医薬事業
contents
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事業Purpose
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科学、技術、人財を大切にし、患者様の健康に貢献します。
環境認識
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世界の医薬品市場規模は過去5年間で年平均成長率約4.9%と成長を続け、直近2022年の市場規模は約1兆4,725億米ドル(前年比2.7%増)となっています。健康意識の高まり、人口の増加、公的医療制度の充実等に伴い、先進的な医薬品の需要が高まっている一方で、高齢化や財政赤字といった背景もあり、各国政府は薬価コントロールを強めており、医療費の抑制を図っています。
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世界の医薬品市場*(億米ドル)
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Calculated based on IQVIA World Review
(Data Period, Year 2018-2022)
Reprinted with permission
今後の見通し
政府による医療費抑制を目的とした普及促進に伴い、日本の医療用医薬品市場におけるジェネリック医薬品の規模は拡大しています。また薬価制度の抜本的改革により、2021年より毎年段階的な薬価引き下げ等が行われることになり、企業にとっては引き続き厳しい状況が予想されます。なお、2022年4月の業界全体の平均薬価引き下げ率は、6.69%でした。
SWOT分析
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STRENGTHS
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強み
- 低分子創薬に特化した研究開発
- 「 循環器・腎臓・筋」「免疫・炎症」「中枢」の重点領域に資源を集中
- 先端技術への投資とJTならではの独自創薬基盤技術
- 研究開発はJT、日本国内における販売については
- 連結子会社である鳥居薬品(株)が担うことで専門性を高め、グループ内でのシナジーを最大限に発揮
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WEAKNESSES
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弱み/課題
- 創薬創出プロセスのスピードアップ
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OPPORTUNITY
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機会
- 先進国の高齢化や発展途上国の経済発展による世界的な医薬品需要の拡大
- 導出入の難易度上昇
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THREATS
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脅威
- グローバルな薬剤費適正化の流れを受けた、国内外市場における継続的な薬価引き下げの可能性
- 新薬開発の難易度上昇および国際的な新薬開発競争の激化
- ジェネリック利用促進の動きやスイッチOTC*の世界的シェアの拡大
*医師の診断・処方せんに基づき使用されていた医療用医薬品を薬局・薬店などで購入できるように転用(スイッチ)した医薬品を指す
過去5年間の事業パフォーマンス
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売上収益は、海外ロイヤリティ収入減少を、国内市場を担う鳥居薬品の増収で相殺しながら推移しています。鳥居薬品における増収は、同社におけるアレルゲン領域・皮膚領域が大きく伸長したことに起因しています。画期的なオリジナル新薬を創出するための研究開発費を安定的に投入しており、また、国内市場向け導入活動も積極的に実行しています。調整後営業利益については、一時金・マイルストン収入の増減影響を受けながらも、2019年度から2023年度まで概ね横ばいで推移しました。
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売上収益・調整後営業利益(億円)
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医薬事業は以下の基本戦略を通じ、JTグループへの安定的な利益貢献を目指します。
- 創薬力向上とユニークなパイプライン構築
- 国内市場における収益基盤強化
- 中長期的な事業基盤の最適化による生産性向上
また、医薬事業では主に「循環器・腎臓・筋」「免疫・炎症」「中枢」の領域で研究開発を行っています。
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医薬事業では、「科学、技術、⼈財を⼤切にし、患者様の健康に貢献します」という事業Purposeのもと、事業運営しています。2019年に、サステナビリティ戦略を策定し、3つの注力分野と5つの具体的な取り組み目標を定め、毎年、進捗について報告しています。
2023年は、サステナビリティ戦略の見直しを行い、2024年度からは新たに設定したサステナビリティ戦略のもと、改めて整理した注力分野と具体的に取り組んでいく指標およびSustainability Targetsを設定しました。
私たちは、下表に掲げた目標への取り組みを通じて、JTグループマテリアリティの取り組みへ貢献します。
マテリアリティ |
ターゲット項目 |
ターゲット |
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FIC(ファースト・イン・クラス)医薬品の創出 |
重点領域における新薬の研究開発に継続的に投資します。 |
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温室効果ガス排出量の削減 |
医薬事業のScope1および2の温室効果ガス排出量について、1.5℃削減経路に沿って、2030年までに2019年比47%削減します。また、JTグループとして掲げる、バリューチェーン全体での温室効果ガスのネットゼロに貢献します。 |
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DE&Iの推進 |
多様な人財が活躍できる組織づくりを推進し、JTグループが掲げる女性マネジメント比率の目標達成に貢献します。 |
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倫理意識の醸成 |
患者様を救うという使命感・倫理意識を持った人財を育成するために、社内啓発活動「患者様の事を徹底的に考える会」において、医療現場と交流し、患者様の医療ニーズを追求し続けます。 |
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責任ある販売情報提供活動 |
医療関係者の方々に、医薬品に関する最新かつ正確な情報をお伝えするためにMR(医薬情報担当者)への教育等を継続的に実施します。 |
なお、2023年までの医薬事業におけるサステナビリティの取り組みの進捗については、「KPIの進捗」をご覧ください。
具体的な取り組み
ケーススタディ①
患者様の事を徹底的に考える会
マテリアリティ
良質なガバナンス
ターゲット項目
倫理意識の醸成
患者様を救うという使命感・倫理意識を持った人財を継続的に育成するため、「患者様の事を徹底的に考える会」という社内啓発活動を行っています。年間10名程度を選出し、医療現場との交流・社内イベントの開催等を通じて患者様の医療ニーズを追求しています。
2023年は、アトピー性皮膚炎や小児アレルギーといった当社の研究開発領域と関連のある専門医へのインタビューを通じて、医療現場から真に求められる薬剤について社内に情報提供を行いました。また、こどもホスピスへのインタビューや、社内でのVRを用いた認知症体験会を開催し、さまざまな角度で患者様の立場に立って創薬を考える機会を従業員に提供しました。
ケーススタディ②
患者様の声を活かした医薬品開発
マテリアリティ
お客様の期待を超える価値創造
ターゲット項目
FIC(ファースト・イン・クラス)医薬品の創出
患者様の声を医薬品開発に活用する取り組みを推進しています。
- 「患者様の声を活かした医薬品開発—Patient Centricity」の考え方を浸透させるため、部内に対して、関連情報を継続的に発信しています。
- 治験参加者の皆様に感謝の意を表すため、サンキューレターをお送りしています。
- Patient Lay Summary(PLS)の公開に向けて、体制を構築し準備中です。
今後も、多くの患者様が参加しやすい治験の実施を目指すとともに、患者様の声を活かした医薬品開発に取り組んでいきます。