2023年度準決勝第二局
対局結果
準決勝第二局 (東海大会)
120手にて糸谷八段の勝利
開催日:11月3日(金・祝)
会場:ポートメッセなごや 第3展示館
渡辺 明九段
糸谷哲郎八段
勝者の糸谷八段は、11月19日(日)に行われる「決勝戦」で藤井JT杯覇者と対局!!
- タイトル・段位は対局時点のものです。
講評/勝利棋士コメント
大盤解説者・松尾八段の講評
対局前の両者のコメントでは、渡辺九段は「『JTプロ公式戦』は持ち時間が公式戦の中で一番短い棋戦ですし、公開対局で行われるというのもあります。
糸谷八段は早指しが得意ですし強敵を破ってきていますので、難しい戦いになるのかなと思っています。今回は初戦をいい形で勝ち上がることができたので、決勝目指して頑張りたいですね」と意気込みを語った。
一方の糸谷八段は「『JTプロ公式戦』は出場資格を獲得するのが大変な棋戦です。渡辺九段は居飛車本格派の実力者で結構負け越しているんですが、早指しならばいい勝負にできるのではないかと思っています。
明日は大勢のこどもや観客の前での対局ですので、みなさんに面白いと思っていただけるような将棋をお見せしたいです」と抱負を語った。
振り駒は来場者の中から抽選で選ばれた方が行い、歩が5枚で渡辺九段の先手と決まる。
後手は6手目△3三角と上がり阪田流向かい飛車かと思いきや、10手目△4四角と変化し、あまり類例のない局面に。後手は右玉に構え、先手は手待ちをして戦機を待つ。
交換した桂を打ち合う中盤は非常に難解で、AIの評価値も行ったり来たり。それでも最後は糸谷八段が△7五桂の好手から渡辺玉を即詰みに討ち取った。糸谷八段は「JTプロ公式戦」初の決勝進出。決勝の相手は藤井JT杯覇者だ。
大盤解説の松尾八段の講評は以下の通り。
阪田流向かい飛車に見せかけて、△4四角▲8八角△8四歩というのはたまにみる指し方ですが、後手が右玉に構えたのは初めて見ました。
3三金が上ずっている分、もう一枚の金を寄せてから左銀を動かすとか駒繰りが大変ですが、そこが糸谷八段の工夫なのかもしれません。渡辺九段は7七銀をあっさり取らせて駒損の展開だったので、途中は自信がなかったと言っていました。
最後は△7五桂が持駒の桂を歩に替える妙手で、▲同歩△6九馬▲7七玉なら△6八桂成▲6六玉△8六飛▲7六桂△6五歩▲5七玉△4七金まで。お互い桂を打ち合う中盤戦はさすがトップ棋士の戦いで、一手一手力のこもった大熱戦だったと思います。
勝利棋士・糸谷八段のコメント
10手目△4四角▲8八角△8四歩を決めるのはわりとある作戦ですが、右玉にしてからの△4二金~△3二金寄~△4二銀がこちらの研究手順です。
先手がどこから攻めていいのかわからないところがウリですが、たぶん誰も真似しないでしょうね(笑)。そこが糸谷ワールドということで。
△5四金の形を作ってそれなりに悪くないと思いましたが、五分から抜け出すのが難しいのは仕方ありません。最後は△7五桂を発見してようやく勝ったと思いました。
決勝は今まで勝ったことのない相手ですが、そこを勝てれば面白いでしょうか。自分らしい面白い将棋をお見せできればと思います。
動画
対局の動画をご確認いただけます。
- 動画内で実施している「クイズキャンペーン」は終了しています。
棋譜
まで手で後手の勝ち
消費時間=10分10分