2023年度一回戦第三局

対局結果

一回戦第三局 (静岡大会)

183手にて佐藤九段の勝利

開催日:7月22日(土)
会場:ツインメッセ静岡 北館大展示場

佐藤天彦九段

稲葉 陽八段

大盤解説:阿久津主税 八段 聞き手:山田久美 女流四段 読み上げ:和田あき 女流二段

勝者の佐藤九段は、9月16日(土)に行われる「二回戦第三局」でシード棋士の渡辺明九段と対局!!

  • タイトル・段位は対局時点のものです。

講評/勝利棋士コメント

大盤解説者・阿久津八段の講評

対局前の両者のコメントでは、佐藤九段は「『JTプロ公式戦』は3年ぶりです。この棋戦は出場するのが大変で、この棋戦に出場できる成績を取ることが毎年の密かな目標でもあります。

稲葉八段は鋭さと粘り強さを両立する棋士です。現代将棋への対応は稲葉八段に先を行かれていますので、私としてはひねりを加えて、一直線では読み込めないような将棋にしたいですね」と意気込みを語った。

一方の稲葉八段は「初めて出場した『JTプロ公式戦』が静岡大会でした。そのときは一回戦負けでしたので、できればその借りを返したい(笑)。

佐藤九段は同世代ですが、奨励会入りも先でこちらは追いかける立場でした。将棋は筋に明るい王道の将棋で、攻守にバランスが取れています。明日は考慮時間の使い方が大事になると思っています」と抱負を語った。

振り駒は、歩が4枚で佐藤九段の先手と決まる。

先手の横歩取りに対し、後手は△5二玉から飛角交換を強要し、先手角2枚対後手飛車2枚という戦いに。

後手は72手目△8三香~△8四香打と8筋の突破を図るが、▲6八玉とかわされて逆に後手の飛車をいじめる展開になって攻守逆転したか。佐藤九段が180手を超える大熱戦を制し、二回戦進出を決めた。

大盤解説の阿久津八段の講評は以下の通り。

佐藤九段の横歩取りは予想通りでしたが、稲葉八段が誘導してあまり前例のない戦いになりました。先手は角2枚を自陣に打ち、後手も龍は作ったものの追い返されて、お互いどういうふうに指すのか方針が見えにくい状況です。

序盤に戻ったというか、長い中盤になったというか。稲葉八段は8筋に香を並べて強行突破を図りましたが、自然に見えた△7五歩が疑問だったかもしれません。▲6八玉とかわして先手の手がわかりやすくなりました。

その後もお互い決めに行けずに手数はかかりましたが、171手目▲2四桂~▲1六香が鮮やかな決め手でした。力のこもった大熱戦だったと思います。

勝利棋士・佐藤九段のコメント

こちらの横歩取りに対し、稲葉八段が変化して序盤は全くの予想外の進行になりました。お互い時間があってもよくわからない将棋になりました。角2枚を自陣に打たされて、途中まで少し苦しいと思いながら指してましたが、83手目▲6八玉と上がって、少し指しやすくなったかもしれません。

桂2枚を6五・4五に跳ねて5三の地点に成り込んだのはこれしか勝負にならないと思ったからです。その後飛車をいじめる展開になって、自玉が安全になったのが大きかったです。

次の渡辺九段は10代の頃からお世話になっています。お互いいろいろあって、今どういう戦いになるのか楽しみですね。

動画

対局の動画をご確認いただけます。

  • 動画内で実施している「クイズキャンペーン」は終了しています。

棋譜

佐藤九段
稲葉八段
(持ち時間各10分間)

まで手で先手の勝ち

消費時間=10分10分