加工食品事業
contents
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事業Purpose
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食事をうれしく、食卓をたのしく。
環境認識
日本の加工食品市場は、共働き世代の増加やライフスタイルの変化に伴う調理の簡便化や時短化ニーズの高まりを背景として、堅調に推移してきました。さらに、テレワークの普及などを背景とした家庭内での食事頻度の高まりにより、改めてその保存性や簡便性、利便性などが評価され、需要が拡大したと考えています。
今後の見通し
外食需要の回復などコロナ禍前への回帰は見られるものの、コロナ禍を通じて変化した生活様式は引き続き取り入れられており、加工食品の需要は堅調に推移していくものと考えています。
一方で、流通各社でのプライベートブランド製品の拡大や卸売企業の業界再編などの販路の動向に加え、人手不足に起因する人件費・物流費の高騰や国際相場・為替変動による原材料価格変動等の注視が必要と考えています。
SWOT分析
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STRENGTHS
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強み
- シェアNo. 1*を誇る製品ブランド(「さぬきうどん」「ごっつ旨い」)
*富士経済「2024年食品マーケティング便覧」冷凍うどん、冷凍お好み焼きカテゴリ2022年実績 - 独自の酵母技術、加工・冷凍技術
- 食の安全管理を基盤とした高品質かつ効率的な製造体制
- シェアNo. 1*を誇る製品ブランド(「さぬきうどん」「ごっつ旨い」)
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WEAKNESSES
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弱み/課題
- カテゴリ販売構成の偏りおよび海外市場における販売拡大
- 安定供給に向けた物流体制構築
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OPPORTUNITY
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機会
- 簡便性、保存性需要の高まりから市場拡大が見込まれる堅調な国内冷凍食品市場
- 健康志向等、個人の志向・主義に基づく高付加価値品のニーズ拡大およびフリーフロム食品の市場規模のグローバル拡大
- サプライチェーン効率化、人手不足対策に活用しうるDX、IoT等のテクノロジーの進歩
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THREATS
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脅威
- 世界的な食糧不足を背景とした原材料費/物流業界の人的不足による物流費の高騰
- 少子高齢化、人口減少に伴う内需縮小や生産年齢人口の減少による労働者不足
過去5年間の事業パフォーマンス
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売上収益は横ばい傾向にありますが、主に事業を展開する加工食品カテゴリは長期的には拡大傾向にあります。調整後営業利益は、コロナ禍等の影響のあった2020年度を除き、製品構成の改善や最適生産体制の構築を通じたコスト低減等により、一定の水準で推移しているものの、近年においては人件費・原材料費の高騰による影響が顕在化しており、引き続き注視が必要であると考えています。
2023年度の売上収益は、冷食・常温事業において、価格改定に加え、外食需要の回復による業務用製品の売上伸長があるものの、ベーカリー事業譲渡による売上収益の剥落により前年度と概ね同水準となりました。
また、調整後営業利益は、原材料費等の高騰があるものの、冷食・常温事業における価格改定効果や外食需要の回復による業務用製品の増収影響により、前年度比95.2%増となりました。
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売上収益・調整後営業利益(億円)
事業戦略
加工食品事業はJTグループの利益成長を補完する役割と位置付け、次の事項を基本戦略に据えています。
- 独自技術を持つ注力製品のさらなる販売拡大と、お客様の嗜好の変化を踏まえた高付加価値品の開発力強化
- 原材料・物流費高騰影響に対応した価格改定を行うとともに、生産性向上やコスト削減の継続的な取り組みを実行
- 長期的視点での事業成長に向けた取り組みの加速
加工食品事業では、冷凍うどん、パックごはん、お好み焼などを中心とした冷凍・常温食品、酵母エキス、オイスターソースなどの調味料を主力とした事業を展開しています。
サステナビリティ戦略
ステークホルダーの皆様とともに、食に関する社会課題に取り組み、食を通じて、心豊かなひとときを育んでいきたいと考えています。
持続可能な自然や社会づくりに貢献していくためのJTグループマテリアリティと、それを踏まえたJT Group Sustainability Targetsに基づき、サステナビリティの取り組みを推進します。
