に設置しました。本喫煙所のデザインである「冨嶽三十六景」は北斎オリジナルのものに加え、漫画家しりあがり寿氏の作品、障がいを持つ方が描いた絵を元に「すみだクリエイターズクラブ」が創作したデザイン『みんな北斎 浮世絵巻』を取り入れています。
本取り組みは、墨田区観光協会主催のアートを通じた障がい者福祉「みんな北斎プロジェクト」にJTが参画し、プロジェクトの一環として実施したものです。

(写真左から: 墨田区観光協会理事長 森山育子氏、漫画家 しりあがり寿氏、墨田区長 山本亨氏、JT東京支社東京東部第二支店長 川村豪志)

喫煙所は幅約14.5mと墨田区内でも最大級の大きさを誇り、デザインが壁一面に広がっています。
本取り組みを通じ、公衆喫煙所が駅前北斎ギャラリーとなることで、墨田区が北斎のふるさとであることを広く世の中に発信し、すみだの活性化につなげていきます。

JTはたばこを吸われる方・吸われない方の双方を考慮した空間造り、そして双方が共存できる社会の実現をめざしてまいります。

喫煙所OPENに関するコメント

墨田区長: 山本 亨 氏

「今回制作されたデザインは、本区が葛飾北斎ゆかりの地であることをPRするとともに、障がいを持つ方々と社会とを結び、様々な個性や多様性を理解するきっかけとなるアート作品です。今後、多くの方々にこのデザインをご覧いただき、すみだの魅力の発信や心のバリアフリーの普及に繋がることを期待しています。今回の取り組みに関わった全ての方々に感謝申し上げるとともに、みんなの北斎プロジェクトの更なる発展を祈念します。」

しりあがり寿 氏

「絵に壁はありません。描かれる線や形は等しくその人の命の軌跡です。今回、墨田区、JT、みんな北斎プロジェクト、皆さんが力をあわせてひとつの『壁のない絵』ができました。時代の壁を超えてあの葛飾北斎が、そして障がいの壁を越えて施設の皆さんが1枚の絵に参加しました。これを観る皆さんもまた、そこに溢れる自由な魂と透き通る光を一緒に楽しんでいただけるよう祈っています。」

しりあがり寿 氏 プロフィール

1958年生まれ。多摩美術大学を経てビール会社勤務の傍ら、1985年『エレキな春』で漫画家としてデビュー。1994年退社。2000年『時事おやじ2000』(アスペクト)と『ゆるゆるオヤジ』(文藝春秋)で文藝春秋漫画賞、2001年『弥次喜多 in DEEP』(エンターブレイン)で手塚治虫文化賞優秀賞を受賞。
2002年から朝日新聞・夕刊で『地球防衛家のヒトビト』を連載。ギャグから社会派まで幅広いジャンルの漫画作品を手がける一方、映像、現代アートなど多方面で活躍。2014年、紫綬褒章受章。

デザイン『みんな北斎 浮世絵巻』について

「みんな北斎 浮世絵巻」の総合監修は、北斎のパロディ作品の作者としても知られる漫画家しりあがり寿氏。墨田区内の福祉施設に通所する皆さん68名による絵を、葛飾北斎・しりあがり寿氏の絵とともに壁画にしました。
今回の取り組みにより、喫煙者と非喫煙者の共存を目指す喫煙所の壁面が、障がいのある方の表現活動を発表するキャンパスになりました。
また、墨田区にあるたばこと塩の博物館(※)にて2022年1月12日以降、原画展が開催予定です。

(※)たばこと塩の博物館別窓で開く(墨田区横川1-16-3)

制作意図

葛飾北斎、しりあがり寿氏、福祉施設の皆さんの絵が渾然一体となることを目指し、制作されました。創作の根は、描きたいものを想いのままに自由に描くこと。森羅万象を描き続けた北斎が教えてくれたマインドです。
福祉作業所の方たちには、自由に心を広げて好きなもの、興味のあるものを表現していただきました。創作行為は高尚なことではなく、誰もが心をワクワクさせて楽しむ自己表現のひとつ。
「みんな違うから、違いがあって、おもしろい。」、しりあがり寿氏を中心に、そんな想いを込めて仕上げた作品です。

デザインができるまで~福祉施設でのワークショップ

しりあがり寿氏が福祉施設を訪ね、はばたき福祉園、墨田さんさんプラザ、カラコネオフィス、ひだまり工房の皆さんと壁画に用いるための原画を描きました。絵のテーマは「私の好きなもの」。森羅万象を描いた葛飾北斎のように、筆、ペン、クレヨンを使って好きなものを自由に描いていただきました。

デザインができるまで~ミーティングでの壁画デザインの検討

ワークショップの他にも、亀沢のぞみの家、すみだ花工房、すみだふれあいセンター福祉作業所の皆さんが描いた絵が持ち込まれ、しりあがり寿氏を中心に本施策に関わるメンバーと、集まった絵を1枚1枚眺め、ここからどのような壁画をデザインするか意見を交わしました。

「みんな北斎プロジェクト」について

2016年より、墨田区主催で始まったプロジェクト。2021年からは墨田区観光協会が引継ぎ、「PHASE III」(※)として、今までプロジェクトに携わってきた「すみだクリエイターズクラブ」とともに活動しています。
本プロジェクトは、地域課題における「障がいを持つ方が創作活動を通じ、地域社会に参加できる環境の提供」、「墨田区が葛飾北斎のふるさとであることの認知拡大」を目指し、「アートの前では障がいのある人もない人も同じ」というコンセプトのもと、取り組みを行っています。
また、今回の喫煙所アートに取り入れられたデザインは、本プロジェクトを通じて、墨田区で製造された商品や包装資材などにも様々な場面でも活用していきたいと考えています。その売上のうち一部が福祉作業所へ還元される仕組みを目指してまいります。


(※)「みんな北斎プロジェクト_PHASE III」別窓で開く

「みんな北斎プロジェクト」これまでの取り組み

「全国障害者アート公募展 みんな北斎」(PHASE I 2016)

墨田区が「すみだ北斎美術館」開館を記念し、開催。
全国から1,500点を超える作品が寄せられただけでなく、区内数カ所でアートワークショップを開き、障がいのある人とない人がふれあう機会を創出。

「アニメですみだ!」(PHASE II 2017~2020)

墨田区が、現代の北斎と呼ばれる漫画家しりあがり寿氏の監修のもと、区内小中学校の特別支援学級を中心としたアニメーション制作「アニメですみだ!」(※)を実施。
一般の方も自由に参加できる、アニメの素材づくりのワークショップも、区内のいろいろな会場で開催。これまでに3本のアニメーション作品を完成。

(※)「アニメですみだ!」別窓で開く

「みんな北斎ワークショップ」(PHASE I~II 2016~)

墨田区が、2016年から実施しているアートワークショップを継続して開催。
誰でも参加でき、北斎の自由な表現力を受け継ぎ、アートを通しての自己表現をかなえ、人と人が温かくつながる場をつくることを目的にしている。