具体的には、多様な食生活を送るお客様一人ひとりの食の制限を取り除くフードインクルージョンへの貢献、製品や製造プロセスの環境負荷軽減に関する取り組み、私たちの事業Purpose実現の根幹をなす食の安全に関する取り組み等を推進します。
これらを含む加工食品事業として優先的に取り組む内容は以下の通りです。
マテリアリティ |
ターゲット項目 |
ターゲット |
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フードインクルージョンへの貢献 |
多様化するお客様の価値観や関心に寄り添い、特定の原材料等を除くだけではなく、何よりもおいしく楽しんでいただけるよう、アレルギー対応商品や動物性原料を使用しない商品、健康やその他の志向にお応えする商品等、高付加価値な商品の開発・提供に取り組みます。 |
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温室効果ガス排出量の削減 |
省エネ活動の推進や再生可能エネルギーの導入等を通じて、JT Group Sustainability Targets※のGHG排出量の削減に貢献し、環境負荷を低減します。
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環境に配慮した容器包装材の活用 |
容器包装材の軽量化および再生可能な植物由来の有機資源等を活用することで、製品を通じた環境負荷の低減を推進します。 |
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廃棄物の削減・リサイクルの取り組み |
廃棄物の削減に取り組み、循環型社会の構築に貢献します。また、国内事業所の全廃棄物に対してリサイクル率95%を目指します(リサイクル方法に熱回収を含まない)。 |
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持続可能な水資源利用の推進 |
水の効率的利用と徹底した排水の水質管理により、地域コミュニティの一員として健全な水環境の保全に努めます。 |
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DE&Iの推進 |
多様な人財が活躍できる組織づくりを推進します。その一環として、女性の活躍推進に取り組みます。女性マネジメント比率については、JTグループの目標に貢献します。 |
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心身の安全・健康の推進 |
労働災害ゼロを目指し、2030年までに、労働災害発生件数指標を0.63以下にします。 |
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持続可能なサプライチェーンの構築 |
JTグループサプライヤー行動規範やアンケート等を用いて価値観を共有しながら、サプライヤーと密接なコミュニケーションを行い、協力関係の構築を通じて持続可能なサプライチェーンの実現を目指します。 |
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安全・安心で高品質な商品の提供 |
最高水準の食品安全管理に向けて、国際規格の食品安全マネジメントシステムの運用徹底等の取り組みを推進し、食の安全性の向上と品質保証体制の強化を図るとともに、品質に関するコミュニケーションを充実させ、安全・安心で高品質な商品をお客様へお届けします。 |
なお、2023年までの加工食品事業におけるサステナビリティの取り組みの進捗については、「KPIの進捗」をご覧ください。
具体的な取り組み
ケーススタディ ①
「BEYOND FREE(ビヨンドフリー)」の提供
マテリアリティ
お客様の期待を超える価値創造
ターゲット項目
フードインクルージョンへの貢献
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加工食品事業では、多様化するお客様の価値観や関心に寄り添い、高付加価値製品の開発、提供に取り組んでいます。その取り組みの一環として、テーブルマーク(株)では、誰もが食べたいものを自由においしく楽しめる社会の実現を目指し、特定の食材を使わずに本格的な味わいが楽しめる食品「BEYOND FREE(ビヨンドフリー)」を、オンラインショップを中心に提供しています。
誕生からこれまでに、ごはん・麺などの主食メニューから、おかず・デザートなどの食卓を彩るメニューを展開しています。
これからも多様な食生活を送るお客様一人ひとりの声に向き合い、食を「もっとうれしく、もっとたのしく」する活動を進めていきます。
ケーススタディ ②
オンサイト型PPAモデル活用の太陽光発電設備を導入
マテリアリティ
自然との共生
ターゲット項目
温室効果ガス排出量の削減
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富士食品工業(株)金谷工場(静岡県島田市)では、オンサイト型PPAモデル活用の太陽光発電設備を導入し、2024年2月より稼働開始しました。この取り組みにより、同事業所における温室効果ガス排出量の約13%の削減に寄与すると見込んでいます。
加工食品事業では、省エネ活動の推進や再生可能エネルギーの導入などを通じて、JTグループとして掲げる温室効果ガス排出量の削減目標に貢献していきます。